退魔師 下

「あっ やぁっ……ハボッ…やだ…もうイヤ…んぅっ…」
快感に支配され、それでいて蜜を放つことを許されぬロイはうわ言のように、蕩けた声を
発し続けるが、普段おおらかで優しい瞳を持つ相棒は、蛇淫の精の性をロイに存分に
発揮するよう、ひたすら弄り続けるだけだった。
 麻痺した思考にも、羞恥心は残る。情欲に染まった視線が、ロイを視姦し続け、
ハボックの動作一つ一つに敏感に反応させロイの脳裏を沸騰させた。

 伝った滴でぐちゅぐちゅに綻びた蕾に指を潜らされ、中を捏ねられる。
先程まで窄まりを犯していた舌は、今はロイの中心の先端を擽り、その感触に背を
弓なりに曲げて、首を振り続ける反応を楽しんでいた。
「も…やぁっ……あっ……ひっ…」
ただただ流し続ける涙は、もはや生理的なものなのか感情からくるのかが解らない。
根元を締め付けられた昂りは、絶え間なく与えられる快楽のために張り詰め、ロイに
苦痛を与え続けた。
 伏する屈辱よりも、脳裏を煽りびくびくと震わせることしか許されていないい下肢を
解放して欲しい気持ちに支配されて、ロイがしゃくりあげながら、小さく呟いた。

「おねがっ…も…許し…あふっ…」
 喉を鳴らしたハボックが、ロイの白い肌にむしゃぶりつきそこかしこに紅い痕を散らし
ロイに嬌声を上げさせる。
前のボタンを引きちぎられ、シャツ一枚で草叢に縫い付けられたままのロイの姿は、
標本にされた美しい獲物そのもので、ハボックに取り憑いた妖しの獣欲を充分に
満たさせた。

「ひっ…あァッ…!!」
ロイの無意識に引いた細腰を抱き寄せ、ハボックが楔でその窄まりを穿つ。
容赦のない結合は、それでもロイの感じる箇所に刺激を与え痛み以外の悦楽を呼び
覚まし、ロイの昂ぶりから透明な滴を溢れさせた。
「ハボッ…ハボ…もっ…イカせ……おねがっ」
 耳横で響く獣のような荒いハボックの息音は嫌悪でしかないのに、それでも感じる体
が疎ましい。すでにそんな論理だった思考はないが、それでも羞恥に捕らわれたロイは
首を横に曲げて視線を外し、ハボックへ許しを乞うた。
 ハボックがニィと小さく唇の片端を上げ、パチリと指を鳴らすとロイの中心を締め付け
ていた細い蔓は解け、ハボックの楔に最奥を貫かれた。
 何もかもが解らなくなる享楽に、熱い飛沫を吐き出しロイは腹部を汚す。
ひくひくと蠢くロイの裸体は、潰された草の汁と自分の吐精、涙や唾液に塗れ艶かしいを
通り越し卑猥ですらある。
力なく横たわるロイの両脚を腹部に付くほど折り曲げさせたハボックは、また勢いを持ち
始めた自身の剛直で、蕾の入口の狭さを味わうようゆっくりと突き入れては抜き、その
感触を楽しんでいた。
「んっ…」
 その都度きゅっと締まりハボックを包む粘膜と対称的に、一度解放を赦されたロイは
快楽に咽ぶ声を必死で噛み締める。
 だがその耐えようとする反応が、赦せないとばかりハボックは先程の結合で、ロイの体
が大きく揺れた箇所を、執拗に攻め立ててきた。
「ひ…っあ、ああんっ……ああぁっ――ッ」
 絶望にも似た射精感に支配されたロイは、二度目の快楽に達し白濁を飛び散らせた。

「ロイ……ロイ…起きて……」
 既に何度貫かれたのか解らぬロイは、いつのまにか手足を縛っていた蔦がなくなって
いるのに気付く。
柔らかく頬をさする、節だった長い指。ゆっくりと覚醒した意識が、最初に認識したのは
金の髪の見慣れた男だった。
「ハ…ボ……?」
「すみません 俺がちょっと油断したばかりに乗っ取られるなんて最悪の…違う…アンタ
に申し訳つかないこと…しでかしちまって…」
「…おま…え…」
「はい今は俺自身です その…アイツは低級な色情霊が幾体も集まって澱んでいた者達
みたいっス その今まではここで交わろうとしている男側を乗っ取って…」
言い辛そうに、視線を泳がせたハボックに代わりロイが続けた。
「欲望を果たそうとしたが 生身の男達ではその霊力に負けてしまったという訳か
…幸か不幸か…お前であったから乗っ取られても狂わずに済んだようだな」
「ヤツ等満足したみたいで…やっと弾き出すことが出来ました 睨まないで下さいよっ
実質表現なんだから仕方ないでしょう!?」
「…お前は欠片も楽しんでなかったと 私の目をまっすぐ見て誓えるか?」
「うっ…いや…その…体は支配されてても…俺の意識や見てるものは そのまま脳に
反映されてますから……まあロイの体ってばエロいなあとかぐらいは…」

 ハボックの頭を小突いて、ふーっと大きく息を吐いたロイの顔が再び擡げられた時、
すでに迷いはなかった。耳をこらし、周囲へ意識を研ぎ澄ませるとまだ名残ある低級霊
たちのほうへ向き直り退魔の呪文を唱える。

 淀みなく綴られた言葉は、美しい朱橙色した焔を紡ぎ、物質を焼かずに歪んだ慰みを
欲した者達だけを焦がした。
「暴悪の形相をなせるものよ、我は命ず 即刻に即疾に打ち払われ給え除かれたまえ
清められたまえっ!」
「――――ッ!!!」

 悲鳴すら、残させぬ業火。
だがそれは、つまらぬ未練といった残余までをも消し去り、浄化をさせてやるロイの圧倒
的な力であり優しさだった。

「…ハボック…仕事は済んだ」
 こくりと了承の返事を寄越したハボックは、ロイのまばたきひとつの合間にすでに白蛇
に戻っている。
差し伸べられた腕からハボックはスルスルと昇り、定位置であるロイの首筋へと戻った。
「あとは…この草の汁だらけのシャツをどう言い訳するかだな」
 用意された宿の主人は、丁重に湖へとロイを見送ったあの性格からしてきっとまだ
起きたままロイの帰りを待っているだろう。
――いっそ眠っていてくれれば、ヘタな言い訳をせずに済むのだが。

「ここに居たのが草の化け物だったってのにしとけばどうスかね」
耳朶近くで囁くハボックの声に、他の言い訳も思いつかなかったロイは
そうするかと呟き、村へと戻っていった。


 
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お絵描きチャットで、S様が描かれた和風オカルトロイの絵から妄想話が膨らみ、
退魔師ロイと相棒の白蛇ハボのパラレルをとのお話になりましての練成です(笑)…
えーっと肝心の退魔系シーンほとんど数行じゃねえかとかそういう真実のツッコミはご容赦くださいませ
 ハボロイで初のまったくのパラレル設定です