月の下で/オマケ


 必死で俺を突っぱねようと、手で懸命に俺の胸を押す大佐の抵抗は
幾分…いやここが街中の路地裏であるという点を考慮すれば確実に
本気なのだろうけど、体格と力の差で俺から見れば、かわいい黒猫
の気まぐれな抵抗にしか感じられなかった。

「ふ…ふざけるなっ!こんな場所で何を考えているっ」
 先程俺の尻尾を確かめるなんて妙な口実で、抱きつかせるのに
成功した俺は、そのまま大佐を人気のない建物角に当たる路地裏に
連れ込み、壁際へと押し付け強引に唇を重ねた。
「んっ――んんっ!」
 普段なら目を閉じる大佐との口接けも、俺は大佐の反応を見る為に、
開けたまま。
大佐は俺の行動を読めない驚きと混乱の顔で、互いに真近で見詰め
合う 形となった。
引き剥がそうと俺の後頭部に伸ばされた、男にしては細く手袋のおかげ
か滑らかな肌の指が、貪る俺の唇の動きに比例して、力が抜ける。
柔らかな唇を甘噛みし、口腔の普段他の人に触られることが無いような
箇所を舌で舐り、神経の集まっていそうな粘膜を舌先で擽れば、引き
はがそうとしていた掌は、もう縋るためのよすがに変っていた。

「満月は人を狂わせるって本当っスね 淡い月光の下の大佐見てたら
限界きちまいました」
 少し寄りかかる体勢になっていた大佐の細い腰に、硬くなりはじめた
俺の中心部をぐいと捻じ込むと、大佐はその熱に気付いたようで、俺を
ふざけるなとの威嚇を混めた目線で見上げた。

「ああ その挑戦的なアンタの眸…ますます俺を狂わせるって自覚
ありませんよね?」
 耳朶近くでクスクス笑いながらの囁きを聞き、大佐は今更ながら警戒
をしたようだが、もう遅い。
両手首を壁へと縫いつけ、胸ポケットにしまわれている手袋を俺は
唇で挟み取り、後方へと投げ捨てた。

 逃れようと身を捩る大佐の白い首筋に、軽く歯をたて吸い付き花弁に
似た紅い、俺の所有の痕を刻み付ける。
クゥと小さく息をついて、目を閉じた大佐の耐えるような吐息をもっと
聞きたくて、胸元開いた白シャツの上からプクリと膨らんだ先端を唾液
で濡らし舌先で擽れば、それは布地の下から紅く尖りを増した。
「あっ…ハボッ……んっ…」
「かわいいっスよ 大佐…アンタのすることって何でどれもこれも
エロいんでしょうね」
「ふっ…ふざける…なっ…あっ…ん お前がこんな…場所…やっ…」
 涙目で首を振る大佐にたまらなくなって、ボタンを一つ弾いて胸元を
肌蹴させ、左の胸先を吸い、舌で捏ねれば大佐の唇から洩れる吐息の
甘みは、濃くなっていく。
片の胸先だけ曝け出させた、その姿は淫猥で俺の理性を麻痺させた。

 崩れかからぬよう大佐の手を俺の肩に廻させ、自由になった俺の手
はすかさず大佐のズボンの留め金を外し、抵抗の余地を与えず下着
ごと足首へと落とさせた。
「ひっ…ハボ……ま、待ってっ…」

 街中という状況を思い出したらしい大佐が、身を震わせて逃げようと
首を振り、零れる悲鳴が泣き声混じりに変った。
「そんな色っぽい声…出さない方がいいっスよ?酔っ払いや通りすがり
がナニしてるんだろうって興味持って覗きに来ちゃうかもしれませんから
ああ、でもそういった奴らに見せ付けてやるのも趣向が変わって楽しめ
るかもしれませんね――大佐 他人の色事に興味持つ下種たちを
もっとイイ声で啼いて 呼び寄せてみます?」
 勿論そんな奴らに、俺が大佐を見せてやる訳無く、通りに面した場所
からは、大佐の姿が見えないようにしているけれど、いきなり路地裏に
連れ込まれた側からしてみれば、そんな角度など計算できないだろう。
 
 しゃくりあげるような嘆願を喉奥で殺し、潤んだ黒い双眸に、俺の唇端
が上がってしまうのは、マジで狼の狂暴性がどこからか湧いてきている
のかもしれない。
 大佐の中心部に指を伸ばし棹の部分を扱くと、ビクン、と反応を返す
その敏感さが堪らない。指先で鈴口を擽るようになぞり、指の腹で弄る
と先端からトロトロと蜜が溢れ出す。
「やッ…ヤダァッ!」
「…説得力ないの 自分が一番解ってるみたいっスね」

 わざと嘲る表情で耳元で囁けば、大佐は泣きじゃくり、違う違うとうわ言
のように繰り返した。
そんな可愛い抵抗が、いっそうの獣欲をそそるばかりだというのに。
 ビクビクと体を震わせ、俺の手に白濁を吐き出されたソレをわざと大佐
の眼前に晒し、その粘液を指先で大佐の頬に少しなすりつけた。
「イヤ…ねぇ…?」
「…んっ…っく……」
 欲の証を見せ付けられ、大佐は羞恥で紅く染まり唇を噛み締める。

 抵抗がなくなったのをいいことに、大佐の体を反転させ壁に両手を
つかせ俺は屈みこんだ。
「……ヒァッ!」
 何をするつもりだと訝しげだった大佐は、双丘を開かれ蕾にぬめぬめ
とした舌先が潜り込んだことで、ささやかな抵抗を始めたが、クチクチと
解されイヤらしい水音が響く頃には、倒れこまぬよう必死で壁に寄り
かかっていた。
 舌先で円を描くように肉襞をほぐし、ひくつく内部にねじ込ませると
大佐の吐息が哀願だけでなく、熱を帯び始める。
「あっ…あんっ…ハボッ…ハボォ…」
無意識に大佐が腰を揺らし始めたのを確認し、俺はすっかり硬くなった
自分の昂りを大佐の秘穴に挿入させた。

くちゅん、とイヤラシイ音を立てて俺を飲み込んでいくソコは熱くて柔らか
で、キツく締めてきて、たまらなく気持ちが良い。
「やっ…ああっ…あっ…」
 俺の剛直をきゅうと締め付け、嬌声を上げる大佐の声はとてつもなく
甘く俺を酩酊させる。
「スッゲェ…大佐 超かわいいっスよ…」
脚をぐいと広げさせ、腰をさらに押し付けると、大佐は声も無く二度目の
頂点に達し、根元まで差し入れた俺自身を、引き抜き再度突くと同時
俺も快感に身を焼かれる感覚で熱を吐き出した。

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送り狼のお話