急性中耳炎の定義と診断

定       義急性に発症した中耳の感染症で、耳痛・発熱・耳漏を伴うことがある。
診       断鼓膜の発赤、膨隆、穿孔、耳漏などを拡大耳鏡や内視鏡、手術用顕微鏡で詳細に観察する。
重症度判定臨床症状と鼓膜所見により軽症(9点以下)、中等症(10〜15点)、重症(16点以上)に分類する。

重症度スコアリング

臨床症状
耳 痛0点:なし
1点:痛みあり
2点:持続性の高度疼痛
発 熱0点:37.5℃未満
1点:37.5〜38.5℃未満
2点:38.5℃以上
啼泣・不機嫌0点:なし
1点:あり

※3歳未満は3点を加算する

鼓膜所見
鼓膜発赤0点:なし
2点:ツチ骨柄あるいは鼓膜の
       一部発赤
4点:鼓膜全体の発赤
鼓膜の膨隆0点:なし
4点:部分的な膨隆
8点:鼓膜全体の膨隆
耳 漏0点:なし
4点:外耳道に膿汁あるが
       鼓膜観察可能
8点:鼓膜が膿汁のため
       観察できない
光 錐0点:正常
4点:減弱、鼓膜混濁

重症度のスコアによる分類

軽 症9点以下
中等症10〜15点
重 症16点以上

重症度をスコアにして分類し、重症度に応じた診療を推奨している。


小児急性中耳炎の治療(15歳未満)

軽    症(スコア 9点以下)

治療アルゴリズム

治療アルゴリズム(軽症)
右鼓膜発赤のみ 左正常鼓膜
右鼓膜発赤 左鼓膜正常

3日間は抗菌薬を投与せずに経過観察する。

3日後に鼓膜所見の改善が認められない場合、アモキシシリンの常用量を5日間内服する。

アモキシシリン常用量で改善しない場合には、アモキシシリンの高用量またはクラブラン酸・アモキシシリン1:14製剤(クラバモックス®)あるいはセフジトレン・ピボキシルの常用量を5日間内服する。

(※AMPC:アモキシシリン、CVA/AMPC:クラブラン酸アモキシシリン,CDTR-PI:セフジトレン


中 等 症(スコア10〜15点)

治療アルゴリズム(中等症)

(※ABPC:アンピシリン、CTRX:セフトリアキソン

鼓膜スコア8点以上の場合、鼓膜切開して排出された耳漏の細菌検査をすることが望ましい。

アモキシシリン常用量を5日間内服する。

5日後に改善がみられない場合、初診時の細菌検査による薬剤感受性から感受性のよい抗菌薬に変更する。すなわち、アモキシシリンの高用量またはクラブラン酸・アモキシシリン1:14製剤(クラバモックス®)の内服、あるいはセフジトレン・ピボキシルの高用量を5日間内服する。あるいは鼓膜所見のスコアの改善が不良な場合には鼓膜切開後に、アモキシシリンの常用量を5日間内服する。

さらに改善がみられない場合、再度鼓膜切開を行った後に、アモキシシリンの高用量またはクラブラン酸・アモキシシリン1:14製剤を5日間内服するか、静注抗菌薬(アンピシリン製剤またはセフトリアキソン)3日間静脈内点滴注射を考慮する。


重    症(スコア16点以上)

治療アルゴリズム(重症)

まず鼓膜切開と耳漏の細菌検査を考慮し、それに加えてアモキシシリンの高用量内服、またはクラブラン酸・アモキシシリン1:14製剤(クラバモックス®)の内服、あるいはセフジトレン・ピボキシルの高用量を5日間内服する。

5日後に改善がみられない場合、初診時の細菌検査による薬剤感受性から感受性のよい抗菌薬に変更するとともに、再度鼓膜切開を行い排膿を図る。

さらに改善がみられない場合には、静注抗菌薬(アンピシリン製剤またはセフトリアキソン)の3日間静脈内点滴注射を考慮する。


右正常鼓膜 左鼓膜膨隆高度 矢印 左鼓膜切開翌日
右正常鼓膜左鼓膜膨隆高度切開
排膿
左鼓膜切開翌日

※耳痛、発熱(38.5℃以上)に対しては、アセトアミノフェンを頓用する。

※低年齢、保育園児は重症化しやすいので治療上注意が必要です。慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの鼻疾患を合併している患児も重症化、難治化しやすいので鼻治療も併せて行うことが重要です。

(小児急性中耳炎診療ガイドライン2009より抜粋、一部改変)


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