「身毒丸」 演劇(ビデオ)
見る前からかなり覚悟をしていました。なんたってこのタイトルに
「おかあさん、もういちどぼくをにんしんしてください」
でしょ。しかも、出演が白石加世子! 強烈だろうなぁ。
見終わった感想としては、思っていたより変態チックではなかったな(笑)。もっと吐き気を誘うような作品かと思っていたのですけど。でも、期待以上の作品でした。
題材はわりと堅めかなと思いましたが(違うかな〜。あんまり自信ない ^^;)、見せ方がね、すごい。ものすごく、綺麗なんです。
綺麗と言っても、宝塚の綺麗さではなくて、グロテスクな綺麗さ。食虫植物の美というか、道ばたに散らばった内臓の美しさ、といった感じ。最初のシーンからもう別世界でした。狐の面をかぶった花嫁や顔が老女の少女が踊っていたり、「古き時代の逢魔が時」ってこんな感じなんだろうな。使われている音楽や唄も、たびたび詠まれる歌も、日本独特の暗さというか狂気にぴったりで迫力があるんです。わたしは現代短歌とか歌はあまり好きではなかったのですが(どうしても「サラダ記念日」のイメージがあるのでね)、こんなに短歌が色っぽいとは思いませんでした。そういえば、与謝野晶子なんかも色っぽいですが、ここで使われているのはもっと狂気がこもっていて、「身毒丸」の世界を形作っていました。
作品中で歌われた短歌もメモしておきたかったのですが、舞台に飲まれてそれどころではありませんでした(笑)。今度見るときは、きちんとメモしよう。
見ていて「ひゃー」とか「うわ〜」という感想しか出てこなかったのですが(笑)、こういうしっかりどっぷりはまらせてくれる作品は大好きです。この作品は、ストーリーを云々言ってしまうと面白さが減ってしまうんじゃないのかな。大人しく舞台の迫力に飲み込まれて、「うわ〜」と言っているのが楽しいと思います(笑)。
出演が白石加世子と武田真治なのですが、お二人ともぴったり。武田くんは最後のあいさつの部分でもまだ「しんとく」のままだったように感じました。あの強烈に濃い世界を演じると、「はい、終わりです」で生身には戻れないんだろうな、と勝手に推測(笑)。でも、二度目に出てきたときは武田くんに戻っていたようで、ウインクをしながらの投げキスはとってもチャーミングで可愛かった〜。うーん、あんな息子が欲しいぜ。
そして、さすがの迫力、白石加世子! 迫力があるなんていうのを通り越して、怖いんだもの。なにかの読み物で「化け物的な存在感」とありましたが、本当にその通り。舞台だったらもっと怖かったろうな。よかった、ビデオで(笑)。