カミュ


異邦人
"異邦人" カミュ (1942)

評価:

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異邦人

ムルソーのもとに「ハハウエノシヲイタム、マイソウアス」と、母の死を知らせる電報が届く。はた目からはムルソーが母の葬儀でも悲しんでいる様子が見えない。何事もなかったかのように翌日には海水浴に行き、女と戯れる・・・・。

なんだろう、この読後感は。うまく言えないが、鋭い感性が突き刺さってくるようだ。
一見、主人公ムルソーはまるで感情がないかのような非人間的な人物のように見える。が、しかし、彼にはまったく感情がないわけではない。感情を『感じている以上』に表現することにうそを感じ、拒否し続けているのだ。

普通の人は意識しているにせよ、していないにせよ、日々うそをつき演技をする。感受性の高いムルソーにはそれができない、いや、しないのだろう。恋人に対しても自分が感じている愛情以上に愛情を表現しないし、母親の死に対しても自分が感じている悲しみ以上に悲しみを表現しない。自分が感じることのみを表現する誠実さ、ムルソーが抱える「存在することと、感じること」の真理。そこには、この世界で生きていくにはあまりにも破滅的なまでのピュアさがある。そんなムルソーに共感する部分が僕の中にも少なからずあるので、読後は『誠実さとはなんだろう?』といろいろ考えてしまいました。

ちなみに後ろの解説に、カミュが英語版「異邦人」に寄せた自序が掲載されているので、読後にそちらを読んでみるのもいいのではないかと思います。
(2002/8/25)


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