| アツアツの方が美味しいかと、まだ皿にへばりついたチーズ がジュッと焦げ音を出し、グツグツ泡立ててるホワイトグラタンを 大急ぎで大佐の前に持って行き、出来立てをどうぞと進める。 「アチッ!」 食べる前に、フォークに刺したマカロニを懸命といっていいか のようにふーふー冷ましていた姿の大佐は、それだけでも 微笑ましく、おさんどんを押し付けられる気腐れも、あっと言う 間に吹き飛ばしてくれるから、やめられない。 そして、そこまでしているのに、マカロニを食べた大佐の 最初の一言が、熱いの叫びだった。 気質ばかりが猫なのかと思っていたのだけれど、大佐は 性質そのものまで猫に近いネコジタなのかとクスリと笑うと、 それこそ不機嫌な黒猫のように、ちょっと俯いて人の不幸で 笑うなとばかりにねめつけられた。 「あんだけ冷ましてて 火傷したんスか?」 「…中にホワイトホーフがふまっへは」 ああなるほど、マカロニの中にグツグツホワイトソースが 詰まっていたのか。 「ちょっと見せてください ホラあーんして」 「あーんとかいうな わたひはころもじゃらいっ!」 …いやその喋り方は、どう聞いても子供です。 もっとも俺が大人にならないと、どこまで行っても平行線を 辿るのは目に見えてるので、その思いは声に出さず、身を 乗り出して大佐の口腔を覗き込む。 ヤケドしたといって差し出された舌は、確かに周囲の 色より艶やかな紅になっていて痛々しい。 …だが、困った事に覗いた俺に沸いたのは別種の感情。 大佐が素直に唇を開き、その濡れた舌を差し出すだけでもエロ的 要素が高いのに、紅くぬめぬめと別種の生物のように動く存在は、 …何と言うか卑猥だ。 大人しく舌を見せていた大佐を引き寄せ、顎を掴みにっこりと 笑いかける。 「とりあえず応急処置しときますね」 目を丸くしている大佐が、我を取り戻さないうちに唇を重ね、 ヤケドしていそうな箇所を直接では痛いだろうから、その周辺を 優しく自分の舌で辿る。 「んっ…バッ…ハボッ!んぅっ…」 放せと暴れられると、食卓が無残になりそうだから早々に 手を放しホールドアップの体勢で、そのまま起立。 「唾液には殺菌効果があるって教えてくれたの大佐じゃないスか えぇっと…リゾチームとラクトフェリンでしたっけ?」 他の奴に聞いたなら、キレイサッパリ忘れてるであろう薬効成分 まで具体的に俺が上げた事で、多少戦意が削がれたのであろう 大佐は、頬を赤らめまだこちらを睨みつけている。 「あとは 冷やさなくちゃね」 普通に氷を持ってくだけじゃつまらないから、…口に含んで持って ったら大佐はどう反応するだろう? 子供が実験を楽しむ笑顔で、台所へ向かうハボックを見る ロイの顔はまだ火照ったままであった。 |