犬の躾 完了


 
「ひっ…離し…てっ…ハボ…はな…して…」
「俺の言葉聞こえてます? ホラ言わないならもっともっと
かわいく声が枯れるまで啼かせますよ」
「んっ…ん…やっ…あ…」
 潤んだ黒い瞳で、必死にすがる視線をハボックへと投げ
ても、いつもは優しさを湛えた蒼い双眸は、楽しくてたまらない
といった表情で細められるだけだった。

「あっ…ハボ…やっ…やだっ…も…お願い…」
「お願いだけじゃ解りませんよ ご主人様がどうして欲しいのか
きちんと指示してくれないと」
耳朶を舐めながらの低い囁きに、びくりと体を震わせたロイの目
から一筋涙が零れた。
「やぁっ…いかせ……ンっ…おねが…」
「…よく出来ました」
 全身を反らし、腰を揺らめかせるロイのおねだりに、ハボック
がロイの先端をペロリと舐め、ようやく戒めを解いた。
「ああっっ」
 ようやく放出を許された快楽が、白い飛沫となってハボック
の指を汚した。まだ意識が半ばとんだまま、ビクビクと躰を
震わせるロイの脱力しきった両腿の間に入ったハボックが
己の肩でその足を担ぎ、ロイの下肢の奥までを曝け出させる。

「へぇ…大佐… コッチひょっとして未経験? すっげ綺麗な
色してますね うっわヒクヒクしてすげェエロい動き 見られて
また感じじゃってるんスか」
 自分ですら見たことがない箇所を、凝視されているだけでも
耐え切れないほどの羞恥であるのに、ハボックの質問は
自分への侮辱でもあって、霞んだ意識の中、ロイは唇を噛み
締め睨みつける。

「おっと 怒らんで下さいよ 別に大佐がヤリまくってるとか
そういう噂信じてる訳じゃないっスから こんな美人でタラシと
名高かった人に俺が初めてなんてびっくりしただけです」

 宥めるように、ロイの腿を撫でさすったハボックが頭を落とす
とくちゅりと、水音がした。
「ひっ…!?」
 熱い舌が直接ロイの蕾を解すように辿ると、奥へと侵入を
はじめた。じらすようにゆっくりゆっくりと、体内へ進む別の
生き物のような動きは、丹念にロイの緊張を溶いていく。
 目を瞑っているだけに、余計にハボックの愛撫一つ一つを
敏感に躰が受け止めてしまう。肉襞が解され、今まで経験した
ことのない熱がロイの腰を無意識に揺らさせ、新たな涙を
零させた。
「やっ…やだハボック…… ひっ…あっやぁっ…」

 ようやく収まった凶暴な熱が、ロイの躰を再び支配し、
涙を新たに誘うが、唇からはもはや否定を示す言葉以外を
紡げず、弱々しくもがくことしかできない。

「ん…何がイヤなんですか 嘘つきはよくないっスよ こっちは
こんなに正直に俺の舌放すまいって引き込んでるクセに
 それにやめて欲しいなら 何をやめて欲しいのかきちんと
言わないと解んないっスよ」
「……っ…」
 言いながら再び擡げた昂ぶりを扱かれ、ロイは息を呑んだ。
膝裏を押さえられ、自由を奪い全てを曝け出させたハボックは
これ以上自分を踏みにじるつもりかと、ロイは唇を噛締め
強く首を振った。

「…ま 初めてで『頂戴』まで覚えるのは無理っスかね」
「あぁ…っ…!!」
 ロイの蕾の周りを弄っていた指が、ようやく外された瞬間
鍛え上げられた大柄な体が、ロイへと圧し掛かりゆっくりと
ロイへと進み入った。
 
 刺し貫かれた入口は、溶かされていたとはいえまだ経験の
ない行為を強いられ、ロイに苦行を招く。
「あっ…ハボ……やめっ!あ…んっ…」
「ほら泣かないで大佐 そんな声も…かわいいですけど」
 あやすように、頬に口付けるハボックの明朗さはいつもと
変わらないのに、どうしてこんなむごい仕打ちをしてくるのか。
 悲鳴で喉を引きつらせるロイが、ボロボロ涙を溢しても
ハボックの動きは止まらず、むしろ腰を引き寄せるようにして
猛った剛直をなお深く強く、捻じ込んできた。

 許しを請おうにも、もはや意味ある言葉は紡げない。
嬌声もすでに擦れ声や喘ぎでしかなくなり、ハボックの昂ぶり
がロイの最奥を突き上げると、ロイはびくりと震え再度の熱を
ハボックの腹部へと吐き出した。
「あっ…あ…ふっ… ぁぁっ!」
「イイ声っスね…俺も…イキそうですよ」
 達すると同時、きゅっと締め付けるロイの蕾に、ハボックの
抽出が激しくなり何度も下から突き上げたあと、一度引抜き
ロイの腰が焦れたように揺れるのを見計らって、再度雄を
ねじ込むと後孔に白濁を放った。
「あーーっ ひぅっ!」
 甘い痺れがロイの脳裏と全身を支配すると同時、その意識を
ゆっくりと奪っていく。


「よく出来ました」
 支配欲が満ち足りた声で、ロイの首筋を舐めるハボックに、
主従の言葉が逆じゃないかと、気を失いつつあるロイは
ぼんやりと考え、意識を途切れさせた。

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主人と飼い主の立場たまには逆転