夢想神伝流の在処
about old arts
"Musoh-Shinden-Ryu"
夢想神伝流の在処です。
居合家の間では、「〜流」とつくものは古流と呼ばれます。
神伝流は、使用人口がたぶん日本一の流派です。
制定居合も、大半に神伝流の影響が見られます。
神伝流を元にしたから当然ですけれど……。
最初に師事した人が神伝流の人だったので、
高校生のうちはずっと神伝流でした。
初伝を習い始めたのは、居合を始めて半年くらい経ったころだったと思います。
古流をやると制定居合の抜き方が変わると言われましたが、
確かにそのとおりでした。ちょっとしたショックでしたね。
体の運用が違うのです。といっても、知らない人は意味不明ですね(笑)。
初めて自転車をコントロールできるようになったとき、
今までなぜバランスを取れなかったのかが分からなくなる。
それに似た感覚かもしれません。そこまで劇的ではないにせよ。
中伝は初段を取って少ししたころに教わったと思いますが、
これには実はダークな結末があります。
いずれ語る日も来るでしょう……。
奥伝は習っていません。
知っている業もありますが、見たことがあるだけです。
高段者は抜きたがるんですよ。奥を。
特にY同好会のS先生。
「恥を知れぃ!」は今でも憶えています(笑)。
初伝
中伝
注・奥伝(奥居合)の項は語れないので未設。
初伝
大森流とも言います。制定居合に似た業が少なくありません。
基本的に、僕は神伝流をこれしかしませんでした。
中伝は、始めて間もないころの出来事が原因で封印したも同然なので。
以下、12本があります。
中伝
別名長谷川英信流というそうですが、誰も使いませんね、この名前。
大森流はまだ使いますが。というか師匠がよく口にしていましたし。
ダークな結末については、この中のある業のところに記します。
いつか実力をつけて師匠にまた習うことがあれば、
そのときこそ中伝をやりたいですね。難しいですが面白いんです。
以下、10本があります。
初発刀
制定居合一本目とほぼ同じ業です。したがって、基本的には感想も同じ。
ただ、地元で師匠から習っていたとき、よくこう言われました。
「(制定の)一本目を抜け」
あるいは
「初発刀を抜け」
個人練習に入った直後にこう言われたのです。
つまり、これから制定ないしは大森流を抜くから、という意味ではなかったでしょう。
真意を問いただすことはしませんでした。
同じ心構えでは抜くな、と言われた気がしています。
いずれにせよ、制定一本目とは何かが違うのです。
左刀
当刀の回転数を半分にした業(手抜きの説明だな……)。
感想も特になし。抜いた本数もそんなに多くないです。
右刀
初発刀に右90度回転をプラスした業。どこかで見た説明ですが気にしない。
左刀よりは、こちらのほうがやや抜きやすいですね。
当刀
制定居合の二本目とほぼ同じ業です。やはり感想も同じ。
というか神伝流を習っていたころ、初伝を抜くとき、
左刀から当刀までを飛ばすことも少なくなかったように記憶しています。
だから何を注意されたか、そもそも注意されたかもおぼろげ。
陰陽進退
大会での使用率が高い業です。地元でやっていたとき、先輩がよく抜いていました。他団体でもそうみたいです。
僕はこれがかなり苦手で、どこがかというともちろん左足を引いての抜きつけです。今でもできそうにありません。
順抜に比べれば上下動もないし、簡単そうに思えるのですが、駄目ですね。
