「版画のコト」
〜簡単にご紹介〜


作品を展示すると色々な方から「どんな風につくってるの?」と聞かれます。
言葉で説明するのはあまり得意ではないのですが、簡単にご紹介させていただきます。
基本的な部分を説明しているので
「そんな風にやってるのね〜」という感じで軽くごらんください…。


基本的なエッチングの一色刷り。

1.
表面を磨いた銅板にグランド(または黒ニス)を塗って乾かします。

2.
グランドが乾いたら銅板を、ニードル(先のとがった鉛筆のような道具)など、色々なものを使ってひっかいて銅の部分を露出します。


3.
版を腐蝕液(塩化第二鉄や硝酸など)につけます。この時グランドがはがれて銅が露出している部分が腐蝕していきます。

4.
塗っていたグランドをホワイトガソリンやリグロインなどを使って落とします。
描写した線や面が腐蝕されて凹んでいます。

5.
腐蝕された部分にきちんとインクが入るように版全体にインクをつめて…


6.
線に詰まったインクをとらないように、表面の余分なインクを拭き取ります。


7.
湿らせた紙を版の上にのせてプレス機にかけます。

8.
紙をそっとはがしてみると線に詰まったインクが紙にのって…できあがり。

一版多色刷り。

いまはパリのアトリエでやっていた「一版多色刷り」という方法で刷っています。
これは硬度・重さの違う2つのローラーと、オイルの量を変えた数種類のインクを使い分けて一つの版で一度に刷る方法です。
方法はシンプルなのですが、色々な加減がわたしにはまだ難しく…奥が深いです。
ここでは刷りの様子を簡単にご紹介します。(photo : H.OKUDA)

1.
版の作り方は通常のエッチングと同様ですができるだけ版の凹凸があった方がこの技法が生きてくるようです。

2.
版の凹みが一番深い部分に入るインクを詰めて、表面(凸部分)のインクだけを拭きます。

4.
版にのせる2種類のインクを準備します。
ローラーもインクに合わせて2種類使います。
表面が固く、軽量のローラー(ハードローラー)はオイルをたくさん入れたインクを、表面が柔らかく、重さのあるローラー(ソフトローラー)にはオイルを少なめにしたインクをのせます。

4.
ここで使うインクは銅版画用ではなく、オフセット印刷などで使われるインクでした。リトグラフのインクでもいいようですが…。

5.
先ほどの凸面をふき取った版にインクの付いたそれぞれのローラーを順番にのせます。
まずはハードローラー、次にソフトローラーです。

6.
版をプレス機にのせます。あらかじめ湿らせておいた紙をのせて、プレス機をまわします。
途中で手をとめるとプレス機の跡が残ってしまうので一気にまわします。


「ひと休み」(2003年)

7.
そーっと紙をはがして…できあがりー。
この紙をはがす瞬間がとても快感です。

ローラーとインクの関係を簡単に図で説明すると…こんな感じでしょうか?

ちなみに、この「ひと休み」では、1番はじめに凹部分に「青」を版につめて、凸部分のハードローラーは「白」、ソフトローラーは「オレンジのグラデーション」をかけました。

ここで使うハードローラーは購入がムズカシイので、わたしは手作りハードローラーを使っています…。

通常のリトグラフ用のソフトローラーでも、オイルの量を調整することで、きれいに一版多色刷りを刷ることもできるようです。



色の組み合わせや、ローラーの通し方などで色々な作品になります。

他の版種と組み合わせたり…まだまだ学ぶところはたくさんありますが、
そこが「難しいけど奥が深くてオモシロイ」と思えるところなのでしょうか…。




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