★《Bosai Plus》第69号特別企画「ふじのくにの複合災害想定」に関連して、伊藤和明氏(元NHK解説委員、現防災情報機構会長)から特別寄稿「世界遺産・富士の火山防災」をいただきました。
 伊藤和明氏は、災害・防災について幅広い知見とわかりやすい解説でみなさまにもおなじみですが、中央防災会議「災害教訓の継承」専門調査会の座長を務められるなど、防災啓発分野でわが国を代表する指導的立場で活躍されています。「世界遺産・富士の火山防災」は、去る7月6日、NHKラジオ第1「土曜コラム」で伊藤氏がお話された内容をまとめたもので、本紙読者にもご提供いただくものです。〈2013. 07. 10.〉

■ 伊藤和明「土曜コラム」(2013.07.06 NHKラジオ第1)
「世界遺産・富士の火山防災」 

 日本の象徴・富士山が、ユネスコの「世界文化遺産」に登録された。官民挙げての20年来の取り組みが、実を結んだわけで、観光客の増加や地域振興などへの期待から、地元は喜びに沸いている。 
 今回の登録認定には、富士山を対象とした山岳信仰の遺跡や、富士浅間神社、白糸の滝、忍野八海などの構成資産が、富士山をめぐる信仰や芸術、文化を育む貴重なサイトとして評価されたものといえよう。

 しかしその一方で、富士山にまつわる今後の課題は山積していて、世界遺産への登録を、手放しで喜ぶわけにはいかない現実も横たわっている。
 一つには、年々増えつづける登山者の問題。夏場の登山者はすでに30万人をこえ、世界遺産への登録によって、さらに増えるものと予想される。
 これまでにも、観光客や登山客の増加による環境への影響が指摘されてきた。今後も、許容量を大きくこえたオーバーユース(過剰利用)による環境破壊が懸念されている。また、環境に負荷を与えるような開発を、いかに抑制するかも大きな課題。
 世界遺産への登録を機に、観光振興にだけ力が注がれて、環境保全がないがしろにされるようなことがあってはならない。

 さらに重要なことは「富士山は活火山である」という認識。
 世界遺産の構成要素となっている様々なサイトも、そのほとんどが、富士山の太古からの火山活動の結果としてもたらされたもの。しばしば大噴火を起こしてきた火山に、神が宿ると信じた人びとは、山麓に多くの神社を建立して、火山の神を祀ってきた。

 観光スポットであり、また富士講信者の修行場ともなっている"白糸の滝"は、古富士火山が崩壊したときの泥流堆積物と、その上を覆う新富士火山の溶岩流との境目から、伏流水が滝となって湧きだしている場所。北東山麓の"忍野八海"(おしのはっかい)は、9世紀の初頭に起きた噴火によって、山中湖と分離した忍野湖が、乾いて盆地となり、のちに湧水群を生じた景勝の地で、"八海"の名は、やはり富士講の信者が、富士登山のさいに、"八海めぐり"をしたことが、その由来といわれる。

 このように、文化遺産を構成する資産のほとんどすべてが、富士火山の過去の噴火と密接に関わっているのである。

 歴史時代、富士山はたびたび激しい噴火を引き起こしてきた。とくに活発な活動を繰り返したのは平安時代で、西暦864年には、有史以来最大規模の噴火を起こして、北西の山腹から大量の溶岩を流出。 このときの溶岩流は、いま"青木ヶ原溶岩"と呼ばれている。

 富士火山の最も新しい噴火は、1707年の"宝永噴火"。富士山の南東斜面から噴火が始まり、大量の噴出物が村々を埋めてしまった。東に100キロあまり離れた江戸にも、火山灰が2〜5センチ降りつもったという。また、噴火が終わったあとも、飢饉が発生したり、大量の噴出物が川を流れくだって、堤防を決壊させ、足柄平野に大洪水をもたらしたりした。

 この宝永の大噴火から300年あまり、富士山は沈黙している。しかし歴史時代の活動を振り返れば、この沈黙は"かりそめの眠り"にすぎないことがわかる。活火山富士は、いつか必ず噴火を再開するにちがいない。

 昨年6月、静岡、山梨、神奈川の3県は、富士山の噴火に備えて、「富士山火山防災対策協議会」を発足させた。ひとたび噴火すれば、広域的な災害となることが予想されるため、県境をこえた防災対策を講じようという組織。また大量の火山灰が、広範囲に降り注げば、交通機関や都市のインフラに重大な支障を及ぼすなど、いわば現代の高度文明社会に、どのような複合災害がもたらされるのか、計り知れない。

 世界文化遺産への登録に涌く富士山周辺ではあるが、この機会にあらためて、"活火山・富士"という認識に立って、火山がもたらしてくれた数々の恵みを享受する一方で、将来、火山が噴火を再開したときの、ハード・ソフト両面にわたる対応を、真剣に考えておくことが大切なのではないだろうか。

