結晶成長の観察
融点の低い物質をアルコールランプやバーナーを使って加熱して融かす方法もありますが、より簡単に、繰り返し観察できるように、ニクロム線とスライドガラスを使った装置を製作しました。
1.結晶成長観察装置の製作
材料
スライドガラス(2枚)、ニクロム線(5cm)、接着剤(エポキシ系2液混合型)、 ホットプレート(1台)
作り方
(1)円の直径が1cm程度になるように、ニクロム線をΩ型に曲げる。
(2)ホットプレートを保温にし、スライドガラスを2枚のせてあたため、一枚にコの字型に接着剤を塗る。
(3)ニクロム線の先端がスライドガラスから出るように、中央にニクロム線をおく。ニクロム線の足の付け根近くに接着剤をつける。Ω型の内側には接着剤がつかないように注意する。
(4)もう一枚のスライドグラスを上に重ね、おもりをのせて3〜5分間、ホットプレートの上で固まるのを待つ。
ニクロム線に乾電池3個を直列につなぐと、熱によってスライドガラスが暖められて結晶が解ける簡単な装置です。電池を外せば自然に冷却し、結晶が成長する様子を観察できます。
写真1:融解・再結晶装置
写真2:実験装置全体
2.再結晶させる物質
この装置では、融点が70℃位までの物質を耳掻き一杯程度なら融解することができます。本実験では、再結晶の実験によく使われているチオ硫酸ナトリウムを使用しています。これは鑑賞魚用の水道水の中和剤として、ハイポという商品名で粒状の結晶が販売されています。融点は約48℃で、結晶が柱状に成長するのであたかも鉱物結晶を見ているようです。
ろうそく・石鹸の原料であるラウリン酸(融点約43℃)やステアリン酸(融点約68℃)も、鉱物結晶とはイメージがかけ離れていますが、再結晶の様子がきれいに観察できます。
3.実験方法
用具
結晶成長観察装置(1個)、偏光装置付き拡大鏡(1台)、カバーガラス(1枚)、乾電池(単1型3本)、乾電池ケース(3本分)、ミノムシクリップ付きリード線(2本)、チオ硫酸ナトリウム(一粒)、ステアリン酸(適量)、ラウリン酸(適量)
やり方
(1)観察装置を偏光装置付き拡大鏡のステージおき、チオ硫酸ナトリウム(ハイポ)を1粒のせる(ステアリン酸、ラウリン酸は、耳掻き一杯程度)。
(2)直列にした乾電池ケースに乾電池を入れて、リード線をつなぐ。
(3)ニクロム線の熱で粒が半分ほど融けたら、カバーガラスをかぶせる。
(4)8割程度融けたらカバーガラスを指で軽く押し、リード線を乾電池ケースから外す。
(5)レンズを覗いてピントを合わせながら、結晶が成長する様子を観察する。
(6)拡大鏡を直交ニコルにし、ステージを回転させて観察する。
(7)結晶の成長が止まったらリード線をつなぎ、再び結晶を融かして観察をくり返す。
4.実験結果
偏光装置付き拡大鏡を使って偏光板を直交にすると、結晶が鮮やかな干渉色を示しながら成長していく様子が見られます。以下の写真は偏光顕微鏡を使い、直交ニコルで観察したものです。
※画像をクリックすると動画(Quick Time ムービー)を再生します。
チオ硫酸ナトリウムの結晶成長
結晶は柱状に成長し、縁の部分では層状に積み重なって成長していく様子がみられます。結晶の厚みが増すことで干渉色が縞模様に見えるので、色の変化で成長を確認することができます。このような成長の痕跡が、年輪のような成長痕として結晶に残されています。
ラウリン酸の結晶成長
ラウリン酸は白色の粉末ですが、再結晶させると無色透明の針状の結晶になります。顕微鏡で観察すると、結晶が四方八方に伸びていて、モザイク状に集合しているのがわかります。中心の黒い線は、ニクロム線の影です。
ステアリン酸の結晶
ステアリン酸も白色の粉末で、再結晶させると針状の結晶ができます。ラウリン酸と違い、筆で刷いたように結晶が伸びていき、羽毛が集まったように見えます。
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