とりかえばや/番外

(番外続きです)


「お湯用意できましたよ」
 ロイの二の腕を強い力で掴んだままのハボックは、振り返ってにこりと笑った。
その微笑だけを見れば、無邪気な思いやりからの行動に見えるが、実際は邪ま
が多分に含まれた行動で、腰を落とし動くまいと頑張るロイを圧倒的な力で簡単
にハボックは胸元に引き寄せた。

「んーホントだ 確かにいつもの大佐の香りの中にちょっと俺の煙草の臭いが
残っちゃってるっスね」
「お前は犬かっ! こらっやめろ!ヘンな所の匂いを嗅ぐんじゃないっ」
 くんかくんか鼻を鳴らしロイの頭髪に顔を寄せていたハボックの頭が、首筋
から下へとゆっくり落ち、さりげなくシャツのボタンを外していった。
「…っ!お前どさくさに紛れ……」
 ハボックの指が、外気に触れ尖ったロイの乳首を指股で挟み、伸びた指が
滑らかな肌の感触を楽しむようにゆっくり這う。
「こらっ ハボック!お前何を……あっ」
「何って風呂入るのに服着たまんまって訳にはいかないでしょ? 責任きっちり
取らせて貰いますから」
「服を脱がせると言うのならこの手は何だっ!」

 自分の胸を揉むように動き回るハボックの大きな掌を、ロイは懸命な力で引き
剥がす。
「そりゃ 目の前にこんな美味しそうなモノが存在してたら反応しちまうのが雄の
サガってもんでしょ」
 悪びれた様子なく、ハボックは手首を掴むロイの指を一本ずつ外させその手は
あっさりまた、白いシャツを剥いていく作業に戻ってしまった。
 目の前にいるのが同性であるにもかかわらず、露わになってしまった上半身
が恥ずかしくて堪らないのは、その視線が捕食の対象であると告げているから
で、ロイはそっと両腕を組む形で胸元を覆った。

「女の子じゃないんだから」
 胸を隠したロイの腕を、ハボックは両手首を拘束して持ち上げ外し笑った。
「…お、お前相手じゃなきゃ隠したりするものか」
「フゥン? 大佐自分が貧乳だから恥ずかしがってるんだ」
「バカを抜かすなっ!男相手にボインも貧乳もないだろうっ」
「ま、そうなんスけどね …そうだ女の子って胸揉んでやれば大きくなるって言い
ますよね…大佐 試してみません?」
 ふと思いついたという表情で、両の長い指をわきわきと動かすハボックの言葉
に、ロイが一歩後退した。

「…試すとは何をだ」
「だから男の胸でも毎日揉んでたらデッカくなるか」
「ふざけるなっ! 大体仮になったとしてもお前は 男で巨乳というそんな気色の
悪い存在に私をしたいのかっ!!」
「いや 俺は大佐が貧乳でもボインでも問題なしなんで大丈夫っス」
「私は大問題だ!!断るっ!!!」

「っちぇー大佐のケチー」
「誰がケチだ!お前の思考回路はどうなってるのか私には全く理解できんっ」
「じゃ、胸揉むのを諦める代わりに……」
 ニッと唇の片端を上げたハボックに、逃走しようとしたロイは容易に捕獲され
背中越しに、鍛えられたハボックの腕の中へと封じられた。
「やっ…ハボッ……おまっ…何を!」
「んー胸そのものがダメって言うのなら こっち堪能させてもらおうかなーって」
 耳朶近くで囁かれる低い声が、ロイの背筋をゾクリと震わせる。
鍛えられた固い指が、ロイの乳首をきゅっと摘み空いた指先で先端を擽る。
「んっ…ハボ……やぁっ」
「相変わらずココ弄られるの弱いっスね ロイ…もう腰砕け?かわいい」
 ちゅっと首筋に落とされた唇にまで、一度感じやすくなってしまった体は敏感に
快感を受け止め、ロイの頬に朱を走らせた。

「あっ…ヤダ……もうやめ…ふ、風呂に私を入らせるんじゃ…なかったのか」
 嬌声を零してしまわぬよう、息絶え絶えといった風情で洩らされる吐息混じりの
ロイの台詞に、はぼっくはにんまりと表情を緩めた。
「大佐 風呂場での方が好みっスか? 了解」
胸の先端を片手で嬲りながら、もう片方の手でハボックの指先はロイのベルトを
器用に外す。
 
 ロイの唇が拒否ではなく涙声で許しを乞う言葉に替わる頃には、既に全身の力
は抜け切り理性は跳び去っていた。
 ハボックに美味しく食べられた後、煙の匂いが消え去るまで体の隅々余す所
なく洗われたロイはくったりと、上機嫌なハボックに姫抱っこをされ寝室へと運ば
れていくのだった