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橋本行政書士事務所
交通事故を起こしてしまった場合、民事・刑事・行政上の3つの責任が発生します。
民事責任とは、交通事故により被害者に与えた損害を賠償しなくてはならないという責任です。 | 死亡事故・傷害事故による損害 | 自動車損害賠償保障法3条(運行供用者責任) |
| 民法709条(不法行為責任) | |
| 物損事故による損害 | 民法709条(不法行為責任) |
| 死亡事故 傷害事故による刑事責任 |
業務上過失致死傷罪 | 刑法211条1項 | 5年以上の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金 |
| 危険運転致死傷罪 | 刑法208条の2 | 死亡の場合、1年以上の有期懲役(最高15年) | |
| 傷害の場合、10年以下の懲役 | |||
| 殺人罪 | 刑法199条 | 死刑または無期もしくは3年以上の懲役 | |
| 緊急措置義務違反 人身事故 |
道路交通法117条 | 5年以下の懲役または50万円以上の罰金 | |
| その他道路交通法違反の例 | 緊急措置義務違反 物損事故 |
道路交通法117条の5第1号 | 1年以下の懲役または10万円以下の罰金 |
| 過失建造物損壊罪 | 道路交通法116条 | 6か月以下の禁錮または10万円以下の罰金 | |
| 酒酔い運転 | 道路交通法117条の2第1号 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | |
| 酒気帯び運転 | 道路交通法117条の4第2号 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 | |
| 無免許運転 | 道路交通法117条の4第1号 | 1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
| 〜コラム〜 <亀岡市の事故> 京都では、先日の祇園での8人死亡事故に続いて、平成24年4月23日にも亀岡市で大きな事故がありました。 集団登校中の児童の列に車が突っ込んで、妊婦の女性と7歳の児童が死亡し、その他にも児童2名が意識不明の重体(平成24年4月24日現在)という、痛ましい事故です。 加害車両を運転していた加害者は、18歳で無免許、居眠り運転だったとのことです。 家族の怒りや無念さは、私には想像もできないほどです。 家族が加害者に厳罰を望むという気持ちはよく分かりますが、18歳の少年ということで、5年程度の懲役、または禁錮ということになるのではないかという予想もあります。 これでは家族は到底納得できないだろうと、誰でも思います。 これは加害者本人の「刑罰」の話ですが、これとは別に加害者は被害者に民事上の責任として、損害賠償をしなくてはなりません。 18歳の無免許運転、ということで「刑罰が軽い」ということ以外にも、「きちんと賠償金が支払われるのか」という心配も、家族には迫ってくることになるかもしれません。 被害者の家族としてはしばらくはお金のことを考える余裕はないかもしれませんが、ちょっと検討してみます。 まず、加害車両についてです。 児童を次々にはねた軽自動車は誰の所有物なのかとか、対人賠償保険(任意保険)に入っていたのかなどについて、今のところ報道はされていません。 もしこの車が加害者の家族が保有する車だったとして、この車に任意保険が掛けられていて、本人限定特約や年齢条件特約(26歳未満不担保など)が無ければ、とりあえずこの車にかけている対人賠償保険が使われ、被害者に賠償金が支払われます。 つまり「この車が任意保険に入っていれば賠償金が被害者に払われる」ということです。 無免許運転の場合は対人賠償は支払わない、ということはないのです。 次にこの車が自賠責保険(強制保険)のみで、任意保険に入っていない、いわゆる「無保険車」だった場合はどうでしょうか。 そうであった場合、とりあえず相手の車の自賠責保険に請求することも一つの方法ですが、重傷や死亡の場合は自賠責保険だけでは到底足りません。 このような場合は、被害者の方の家族が自家用車を持っていれば、その「自分の家族の自家用車の自動車保険」を調べます。 大抵の場合、任意保険に入っていれば「人身傷害保険」や「無保険車傷害保険(特約)」を付けているはずです。 ですから被害者は、そちらの自分の保険の人身傷害保険や無保険車傷害保険に請求します。 そうすると被害者は、加害者が本来被害者に対して賠償するべき「損害賠償金」を自分の保険から受け取ることになります。 自分の保険会社は、後日加害者側が加入している保険や、加害者本人に請求します(請求せずに損金として処理することもあるようです)。 つまり、被害者本人(または遺族)の代わりに、自分の保険会社が加害者に請求してくれる、というイメージです。 ところでこのように加害者が無保険だったうえに自分の家族が自家用車を持っていなかった場合、人身傷害保険などは当然ありません。 その場合にはとりあえず自賠責から限度額を回収した後に、自賠責を超える部分については加害者本人に請求していくしかなく、非常につらい状況になってしまいます。 |
| 〜コラム〜 <未成年者の親の責任> 未成年の無免許運転が起こした事故関連です。 18歳の無免許の少年が車を運転して歩行者を轢き殺すという人身事故を起こした場合、以前も説明しましたが、この車の保険が使えれば、賠償についてはとりあえず大丈夫です。 この加害車両が任意保険に入っていない、あるいは入っていても対人賠償が運転者限定(家族限定とか26歳未満不担保など)の特約が付いていると、被害者は自賠責保険からの補償しか受けられないことになります。 自賠責の補償のみでは足りませんから、自賠責を超える分は先日説明したように、被害者の家族が自家用車を持っていて自動車保険に入っていれば、自分(被害者)の保険の人身傷害保険や無保険車傷害保険から支払われますが、自家用車を持っていない場合は加害者本人に請求することになります。 でも18歳の少年に支払い能力が無いことは明らかです。 このような場合、「加害者は未成年なのだから親に請求すればよい」と単純に考えるわけにはいきません。 加害者は未成年とはいえ、「12〜13歳以上の者は責任弁識能力がある」として、「責任は本人にある、親は(民法714条の)監督義務者の責任は無い」ということになっているのです。 この状況で、被害者が加害者の親に請求する方法、というか理屈は、2とおりあります。 ひとつは、親そのものに責任があったとして、民法709条の不法行為責任を問うことです。 もう一つは、自賠法3条で言う「運行供用者責任」が親にあった、として責任を問うことです。 運行供用者責任は、車の持ち主や、その車の運行で利益を得るもの、といった人の責任ということですが、聞くところによると今回の亀岡市の事故の車は、同乗者の知り合いの車とのことですから、親に運行供用者責任を求めるのは難しそうです。 そうすると、「親本人に不法行為責任がある」として親に賠償請求することだろうと思います。 この場合の条件もあまり簡単ではなく、最高裁は @監督義務者が相当の監督をすれば加害行為の発生が防止され得たこと Aその監督を現実になし得たこと B監督をせずに放任しておけば当該加害行為が発生するとの蓋然性が一般的にも強い場合であったこと の要件が必要としています。今回の場合にこの3要件は該当するでしょうか。 「該当するのだ」と立証する、弁護士さんの手腕を期待しています。 |