Dragon 1/72
菱形戦車の末裔
その姿は古生物的であり、SF的でもある




 時代遅れな設計思想が逆に前線のニーズにマッチして意外な活躍をみせたというチャーチル歩兵戦車。今回は鋳造砲塔に長砲身6ポンド砲を搭載したMk.IVを作りました。Mk.IVにもいろいろとマイナーなバリエーションがあるようですが、そのあたりは適当にいいとこ採りで。

 まずは箱組み。このドラゴンのキットは設計がアホなので、箱組みに限らずちょっと信じられないような箇所があちこち干渉します。わざわざ組みにくいようにしてるとしか思えませんが、パーツに歪みがあるわけではないので、ひとつひとつ原因を潰していけばカッチリ組みあがります。

 車体を組み上げる前に機関室上面に一体成形された排気管やスコップ類を削除し、その後方のルーバーをプラシートで作り直し。好みでなかったドライバーズハッチは周辺ごとプラ板でリセットして、車体前方部の両脇にできる妙な隙間はプラ板で補っておきます。
 基本的な設計からディテールまで、至るところに「?」が散りばめられたキットです。試作品を試しに組んでると思えばそれなりに楽しめるかも(苦笑)。まずはこんな具合に気になるポイントの改修準備をしながら箱組み。
 砲塔には鋳造肌の表現のために缶サフを少しザラつくように吹いてあります。周囲の溶接痕は省略。後部両側面の小ハッチはプラ板からの削り出しですがなかなか巧くいかず、さりげなくもっとも手がかかった部分です。

 砲塔は資料の写真と見比べながらプラ板やらパテやらでガシガシ整形しました。この手の作業は大好きです。ペリスコープや直接照準器、アンテナプロテクターはキットのパーツを加工して使用。車長用ハッチとアンテナベースをレベルのクロムウェルから流用し、そのほかのディテールはプラ材から捻り出しました。今回はMk.IVの中でも比較的初期のレイアウト。

 6ポンド砲は砲口が大きすぎるので、丁度径の合う伸ばしランナーを一段奥まるように接着し、小さく穴を開け直しました。同軸のBESAマウントは少しスマートに整形。

 後部の雑具箱は大きさ、形状ともに改修してあります。この箱でほとんど隠れちゃう砲塔後部の円形ハッチも再現。男のチラリズム(笑)。

 続いて車体。

 機関室上面は削除しておいた排気管とOVM類の自作がメインの作業。もともとデザイン的に凸凹の変化の少ないチャーチルでは見せ場のひとつです。できる限りオーバースケールにならないよう気をつけてプラ材でこしらえました。

 このキット、ディテールの設計についても謎センス爆発で、一体何を参考に設計したらそうなるのかという不思議なモールドが山盛りです。地味にちまちま細部の形状修正とディテールアップを施しました。東欧キットよりは整形の手間が少ない分だけ手を加えやすいのですが、とはいえ気がついたら戦闘室前面とフェンダー上面、側面のエスケープハッチ以外のほとんどのディテールを作り直してたというのもどうなんだろ(爆)。

 
 実は最近スコップを作るのに凝っています。各国で結構個性がありまして、きっちり作り分けると「らしさ」の演出になるように思います。
 今回もキットの成形色と似たグレーのイエサブのプラシートを多用してしまったので、一見あまり手が入っているように見えません。でもこのプラシートがいろいろと便利なんですよ奥さん。

 ディテールアップには良い流用パーツがなかなかないのですが、側部吸気ダクトのグリルはエッシーチャーチルのモノを延長、薄く削って使用。POW缶はIBGのユニバーサルキャリアMk.Iの不要パーツを加工。牽引ケーブルは極細ステンレスワイヤを使いました。それ以外はすべてプラ材からの自作です。

  足周りについては履帯も含めてデキが良いです。裏側が省略されたコイルスプリングも組んでしまえばわたしには気になりませんし、転輪とスイングアームとの間を少し彫り込んだくらいで、ここはほとんど素組みです。

 足周りのちょっとした見せ場として、スポンソン上部から誘導輪に伸びる履帯のレールを自作しました。見せ場とはいっても泥出し口からホンの少し見えるだけなんですが、自己満足度はぐんと上がります。男のチラリズム再び、です(笑)。

 

 塗装はタミヤアクリルのXF-13濃緑色にXF-4イエローグリーンとフラットベースをそれぞれ少量加えたモノを基本色にして全体に塗り、油彩のチャコールグレイやバーントアンバーで陰影をつけつつ基本色で何度もドライブラシ。暗くて渋いディープブロンズグリーンを目指しました。極初期のイメージですね。

 基本塗装後に履帯と装備品を塗り分け。車体が地味なグリーン一色なので、ジャッキ台やスコップの柄といった木部はオレンジに振ったブラウンに。マーキングもシンプルながらアクセントになるようなモノを選んでみました。で、ついに完成です。

 なかなかのイライラキットでしたが(笑)、最終的には楽しんで良いモノが作れたと思っています。エゲレスコンで一緒に遊んでくださったみなさんに感謝感謝です。
(2013年3月完成)
 珍しく思ったとおりの色合いとツヤで塗れました。タミヤアクリルのミリタリー各色はツヤを出すと途端に良い色になように思うのはわたしだけでしょうか?(笑)