隠したがる心/オマケ

  この年になって、自分の事で他人が腹を立ててくれるなど
ざらにあることじゃなく、ましてそれが正義感云々といった
理由ではなく純粋に自分への好意からだと思うと、ふんわりと
した心持になれる。

 憤るハボックを宥めるのに、頭を撫でてやるとこの図体の
でかい男が、徐々に静まっていくのが目に見えてわかり、
どうにも楽しくなってしまう。

 別に独りを厭うたことはないし、むしろ自分の
成し遂げたい事を行うのに、人を巻き添えにするよりは
よほど独りの方が楽で来ていたのに、ヒューズのせいで、
人の温かみを知ってしまい、そしてハボックのせいで
その温かみから離れられなくなってしまった。

「なぁハボック お前は私が幼少時代は素直で傷つきやすく
他人を慮る性格だったと告げたら信じるか?」

 元々の私は、臆病で周囲の視線を気にして、良い人間で
あることが…いや違うな良い人間だと周囲に認識されることが
重要で、人への応対も柔和にこなしていたと思う。
 だが望む物が生まれ、図々しいだとか臆面も無く若造が
言いたい事をだとか罵る奴が増えるほど、私の心も成長し、
今の性格になったのだ。
 お前が案じてくれているのは嬉しいが、正直今の私の方が
楽なのだよ、と述べてやろうとした考えが驚いたような
ハボックの声で遮られる。

「元々って…」
 ――信じられないとでも言いたいのか、無礼な奴だと
言いかけて、ハボックが続けた言葉で絶句した。

「大佐 今も充分素直で他人の事考えてるじゃないスか」
 心を優しくしてくれる相手に、素でこう返されては
流石の鉄面皮の自分とて、自然頬が上気する。

「…あ でも傷つきやすいは違うかな」
 どこまでも、真面目な顔でハボックの口にする言葉は
裏が無いだけ、こちらも苦笑するしかない。

 お前が救いだと、傍にいたいと告げてやる。
だからずっと傍に居ろ。

「そんな事俺に言ったら俺が動ける限り
もう二度と手ェ放しませんよ」

 そう言って抱き締めてきたハボックの腕は、やっぱり暖かで
優しかった



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惚気話ロイバージョン