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03月27日

ビジネス旅館小松→63吉祥寺→64前神寺→松屋旅館(愛媛県宇摩郡土居町)33km


やはり早朝出発が基本

ビジネス旅館は6時半から朝食、とのことだったので、朝食をとってから出かけようかとしばらく迷った。前日の夜、夕食を食べながら他の遍路たちと話すのがとても楽しかったので、もう一度話すのも悪くないかな、と思ったのだ。この宿には、わたしの父くらいの年齢の男性が多く泊まっているようだった。若い女性はわたしだけのようで、ずいぶんかまってもらった。

結局、朝食は食べずに、6時半に宿を出た。雨が降っているのであまり気分は明るくないけれども、こういうときこそ早く出て早く目的地に着かねばならないのだ。いくら歩きやすいとは言ってもレインコートはじゃまであり、視界も悪いし、どうしても余計に時間がかかる。63番吉祥寺はすぐそこであった。7時に到着、一番乗りである。本尊が毘沙門天で、ゾウの石像がある。何となくインドを髣髴とさせる寺だ。

前神寺の桜並木

63番吉祥寺から64番前神寺までは3.3キロである。1時間足らずでつくはずのこの道を、この日はとても遠く感じた。

境内につくと、敷地入り口から山門にかけて、何メートルも続く桜並木があった。満開だった。空には雲が低くたれこめていてあたりには誰もいなくてやたらと寒い。そんな中で杖にすがって、雨に打たれてどんどん散っていく桜を眺めていると、かなしくなってきた。あんまりたくさんあるものを目の前にするとかなしくなるよね、と書いていたのは誰だっただろうか。

ここにはわたししかいないのに、わたししか見ていないのに、そんなに頑張って咲かなくていいよ、と思った。ほらもうずいぶん散ってきているじゃない、もうちょっと待ちなよ、人がきっとたくさん来るから。きっと桜はそんなこと気にしてないのだろうけれど。

小学生と一緒に歩く

昼頃からばてた。朝から昼前まで雨が降っていたからか、それとも朝食を何となくごまかしてやり過ごしていたからか。新居浜はまだか、土居町はまだか、と、道路にかかっている標識を見上げながらため息をついては歩いていた。

某小学校の近くで、小学生の男の子がついてきた。新小六だと言っていた。どこから来てどこへ行くのか、宿はどうする、食事は、洗濯は、と、いろいろ聞いてきた。こんなところがあるんだよ、と、連れて行ってくれた先は無料休憩所で、ここ行ったことある、と各地を指差すその子に、遍路のコースを指し示した。

500メートルほど一緒に歩いてさよならした。元気な小学生にエネルギーをもらったのか、つかの間孤独感を忘れたのか、少し気力が戻った気がした。


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