喫煙のきっかけ/上
ちょっと出会い独自設定

煙草が値上がりするだとかで、真剣に一日の本数と自由になる
小遣いを、日割り暗算プラス指折りという原始的な方法で計算している
ハボックを見たロイが、呆れ顔で声を掛けた。

「ハボック お前もういい加減に煙草をやめたらどうだ?税金に貢献
させる策として 国家が考え出した有力な方法だし 支払い者が
望んで支払う珍しい財源だが…お前までそうしてやる必要はなかろう
それに我々軍人は体が資本だ 喫煙で失うものは多くても得るもの
は少ないぞ 若い今のうちにやめておけ」
「んー…頭では解ってるんですけど もう習慣っつーか生活の一部
になってるんスよ…一日半ダース減らせば何とかなるかなー」

ロイの禁煙しろの言葉は、ふとした隙にここぞとばかりに繰り返される
台詞であるため、ハボックは返事をしているものの、ほとんどそれは
無意識の呼応で、内容をきちんと踏まえているかは怪しい物だった。

「大体そんな美味しくもない 金を灰にするだけのような習慣をお前は
なぜ始めたのだ 素直でにこやかで子犬のようにかわいらしかった
のに 再会したらいきなりのヘビースモーカーになっているわ私より
デカくなっていくわ 可愛げはどこぞに跳んでしまっているやらで
心底驚いたぞ」


ハボックとロイの出会いは、ロイが士官学校の学生であった頃で、
ハボックはその頃まだ、成長期の少年と青年の狭間にいた。

学生ではあっても既に国家錬金術師の資格を持っていたロイの、
実力検分とばかりに借り出された、東方地区でのテロリスト討伐部隊
は、テロ事件で巻き添えになる事件も多発していた地域であった事
から、その土地の市民より圧倒的な歓迎でむかえられた。

なかでも先陣を切るグループ居たロイは、幾分幼さが残る端整な風貌
と、その印象に反した凄まじい破壊力を発揮し、多くの者達の目にその
姿が焼き付けられ、周囲の者達から遠巻きに畏怖と尊敬の眼差しを
一心に浴びていた。

自分で進んで討伐栄誉を独り占めしてやろうだとか、上を差し置いて
一人活動してやろうとの目論みはロイ当人には無い。

だがあまり目立ちすぎるというのは困ったことで、現場で実働する者達
の一部には、ロイのその活躍ぶりが面白くないと考えている者も少なく
ないらしく、まだガキの分際で上層部に取り入るのがうまいものだと通り
すがりにイヤミを言われることなど日常茶飯事だった。

ヘタをすれば、目立つ芽は摘んでおけ ただし壊さぬ程度にして自分
に従わせておけば役立つだろうと、実力行使でロイをねじ伏せようと
する者さえいて、ロイの心は色々な要因で荒んでいた。

その日は目立った破壊活動は無く、三日ほど前に破壊されたビルの
内部探索だった。
爆薬の焼け跡から、どこにどれ程の量の火薬が使われただろうの解説
を終えれば、あとは検分の役立てることはないなと判断したロイは
「周囲を見張ってくる」と、命令範囲ギリギリの路地角に身を隠した。

「あのっ…凄かったっス!」
さてここなら鬱陶しいやり取りはあるまいと、ロイが小さな息を吐いて壁
にもたれかかった直後、響いたのは変声期を終えたばかりというような、
まだ低さがあまり馴染んでいない声だった。
意を決したと言う様子で、ロイに語りかけてきた金髪の少年は目を輝か
せ、言葉を続ける。

「俺 婆ちゃんがアイツらのせいで怪我したことあってすっげェムカつい
たのに何もできなくて悔しくて…アンタ…あっ違う、えっとあなた達が
やっつけてくれて嬉しかったです!俺も、俺も軍部に入れば皆を護る
為になにか役立てるかな?」
「ん…?そうだな 既に私より少し低いぐらい身長はあるし…運動が
得意そうないい筋肉を持っている… そしてその人の為に役立ちたいと
思える立派な心を持っているのならば 大丈夫だとも」
 
現地の少年との心温まる交流の一時だ、どうせもう二度と会うことは
あるまいと、その場からロイは手を振って離れた。
だがロイの予測は外れ、人懐こい性質を持ったハボックと名乗る少年は、
いつのまにやら顔パスで軍部の駐在地にまで潜り込み、ロイが東方
地区に滞在中 拾われた子犬のように後を付いて廻っていた。

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ちょっとパラレル妄想チビハボとロイが出会ってたら 続きます