2017年度の大豆畑トラストがスタートします

 私たちが毎日食べている農作物はどこから来るのか、食の安全への関心が高まってきた昨今、多くの方が意識されていることと思います。かつて町に住む人たちの食生活は地域の農と結びあい、風土に根差した健康的な暮らしのもととなっていましたが、現在は遠く離れた大規模産地や海外で作られた食材が市場を席巻しています。食べ物本来が持つ栄養や味が損なわれるとともに、当たり前の安心さえも得ることができません。その一方、地域の農の営みは市場原理による競争に敗れ続け、農業人口の減少、耕作地の放棄によって衰退の道をたどっています。
 水は山で生まれ、森や田畑を通って川となり下流部に住む人たちを潤します。いま、上流の森や農地が荒れることで、下流域の水環境も悪化していきます。これまで上流部の中山間地で営まれてきた自然の摂理を尊重した百姓仕事や山仕事は、町の人々の生命を守ることにつながってきたのです。ここで一度食と農のあり方を見直し、下流の食卓と上流の田畑とが信頼で結ばれる仕組みを作りたいと、志ある農家と消費者が手を携えて14年前にこのトラストをスタートしました。そして、それまでひっそりと伝えられてきた「福鉄砲」という種を掘り起こしたほか、それぞれの畑にあった大豆を栽培してお届けしてきました。
 私たちは「経済」ではなく「生命」を基本とした人と人との結びつきを作りたい。それは、消費者が生産者の持続可能な生態系を守る農を支えることで、安心できる食べ物を食卓に載せることができるという絆です。そして生産者に求められるのは、効率を重視し生産量を上げるための化学農法に偏った農業技術ではなく、大豆畑をめぐる生命に寄り添った手入れの技を獲得することだと考えています。自分たちの暮らしの課題は自分たちの地域の中で解決する。このトラストではひとつの「生命地域」である木曽川・飛騨川流域での自給的な農産物のやりとりを通して、上流と下流とが互いに支えあうさまざまな関係作りを目指しています。

 <生産者連絡会一同>