当時は何も考えずに抜いていましたが、今から思えば理合がいまいち分からない業でもあります。
たぶんもう無縁なのですけどね(笑)。ただ、試合映えする業ではあるでしょう。
流刀
制定三本目に似た業です。というか、こちらが原型なのでしょうけれど。
違いとしては、受け、つまり彼我の刀が触れ合っている時間が流刀のほうが長いことが挙げられます。
しかも受けのときに片膝をついているので、体の移動距離が長くなります。
結果、珍しく両足を揃えて斬る業になっています。何かに似ていますね。
そう、引身です。下藤でも可。
僕は神伝流をそれほどやりこんだわけではありませんが、
流刀のノウハウは新陰流に活かせている数少ない1つだと思います。
といって、上京してから見た他道場の抜き方は僕が習ったのと全然違っていて、
もしそっちで習っていたら活かせていなかったかもしれないと思っています。
順刀
相手の視界外にて、座業で静かに抜刀。上段から相手の首を皮1枚残して切り、最後に切り落とす。
介錯の業。原則として、人前では抜かないことになっています。
特に祝いの席など、めでたい場では、ご法度。不吉な業ですからね。
ポイントは、とにかく音を立てないこと。切られるほうが不安がりますから。
ほとんど練習しませんでしたね。この業だけ飛ばして抜くことも少なくなかったです。
地元に帰ったとき、抜けるかな(笑)。
逆刀
かなりえぐい業です。追い込んで切り倒したあと、相手の躰を真上からぐさりですからね。
まあ、相手を殺すための業なのですから、えぐいとか惨いとか、悠長なことは言っていられませんが。
この業は人によって最後のやり方が微妙に違っていて、実際に突く動作をするか引き抜くだけかにばらつきがあります。
僕は後者のやり方で習っていて、いろいろな大会を見る限り、そちらのほうが多いみたいです。
突く動作をすると床を傷つけるかもしれないから、という現実的な理由もあるようですが……。
これも試合ではよく抜かれる業ですね。元神伝流経験者であることを差し引いても、見慣れています。
勢中刀
神伝流の中では、比較的得意だった業です。よく抜きました。
抜きつけから切り下ろしに移行するときの足捌きが、なぜかやりやすかったので。
あと、抜きつけのときに重心が低いので、大きく切ることができました。
師匠からも、「躰が大きい奴はええのう」と言われましたね。
思う存分大股で踏み込める業だからでしょう。
新陰流にこういうのはないので、そこがちょっと残念。
なお、直伝にはこれと座りの角度だけが違う月影という業があります。
虎乱刀
初発刀の立ちバージョンです。少なくとも形は。理合までは教わっていないので、本当のところは不明。
でも、これを教わる前から似たようなことはやっていました。師匠や先輩がやっていたのを真似て。
もちろん最初は、こういう業だと知らず、単に「前を立ってやってるのか」と思うだけでした。
いまだに、抜きつけなどの稽古をするのに、これっぽいのを抜くことがあります。
逆転陰陽進退
道場によっては、逆手陰陽進退、改訂、陰陽進退替業などと呼ばれます。僕は逆転〜で習いました。
抜きつけ、切り下ろし、納刀までは陰陽進退と同じで、次の抜きつけで虎一足のように受けに入ります。
このとき、峰打ちするように手をかけるところもあり(東日本ではそちらが多いみたいです)、それが逆手のようです。
僕は順手(というのかな?)でやっていました。右足の甲を切りそうで怖いです。
陰陽進退と違い、大会では滅多に抜かれません。受けだからかな?
