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第112話
中国の風力発電(新疆ウイグル自治区)

 2003年と2004年の夏、私はウルムチからカシュガル行きの寝台列車に乗りました。ルートはウルムチを出発したら、まずトルファンに向かい、トルファンで列車は向きを変えて天山山脈の南麓をオアシス沿いにカシュガルへと向かいます。古の天山南路沿いに線路が走っているので、シルクロードが好きな私にとって、心がワクワクする列車の旅となりました。

 列車の窓から外を眺めていますと、乾燥して荒涼とした大地が続きますが、景色に変化がないわけではありません。線路はオアシス沿いに敷設されましたので、オアシスが近づけば木が見え始めますし、駅がある都市に近づけば畑などが広がるようになります。このような変化だけではありません。乾燥した地形が続いていても、土地には起伏もありますので、同じ乾燥地形でも、よく見れば風食の跡や地殻運動の跡や浸食の跡なども読み取れるようになります。

 私が乗った列車は、まずトルファンに向かったわけですが、トルファンに間もなく到着しようとした時に、目の前に写真に写っているような風力発電所が広がりました。しばらく走っても途切れることなく風力発電機が続き、それはそれは壮観でした。中国の中でも最も内陸にある新疆ウイグル自治区は、乾燥した地域が卓越しています。写真のような風力発電だけでなく、太陽光発電もよく見かけました。
 数多くの風力発電や太陽光発電を見て思ったのは、新疆ウイグル自治区ではクリーンエネルギーが重要な役割を担っているということでした。これは、中国国内で環境意識や地球の気候変動に対する関心が高まったことが背景にあるというわけではなく、新疆ウイグル自治区の自然環境が太陽光発電や風力発電に適しているからだと思います。

 新疆ウイグル自治区には油田やガス田があるので、原油や天然ガスを採掘できます。原油や天然ガスを使って火力発電所で発電を行うことは確かにできます。新疆ウイグル自治区の中心地であるウルムチの都市周辺には製油所が上空から見えましたし、列車がウルムチを出発してしばらくすると、石油を原料とする化学工場と思われる工場も目にしました。しかし、国内に大規模な油田がありながらも生産が消費に追いつかず、現在の中国は石油輸入国になっています。発電にまわす石油を抑えたいというのが本音でしょう。

 砂漠やレスが広がる乾燥地帯は農業には向きませんが、日がよく当たり、雨が降る日も少なく、風がよく吹きますので、太陽光発電や風力発電を行うには最適な場所と言ってもよいのかもしてません。
 乾燥地域に発電施設を建設したり、建設した発電施設を維持したり、送電設備を整備するのは並大抵の苦労ではないでしょうし、巨額な費用もかかるでしょう。これらの風力発電や太陽光発電の設備を都市や村落の周辺に建設して、その地域に必要な電力を賄えるようになれば、この地域の電力事情も改善できるでしょうし、二酸化炭素の排出量も抑えられて地球環境にとって良いのではないでしょうか。

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