はろうぃん オマケ5・6

5
「…ただいまー」
最後の訓練所をまわり、まだ食べ盛りの青少年達や食欲旺盛タイプの
おっさん達からもお菓子を山と巻き上げた大佐ってすげえと、ハボッ
クは荷物の重みを腕に感じながら思う。
 …実際訓練所で巻き上げたのはハボックであったが、いまだ当人は
気づいていない。

「お帰りなさい!ハボック少尉」
「お疲れでした」
 ロイを背負って帰ってきたハボックは、半ば事務業務放棄という
形で半日を潰したというのに、出迎える面々の表情は柔らかかった。
「おーっ 今日はすごいな籠一杯プラス大袋三つ…お、しかも甘い
やつだけじゃなくナッツとかジャーキーまで!」
 ハボックの腕にかかった荷物を受け取り、中がギッシリと詰まって
いるのを確認したブレダが感嘆の声を上げた。
 紙袋を囲んで騒ぎ立てる面々の大きな声で目を覚ますかと案じたが、
ハボックの背中でくぅくぅと寝息を立てているロイは起きる様子が無く
熟睡しているようだ。

「これ…大佐の机の右下どころか 全部の引き出し使っても入りきら
ねぇけど…どうするんだ?」
「ああ、引き出しに入りきらない分は大佐と中尉の毎年のお約束で僕達
のおやつや夜食にするって取り決めなんですよ」
 にこにこと嬉しそうにしているフュリーは、次々出てくるいろんな
キャンディーを、綺麗だなと色ごとに机上で並べている。
どうりで半日サボってるという形でロイと二人連れでいなかったという
のに、周りがにこやかな訳だとハボックは納得をした。

「大佐は…俺達の分も集めようと頑張ってきたのかな…」
最後の方では、疲れが出たのか口数が少なくなっていたロイを思い
出して、少し感動を混ぜたハボックの呟きに
「いや書類処理をやるよりは そっちの方が楽しいからだろ」
容赦ない現実的なブレダの言葉は、大変な説得力を伴っていた。

 菓子の分類を他の者に任せたハボックは、ロイの個人執務室の方へ
と移動しソファにそっとロイを下ろす。
眠りを妨げぬよう行動したつもりだったが、それでも今迄凭れていた
背中の温かみが失せたことからか、何かを探すようにわきわきと暫く
指を動かしていたロイは、指先に探す物が見つからないとばかりに、
ゆっくりと薄く目を開いた。

「…ワン…?」
「はい ここにいますよ」
「今日は…楽しかったか…?」
「そうっスね 書類相手に格闘してるよりは面白かったですよ」
「じゃ…来年は…お前も……仮装して……」
 そこまで言って、ぱたりと倒れたロイはまた静かに眠り始めた。

 口元が微笑みの表情で、むにむにと動いているのは何かを食べている
夢でも見ているのだろう。
自分の上着を脱いで、ロイへと布団代わりに掛けたハボックは
「でも『どらぱいやー』と叫ぶのは勘弁して下さい」
と呟き返し、小さく笑った。

6 
「ほらよ お疲れさん」
 綺麗に箱ごとに分類された収穫品の中から、缶コーヒーをブレダが
ハボックへと投げて渡した。
「…山分けは聞いてるけど一応大佐に聞いとかなきゃ 勝手に飲んだ
らまずいだろ」
 ハボックの問いに、缶を握るジェスチャーをしたブレダがその側面を
見ろと促す。そこにあったのは『無糖』の文字。
 なるほどうっかりこれをロイが飲んでしまった場合「苦いものを飲んだっ!
だから今日は甘いおやつを倍食べる!」
と無茶な理屈をこねるのが目に浮かび、いよいよ自分が保父さん心境に
達してしまったかと思ったが、無糖コーヒーを取り出して誰も何も言わない
辺り、皆も同じ考えに至っているのだろう。

「中で少しお話をされていたみたいですけれど 大佐起きてらっしゃたん
ですか?」
「いや 半分寝てたけど…来年は俺にも仮装しろってさ」
笑いながら告げるハボックに、フュリーはぽふんと手を打って少尉も仮装
ですか、似合いそうですねと素直に返した。

「その場合…えっと狼男ですかね?」
「まんますぎるだろ」
犬属性が狼男を演じた場合、それは仮装になるのかのツッコミに
「えーっとじゃあ…フランケン?」とフュリーが首を傾げた。

「…フランケンってどんな服だっけ?」
歩く時点の異名を持つファルニャンにハボックが尋ねると、ファルニャンも
言葉に窮した様子で、知識を披露した。
「一般的には顔に傷、コメカミ辺りに捻じ込み式のボルト…という辺りが
共通ですが服装はマチマチですね 多いのは囚人服や一般的階級の
若者の服裾などをカギ裂きにした…というのが多いようですが」
「…軍部内で囚人服はシャレにならんだろ カギ裂きの服…は普通に
お前着こなしそうだよな」
「そう、ですね少尉ならば街の若者といった雰囲気で」
 同意を示したファルニャンは、年代的にそう離れてはいないのだが仮に
自分が同じ服装をした場合でも、そうならないと弁えての答だろう。

「えーっとじゃあ残り有名どころは…ミイラ男ぐらいか?」
 軽く訊ねたハボックに、他のものは一同顔を見合わせた。
「それ…過去に大佐がやろうとして 中尉から禁じられてるんです」
「なんで?包帯ぐるぐる巻くだけで費用だってそんな掛からないし 囚人
服みたいに何かと間違えるなんてこともないだろ?」
「そのー包帯を巻いている最中 ヒラヒラ舞う包帯の切れ端に我慢して
いた大佐が 途中でやっぱり我慢できないっ―って跳びついちゃって…
結局そのまま転がって包帯で雁字搦めの拘束状態 涙目紅い顔になった
大佐が気付かれるまで 部屋隅で放置されていたことがありまして…」
「…あれ 気付いたのも俺らじゃなかったから大変だったよな…息荒く
ハサミを持った奴がハァハァしながら 『し、しばらく大佐のその可愛らしい
姿を堪能させてください』なんて言ってるもんだから変質者かと勘違い
して 中尉が撃ちかけたし」
「…勘違い…でもなかったような気もしますが」のファルニャンの呟きは
現在ハボックには届いていない。

――包帯プレイの緊縛涙目放置プレイ付きとなっ!?
いやいや にゃんぐ大佐が包帯で絡まって動けなくなっちゃっただけだぞ、
落ち着け俺! 駄目だ駄目だ錬金術師オトナバージョンの大佐で想像
するんじゃない俺っ!!!!

「そそ、そ、そうだよな 危険だよな!絶対駄目だよなっ!!」
拳を握って力説するハボックに、やっぱり少尉は大佐思いですねと純粋に
賛美するフュリーは、勿論ハボック脳内の現在の思念に全く気づいては
いなかった。


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 このお話はハロウィンの祟りにかかったのか 短編だしとyaho○(あれ?伏字にならない)
ノートパッドで書いていたのですが、文字数オーバーだとかで半分以上消えたり接続タイム
オーバーだとかで全部消えたりと4〜6を全て書き直す羽目になったため苦労しました…
これで終了です