あまり得意でない、というかあまり抜かなかったですね、神伝流だったころも。
抜打
横雲
神伝流をやっていたころから、ひたすら苦手でした。新陰流で下半身の使い方は学びましたが、
いまだにできるとは思えません。たぶん、中腰くらいの高さで重心を維持するのが、
そもそも下手なんだと思います。磯の波が少し上達した程度では、
まだまだ甘いということでしょうか……。
まあ、大学にいる間は、これをやる機会はありえないでしょうけれど。
最初のうちは、足を引きすぎて倒れそうになったこともしばしばでしたね。
虎一足
居合膝で座った状態から、体を上げて左足を引き、右下方から脛を狙う敵の刀を抜きつけで受け、左膝をついて切り下ろす。
いまだに効果の怪しい業です。しかも苦手でした。動きそのものは上記の横雲とほぼ同じで、
違うのは抜いた刀の操作だけ。しかし、相手の抜きつけを、いくら腰を開くとはいえ、
片手で受けきれるものなのでしょうか。受け流すならともかくとして。
たとえば開抜なら、その防御を突破できるように思います。
いつか神伝流に戻ったら、師匠に訊いてみましょうか。組太刀しても良いかも。
稲妻
居合膝で座った状態から、体を上げて左足を引き、刀を振りかぶる相手の左腕を切る。倒れたところを、左膝をついて切る。
勢中刀に似た業です。そのためか、そこそこ得意な部類でした。
ただ、足を引くのはやっぱり苦手で、抜きつけは良くても体が駄目、ということがよくありました。
新陰流をやった今なら、多少は上手くできるかな……。
浮雲
ダークな結末の業です。これで失敗して以来、中伝はほとんど抜いていません。
何があったかというと、鞘を破壊したのです。
鞘引きが足りなかったため、抜き付けのときにバリッとやってしまいました。
この業は抜き付けの足捌きと引き倒しの腰がポイントになるのでしょうが、
僕の場合、それ以前の問題でした(一応、足は上手いと言われましたけど)。
失敗したときのリスクが高いので、試合でもこの業は滅多に見ません。
でも地元の先輩はよくやっていましたね、そういえば。
なお、膝の内側でなく外側を切る(おそらく)唯一の業でもあります。
颪
居合座より、右隣に座る敵の左篭手を打ち据え、相手の胸に抜きつけて引き倒し、袖を踏んで動きを封じて切る。
浮雲の座りバージョンみたいな業です。ただ、こちらはどちらかというと先制攻撃的な動きになるでしょうか。
神伝流の高段者はこれを抜くことが多いのですが、人によって動きがいろいろ違うのが面白いというかなんというか。
もっとも大きな違いが出るのは、最後に相手の裾を踏む動きをするときです。
普通に考えたら、踏むのだから足を上げなければいけない気がするのですが、しない人が少なくないのですよね。
僕は地元で師匠から神伝流を教わったとき、これはあまりやりませんでしたけど、「踏め」と言われました。
まあ、古流だから理合に沿ってさえいればどう抜いても良いような気もしますが、どうなのかな……。
岩波
居合座より、左隣の敵を突き、胸に当てた刀を使って引き倒し、袖を踏んで動きを封じて切る。
おそらく神伝流でもっとも抜刀に身体的な危険が伴う業です。
僕が教わったところでは、体移動を利用して鞘を引き、切っ先が抜けた瞬間に指に乗せるという抜き方をするのですが……。
問題は乗せたあと、言葉では表現しづらい動きを刀にさせて左側の敵を突く、というところです。
ここで指を切りそうになるのですよ。危なくて、手元を見ながらでないとできたものではありません。
もちろん、本当は敵に目付をしながらやらなければならないのでしょうけれど……。
大会でも、滅多に見ることがない業です。中伝の中では、滝落と並んで高難度の業でしょう。
鱗返
横雲の左横バージョン。ちょうど、初発刀と左刀の関係に似ています。
座り方の関係で、居合座から左に回転するのは右より難しく、苦労した憶えがあります。
もっとも、ほかの中伝と同じく、これもほとんどやっていないのですが……。
波返
横雲の後ろバージョン。こちらは初発刀と当刀の関係とパラレルですね。
鱗返より回転が90度長いため、もっと難しいです。下手をすると転びます。
滝落
何をやっているのかいまだによく分からない業です。理合はなんとなく分かるのですが、抜き方がどうも……。
というのも、師匠から教わった抜き方と、出稽古先の道場や他大学で行われている抜き方が違うからです。
形としては、後ろから鞘をつかんでくる敵の手を捌いて外し、よろめいたところに上から突き下ろし。
……想像すると、かなりえぐい業ですね、これ(笑)。
僕が教わったのと、他団体で行われているのを見比べると、突く位置が明らかに違うのですよね。
いつかまた神伝流に戻ることがあれば、このあたりははっきりさせたいですね。
抜打
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