
6789番キリ番リクエスト「涼」 詩
作:素顔のピエロさん
絵:涼夜さん
「まどろみの中」
目を閉じてまどろみに身を委ねると
ぼくはゆっくりと沈んでいった。
空気が泡になって
水面を目指してのぼっていく。
きらきらと輝く水面を目指してのぼっていく。
だけどぼくは沈んでいく。
底へ底へと沈んでいく。
まどろみに身を委ね
もっと深くへ沈んでいく。
波間に揺れる光のカーテン。
聞こえてくるのは静寂の音。
光と静寂が織り成す交響曲。
ぼくはゆっくりと息を吐き出した。
息が泡になって
水面を目指してのぼっていく。
光が泡を弾く静寂の音。
どこかで聞いた、懐かしい音。
それはきっと
生まれる前から聞いていた光の音。
まどろみの中で
誰かがぼくを呼んだ。
ふわり。
今度はゆっくりのぼっていく。
水面を目指してのぼっていく。
蝉の時雨が聞こえてきたよ。
暑い日差しが戻ってきたよ。
ぼくはゆっくり目を開けた。
おはよう。
君が、笑った。