| 壁際へ追い詰められたロイが、必死な面持ちで首を振る。 ロイとハボックの体が入れ替わって数日、ロイのフリをして毎日の職務をこなす という日程に疲れてハボックが、ついにキレたのだ。 「落ち着けっ!それにまだ三日だひょっとしたら明日には戻るかもしれん 第一お前だって自分相手に…その色々と……無理だろう?」 伸ばされた指が、首筋を辿る動きにロイがビクッと震えた。 「ヘェ…見た目自分でも中身違うとやっぱ印象全然違うんスね 俺なら問題 ナシですから無理じゃないっス」 そうやり取りしたのは、確か昨夜のこと。 つまりは、ロイとハボックの体が入れ替わってしまい三日が過ぎたという 事で、色々な重圧と鬱憤により箍の外れたハボック……外見ロイが、本来自分 の物である体にのしかかり、据わった目をして迫ってきたのを、何とか切り 抜けたロイは、結局翌日になっても元には戻れず責任を追求されていた。 「あの…な…確かにお前に無茶な振る舞いをさせたりは反省している だから といってこういう不毛なマネはよせ …これは元はお前自身の物だぞ」 懸命に説得しようと努めるロイは、緊張感に満ちた顔で壁際ギリギリ隅迄 にじり下がった。 「俺は大佐の中身も込みで好きなんで 大丈夫ですよ」 サラリといって退けたハボックの台詞は、見た目がロイであるだけに一見 優男の口説きに聞こえるが、確実の本気だ。 「私は大丈夫じゃないっ! 大体な、何が楽しくて自分を相手にそんな事を しようと思えるんだっ!!わ、私は私自身に…あんな事をされたりするのは ゴメンだっ!…っていうか無理だっ」 「あーじゃあ目隠しして差し上げましょうか?」 両腕で自分の動きを封じ込めたハボックが、不穏に笑うのを見たロイは奇妙 な事態を招いたロイを口先で弄るだけでなく、どこまでも本気だと悟り血の 気を引かせた。 「め…目隠しとは……」 「自分の顔じゃ萎えるんでしょ?だったら見えないようにすれば問題なしじゃ ないっスか」 「い…嫌だっ なんでそんな変質的な行為を よりにもよってこの状態で 試さねばならんのだっ!」 日頃の鍔迫り合いであれば、体格の差から来る力の違いでロイの方が不利 であったが、幸か不幸か現在は力関係も逆転しているようだ。 何とか手を振り解こうと体勢を立て直したロイが、その状態に気付き顔を 僅かに輝かせたのを見取ったハボックが、ロイの耳朶近くに唇を寄せた。 「これ以上逆らうなら俺 鏡見ながら―一人エッチ――しますよ?」 はっきりと聞き取れたのだが、普段の自分の声でとんでもない台詞を告げ られたロイは、返す言葉がなく唇をパクパクと声無く開閉するばかりだ。 「普段大佐が恥ずかしがって見せてくれないエロい顔とか見放題だし 自分 でどこが感じるか確認できるし 普段殺されちゃう喘ぎ声ももう思いっきり 出しまくってみるっつーのもいいかも……あ、ついでに絶対試せねぇ小道具 とか衣装もありっスね 首輪とか手錠とか猫耳とか…写真も撮っとこかな」 「ありじゃないっ!!ないないない 絶対なしだっ!!だ、大体見た目が私で あっても その場合それらいかがわしい物を身に付けるのはお前だぞ! 落ち着けハボック!」 「いや 俺は普通に落ち着いてますし」 「な、ならば私も同じことをしてやるぞっお前が私の体で猫耳つけたら私も この体に付けてやるし首輪を付けたら同じく着けてやるっ」 「へぇ…大佐が自主的に? 俺はさっきも言いましたけど中身大佐なら問題 なしなんで楽しんで見物させてもらいますよ」 「そ、それに感じると…いっても…私が…その…反応しているのではなくお前 が…気持ちいい気分になってるだけかもしれんだろうが!」 「あ、いえさっき 俺自身なら触られても全然平気な脇腹とか指腹でなぞって みたら この体だとすげぇむず痒いっていうかやわやわした痺れみたいなの 感じて ああこれ普段大佐が感じる箇所なんだって確認したんで」 「うっ………」 鏡の前で自分を慰める行為を行ってやるなどと、恐ろしいことを言いのけた ハボックは昼間の鬱憤も積もっていたのか、ロイが同様の行為をし返すと告げ ても、本気で引く気配がない。 「あ…あと二日っ!」 「…は?」 「あと二日経っても戻らなければお前の言うことは何でも従ってやるし聞いて やる だがここで無理やりな真似をしてくるのであれば元の体に戻っても 一ヶ月は指一本触れさせてやらんし それに今の体だったら私の方が力が あるのだから 最悪お前を押し倒してやるぞっ!」 「…まあ大佐に押し倒されるってのも 滅多にない経験だから面白そうっスけど …一ヶ月はキツいなあ……二日かあ…絶対約束っスよ?」 「も…勿論だとも!」 体を張った訴えの後こくこくと頷くロイは、二日立っても戻る気配が無かったら どうやって逃げよう、頼むからどうにか無事戻れますようにと、日頃信仰せぬ どころか否定すらしている神に祈るばかりであった。 ************** お絵描きチャットで躰取り替えたままの二人は夜どうするかの話題になりましたので書いてみた …ハボックが切れました(笑) |