淡々としていなくもない日常>>遍路日記目次>>04月02日

04月02日

岡田屋→86志度寺→87長尾寺→88大窪寺→八十窪(香川県大川郡長尾町)


めざせ八十八番

「できるだけ早く」岡田屋を出る。5:40にしてすでに十分明るく、やや冷たい空気が張り詰めているようでたいへん心地よかった。夜が明けるなあ、という感覚が、うれしい。

長尾寺まではかなり順調。長尾寺を過ぎて前山ダムにさしかかったところに立て札があった。左に行くと絶景感動7.8キロ、3時間50分。直進12.8キロ、2時間50分。左は危険な気がする、と、直進した。しばらくして突き当たりにふたたび立て札が出現。左に行くと5.7キロ、右に行くと10.7キロ。迷わず左を選んだ。

はじめのうちは余裕があった。途中、車に乗った山菜採りと思しき一家にまろ茶のペットボトルを頂く。その後自販機の一つ、店の一軒もなかったのでほんとうに救われた。途中から山道に入る。大窪寺まで2キロ、2時間とある。どう考えても計算が合わない。ふと不安になる。しかしそれからもしばらくは歩きやすく整備された道だった。

女体山越え

ずいぶん登ったなあ、女体山頂上はまだかしら、と機嫌よく歩いていると前方に岩のかたまりが出現した。障害物は迂回しようとあたりを見回したけれど迂回路が見当たらない。行き止まり、なわけないよね、と見上げると、岩の上に「遍路道」の札がかかっている。岩を越えろということらしい。

杖もつけず両手両足で登った。周りには誰もいない。転落する可能性はゼロではない。登りであんなに怖い思いをしたのは初めてである。登り切るとそこが女体山頂上であった。祠で思わず合掌した。

まさか降りも岩山か、と焦ったけれど、下りにはちゃんと階段がついていた。「遍路道」の札に、「結願」の札がまじりはじめた。危なかったけど登ってよかった。くっきりとした青空の下、山道を一人行くのは、この旅の終わりにふさわしかったと思う。

八十八番

そして大窪寺に着いてみると、そこは八十八番という以外特筆すべきことのない普通の寺だった。最後のクライマックスは女体山で、それを越えた今はすでにエンディングに入っているのかもしれないと思った。きれいに終わるためのデクレッシェンドがもう始まっているのだろうと。

しばらく迷ったのち、納経所で結願証明書を書いてもらった。そしてお参りを済ませ、順番待ちをして公衆電話から母に電話をかけた。

宿に着いて赤飯を頂き部屋に戻って何通かメールを書いた。電話で話したことがなかった人に電話をかけてどぎまぎしていたあたり、少々興奮していたのかもしれない。旅のらくがき帳に類するノートを読み、わたしも書こうかな、と思っているうちに眠くなって寝てしまった。


前の日へ次の日へ

淡々としていなくもない日常>>遍路日記目次>>04月02日