| 雪塗れになっていた大佐を、こんな場所に誰も来やしないと部屋に 引っ張り込んだのは10分前。 室内でも火が廻るまでコートが脱げないような寒さの中、どうぞと差し 出された湯気を立てているコーヒーは凄く美味そうに見えた。 「どうぞ 少尉殿」 「…『ハボック』か『お前』でいいっスよ」 「いえ 今の私は伍長でしかありませんので」 手渡されたコーヒーを飲んでみて、驚く。セントラルにいた頃のこの 人の淹れるコーヒーは、壊滅的に苦くて濃くて成分不明な何かで豆 が作られてるんじゃないかと思うぐらいだったのに…普通に美味い。 「コーヒー…普通に淹れられるようになったんスね」 「…以前は少尉殿のお手数をかけて 申し訳ありませんでした」 「…っ!誰もそんな事言ってないだろ!?何で謝るんだよっ」 ずっとずっと逢いたかった大佐に、なんとか名目を作って逢いに 来て、言いたいことはいっぱいあったのに。 俺を見た瞬間も、凍ったままだった大佐の視線で俺は何も言えなく なった。帰ってきて欲しいと、会いたかったと、離れたくないとの思い すべてはあの視線だけですべて、存在しないことにされたのだ。 「申し訳ありません」 「…アンタはっ……!」 「ハボ 落ち着け」 激昂しかけた俺を、一緒に来ていたブレダが押し留める。 「俺らはここの監査も含めてお邪魔したので二〜三日お世話になり ます 伝令を飛ばすのも手間だと前もっての通知なしの通達ですが よろしくお願いいします」 「了承いたしました このような辺境の地までご足労お疲れ様です」 美しい、綺麗な敬礼は俺の記憶にある大佐と同じ。 …ただその顔の1/3を覆う黒い眼帯さえなければ、どこも違っていな いのに。 大佐一人しかいないこの駐屯地では、部屋というものがなくそれぞ れの寝室代わりに仕切りとなっているのは厚くないカーテンという布 のみだった。自分はこちらにいますといった、大佐の眠る一角に 向かうと大佐は焚き火の灯りで本を読んでいた。 「…大佐…」 ――こっち見て。俺へと顔上げて。帰ってきて。 「…今の私は伍長、です 少尉殿」 何もかもが、今の返事で否定された気持ちになる。 「じゃあせめて名前で呼んでよ …命令するから」 「…ハボック…殿……」 ああ、もう俺を個人としても見てくれないのだと絶望に捕らわれる。 強く顎を引いて、無理矢理大佐に俺の唇に重ねさせた。 「んっ……!」 一瞬逆らおうとした手は、次の瞬間には諦めた様子で絨毯の上へ 下ろされ大佐は無抵抗になった。 「なんで殿なんて付けるんだよっ!?言えよハボックって敬称なんて つけないでジャンって!」 無抵抗になった大佐に再び口接けて、冷えた躰とは対照的に熱い 大佐の口腔に舌を潜らせ、柔らかで甘いそこを貪り反応を引きずり 出す。 「…ん…ハァッ…少尉殿 ブレダ少尉が目を…醒まします」 透明な糸が、俺と大佐の唇を繋げ全身の力がないくらいくったりと した大佐が、唇を拭って返してきた第一声は、それだった。 どこまで、俺を否定すればこの人は気が済むのだともう何も考え られなくなった。 「じゃあ 声出すんじゃねえよ」 ぼんやりと顔を上げた大佐の肩を、床に叩きつけて俺は圧し掛か った。甲高い音を立てて、弾けとんだボタンが顔に当たってようやく 大佐は俺が何をしようとしているか悟ったらしい。 身体を反転させて、逃げようとするのを腰を抱えて引き戻し、最後に 残ったボタンに指を引っ掛け俺がにやりと笑う。 「…ブレダに 目ェ醒まされたら困るだろ?伍長」 言いながら合わせ目を引っ張れば、ボタンは用意に跳んで白く滑ら かな大佐の胸が露わになった。 元々日焼けしにくい体質だったのは知っている。こんな雪しかない 国に半年ばかりいただけで、記憶にあるどんな女よりも白くなって しまっている大佐の肌は、俺の最後の理性の箍を外させた。 「声…出すなって言うんだろ?お望みどおり何も喋らずいてやるよ」 大佐の弱い箇所を徹底的に責め、なぞり、撫でて達してもまた同じ 箇所を弄り舐めて。無言のまま、大佐が泣いて首を振り続けるのを 捕食者の表情で見下ろし、敏感になっている同じ箇所を何度も嬲る。 息を切れ切れに、懇願の眼差しで見上げてくる大佐はそれでも 「やめてくれ」とは言わず、ますます俺を苛立たせた。 何度も白濁を吐き出させられハァハァと荒い息を繰り返す大佐に、 汚れた俺の指を舐めろと突き出すと、それすらにも潤んだ目のまま 大人しく大佐は従った。 ――チガウ こんなことをさせたいんじゃない。 指の股を、涙目で舌で拭う大佐が愛おしくて、どうしようもなく憎い。 後頭部の髪の毛を引っ張って引き剥がすと、何度も指を突っ込まれ 解された大佐の蕾に俺自身を当てた。 ピクリと身震いして身構える表情になった大佐の反応に、俺は嬉し くなって容赦なく最奥まで突っ込んだ。 熟知している、大佐の感じるところを幾度と攻め立て。それでも声を 殺そうとする大佐にまた苛立って。 自分の欲望が収まるまで大佐を揺さぶり続け、気が付いたら大佐 は既に気を失っていた。 「何で…だよ……」 俺は大佐に会って、しばらく逢えなくても大丈夫だと思える確信が 欲しかっただけなのに。 大佐の笑顔が見たくて、ハボックって名前を呼んで貰いたかっただけ なのに。 白く細く…それでも必要な箇所には必要な筋肉が付いた、綺麗な 締まった身体を抱き締めながら、俺は今自分の頬に流れているもの が涙であると、ようやく気付いた。 *************** 11/8 9:00〜(イイハボック)チャットでお邪魔して泣くハボの話題から練成してみました 伍長はドMですからハボックにあくまで敬語で、ハボいらっ!→ジャク化 …ロイはきっと ここまで堕ちてしまった自分にハボを付き合わせたくないと切り離そうと一生懸命だったり するので タイトルすれ違う心にしてみたりでした |