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第122話
漢字の意味から理解しよう

 私が務めている学習塾で中間テストや期末テストの対策で数学や理科を教える時に出会うことがあります。それは「相加平均」や「相乗平均」、「示準化石」や「示相化石」などの言葉が覚えられず、「わけが分からないから、今度のテストはあきらめる」と言う中学生や高校生が時々いることです。そんな中学生や高校生を教えながら、私も高校生の時は相加平均や相乗平均がなかなか身に付かず、使いこなせなかったことがあったことを思い出します。

 私自身が小学生や中学生や高校生の頃に充分に身に付かなかったことがあっても、授業で教える時にはきちんと理解して、生徒たちが使いこなせるようになってもらわなくてはなりません。特に中学生になると、理科の分野でもたくさんの言葉が登場するようになります。それぞれの単元ごとに要点を整理するのが一番でしょうが、想像してもよく分からない言葉が登場します。そんな時は漢字の意味から、その言葉を理解すると良いのではないでしょうか。
 例えば、中学生になると化石の単元で「示準化石」と「示相化石」を学びます。示準化石は、地層の年代測定の基準となる化石です。地質年代には古生代、中生代、新生代がありますが、地層から三葉虫やフズリナが出てくれば、その地層は古生代に堆積したものだと分かります。また、地層からアンモナイトが出てくれば、その地層は中生代に堆積したものだと分かります。さらにカヘイ石やピカリアが地層から出てくれば、その地層は新生代に堆積したものだと分かります。
 それに対して示相化石からは、その化石が生きていた時の環境を知ることができます。シジミは淡水と海水が混ざる汽水で生息しますので、地層からシジミの化石が出てくれば、そこは淡水と海水が混ざる環境だったことが分かります。また、地層からサンゴの化石が出てくれば、そこは暖かくて浅い海だったことが分かります。

 それでは、示準化石と示相化石を漢字の意味から理解してみることにしましょう。
 まず「示準化石」から考えてみたいと思います。二字熟語の中には「読書」のように「書を読む」という動詞と目的語で成り立つものがあります。示準化石も読書と同じような言葉の成り立ちをしていると考えてみましょう。つまり、「示準」を「基準を示す」という意味で理解すると、示準化石は「地層の年代測定の基準を示す化石」という意味になります。
 同様に「示相化石」も示準化石と同じように考えてみましょう。ただし、示相化石の場合は「示相」を「相を示す」に直しても、「相」が何なのかが分からないと理解が難しいかもしれません。そこで「相」の意味を『広辞苑』などの国語辞典で調べると、「すがた、ありさま、外見、形状」などがありますので、相を「天候や自然のありさま」と考えれば、相を環境を意味すると考えることができるのではないかと思います。このように考えていくと、示相化石を「地層が堆積した時代の環境を示す化石」と理解することができるでしょう。

 相加平均と相乗平均も示準化石や示相化石と同じように考えて見ましょう。
 私が高校生の時に相加平均と相乗平均を学んだ時に理解ができずに困ったことがありました。相加平均はすべての数を足し合わせた総和を個数で割ったものなので、小学生の時に学んだ平均の出し方と同じです。ですから、2つの数の相加平均なら2で割るので分母が2になりますし、3つの数の相加平均なら3で割るので分母が3になるのは納得できました。しかし困ったことに、3つの数の相乗平均を求める時に、3つの数をかけ合わせた数の三乗根が3つの数の相乗平均になることが納得できませんでした。数がいくつになろうと相乗平均の求め方には共通の考えがあるはずですが、それが分からなかったので相乗平均を使うことができず、相加平均と相乗平均の関係を使って値の範囲を求めることができませんでした。

 その後も考えていましたら、合点がいくことができました。
 平均を求めると、元々は様々な値だったものが一つの一様な数字になります。相乗平均の場合には「相乗」と「平均」の2つの言葉に分けて、言葉の意味から考えるとなるほどと納得することができたのです。まず「相乗」の「乗」は四則計算のなかにもありますが、かけ算を意味します。「相」には「一緒に、お互いに」という意味がありますので、「相乗」は「かけ合わせる」と考えることができるでしょう。次に「相乗」と「平均」を組み合わせると、相乗平均は「同じ数をかけてかけ合わせた数になるもの」になると考えることができます。このように考えますと、2つの数の相乗平均を求める時に、2つの数をかけたものの平方根になることが分かりますし、3つの数の相乗平均を求める時に、3つの数をかけたものの三乗根(立方根)になることになります。さらに4つ以上の数の相乗平均も同じように求めることができるでしょう。

 このように「示準化石と示相化石」や「相加平均と相乗平均」のような理解が難しい言葉は、イメージをすることが難しいので、ますます理解できないままになってしまう場合があります。私が上で紹介したように漢字の意味から理解しようとすれば、なかなか理解できない言葉でもイメージ持つことができて理解できる可能性があります。これまでに理解できなかったものにもう一度取り組んでみてはいかがでしょうか。

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