地形発達史
第四紀の地形面と地すべり地形
■ 地形面と地すべり地形
地すべり地やその周辺に、現在の河川とほぼ並行するように、平坦面や緩斜面が発達していることがあります。
それらは、ところによっては馬蹄形の急崖の麓に発達していることもあって、いわゆる地すべり地形と間違われることがあります。
でも、それらの地質(埋積物)を調べてみると、それらの多くは古河川の河床堆積物であり、河川の作用でつくられた地形であります。そのように間違われて、河川でつくられた地形が地すべり地形、つまり地すべりの跡であるとされていることが多くあります。その結果、無駄なあるいは過度な対策が行われているのではないでしょうか。
布施 弘(2001):松代町東部地域の河成地形―渋海川・越道川筋にみる河成
地形と地すべり地形―、新潟応用地質研究会誌、no.57、pp.25-32
■ 地形面形成時期
いくつかの地域で地形面が形成された時期を、14C年代測定結果から明らかにしました。このような、地域的でかつ小規模な地形面の対比には、地形面の等高性とともに、年代測定が有効でありましょう。
PDFファイルにしてありますので、このファイル名(kakutikeimen.pdf 33KB)をクリックしてください。
ちょっと不鮮明です。ごめんなさい。なるべく拡大してご覧ください。
なお、図中の「▲数字」は、14C年代です。年代の単位は100年です。
弥生時代が始まった時期については、考古学会でいまだに決着がついていないようですが、藤尾・今村(2006)に従いました。
藤尾慎一郎・今村峯雄(2006):弥生時代中期の実年代―長崎県原の辻遺跡出土
資料を中心に―、国立歴史民俗博物館研究報告、no.133、pp.199-229
■ 地形発達史と地すべり (布施、2006 から)
地形の発達と岩盤での地すべりとの関係を明らかにしました。
第一に、地すべりは、地形の発達を歴史的条件にして発生する。それは、それぞれの斜面での地すべりが、それぞれの地形発達史に規制された条件に従って発生するということである。逆に、そのような条件を媒介にすることで、地形発達史は地すべりの必然的な前史になるのである。
第二に、ある斜面に地すべりが発生していても、つまり地域の地形がそれに十分な発達段階に達していても、隣接している斜面では地すべりが発生していなかった。したがって地すべりの発生は、この限りでは、地形の発達にとっては偶然であり、それらは互いに独立した無関係な現象である。それにもかかわらず、地すべりが発生してしまえば、地すべり地形はその斜面の地形発達史の一部である。これは必然である。地形の発達は、地すべり地形をその一部に含むことで、地すべりをその一つの契機にしているのである。逆に、地すべりは地形発達史に含まれることで地形が発達する方向を規定しているのであり、したがって地形発達史を規制している。
地形の発達と地すべりとの、偶然であるとともに必然であるというこの関係を具体的に実現しているのは、地すべり地形である。地すべり地形が形成されて初めて、この関係が現実のものになるのである。地すべりは、その際に岩盤や崩土がとり得る運動形態の一つである。
第三に、地形発達史が地すべりの必然的な前史であるのは、このように短期間だけを取り出してみれば、偶然的であるという動揺を含んでいるのである。長い期間をとってみればどの斜面でも、遅かれ早かれ必然的に、地形発達史を前史にしてそれに規制された条件で、そしてその条件の通りに、地すべりが発生するのである。
引用文献:
布施 弘(2006):松之山五十子平地域の地形発達史と地すべり―地すべり発生の条
件―、新潟応用地質研究会誌、no.67、pp.17-36 ikagotaira.pdf 1,022KB