(*編集部注:中央防災会議「災害教訓の継承に関する専門調査会」報告書「1707 富士山宝永噴火」

■ お問い合わせ急増につき――《Bosai Plus》の「シェイクアウト」関連記事のご紹介(リンク集)
  〈2012. 10. 05.〉
 米国発祥の地震防災訓練「シェイクアウト ShakeOut」が、2012年3月にわが国で初めて「日本版シェイクアウト」(The Great Japan ShakeOut/ShakeOut 提唱会議事務局)として東京都千代田区と連携して実施されました。その後、北海道、千葉市、名古屋市などの自治体と連携する「シェイクアウト」が次々と実施されています。
 本紙は、米国で2008年10月に初めて実施された「シェイクアウト」に注目し、当時(同年12月)、他メディアに先駆けて提携紙であるWEB防災情報新聞で詳細をリポートし、《Bosai Plus》創刊と同時に、その創刊号(2010年09月01日号)で同記事を再掲載しました。その後も「シェイクアウト」の日本での展開に期待をもって関連リポートを続けてきました。
 このような背景と「日本版シェイクアウト」の日本での急展開もあって、このところ本紙への「シェイクアウト」についてのお問い合わせが急に増えています。この10月18日(米国時間)に、米国で「シェイクアウト2012」が実施される予定ですので、これを機に、これまで本紙が取り上げた「シェイクアウト」記事を下記に公開し、読者の参考に供させていただきます。

●2010年09月01日号(No.01_P6)*《Bosai Plus》創刊号
"史上最大の地震防災作戦"「ザ・グレート・シェイクアウト2010」
●2010年11月01日号(No.05_P1-2)
「シェイクアウト2010」に790万人
●2011年05月15日号(No.18_P7)
シェイクアウト 米国中部でも300万人が参加
●11年12月01日号(No.31_P7)
「シェイクアウト東京」——来年3月9日実施へキックオフ
●2012年10月15日号(No.52_P1-4)
「日本版シェイクアウト」を1億2000万人の地震防災訓練に!
〈2012. 10. 31 更新.〉
●2014年7月15日号(No. 94_P1-3)
「100万人 かながわシェイクアウト」
(2014. 08. 03 追加)

*「日本版シェイクアウト」について詳細は――
The Great Japan ShakeOut/ShakeOut 提唱会議事務局

米国大使館商務部 米国大使館商務部

「21世紀は災害の世紀」……安全・安心社会への“志”で、閉塞状況の打破を

 〈2010. 09. 01〉
 刻々高まる巨大地震の発生確率、温暖化で極端化傾向が進む気象災害……「21世紀は災害の世紀」とされ、この世紀に日本は超高齢化社会を迎えます。高齢化の大波は、安全・安心なまちづくりの基礎である地域防災にも及び、平時の防災啓発活動や災害時の自助、共助、被災者支援活動の大きな不安要因となっています。こう した閉塞状況を打破する鍵は、私たち一人ひとりの安全・安心社会づくりへの“志”にあるのではないでしょうか。

 国はいま、想定される巨大地震対策として地震防災戦略を推進し、同時に「減災に向けた国民運動」(中央防災会議/防災白書)を訴えています。《Bosai Plus》 は、災害から自らを守るとともに大切な人のいのちを守り、安全・安心な社会を実現したいと願うすべての人に向けて防災情報を発信していきます。
 《Bosai Plus》 は、防災にプラスして、まちづくり、地域活性、福祉協働、企業の社会貢献などへと“志”の連携を広げ、しなやかなネットワークのリエゾ ン(つなぎ)となることをめざします。
 安全・安心社会のゴールは遠いかもしれませんが、私たちはしっかり見据えています。

ニュースレター 《Bosai Plus》 が私たちの“志”のメディアです。
 《Bosai Plus》 は、米国で定着しているひとつの分野に特化した情報サービス「ビジネスニュースレター」のスタイルをとっています。新聞やルポ(リポー ト)ではなく、ニュースリリースでもなく、情報の海のなかから、特定テーマで「求める人に求める情報」をピックアップし提供します。
 《Bosai Plus》 のテーマはもちろん、防災。安全・安心社会をキーワードとして、あなたのビジネス(ここでは“本分・使命”の意)に資する「ビジネスニュースレター」となる ことを願っています。


■《Bosai Plus》では、みなさまからの情報ご提供、ご意見、お問合せのほか、「防災ぶらこめ」への投稿をお待ちしています。下記フォームをご利用いただくか、こちらからお願いいたします。

「防災ぷらこめ」投稿募集!(防災ニュースレター《Bosai Plus》購読特典付き!)
 みなさまから「防災ぷらこめ」投稿を募集しています。「防災ぷらこめ」ってなに?……公的機関(国や地方自治体など)が法令・条例などを制定しようというときに広く公に(=パブリック)に、意見・情報・改善案など(=コメント)を求める手続をパブリックコメント(Public Comment、意見公募手続=通称パブコメ)と言いますが、それをもじって、プライベートコメントを愛称“ぷらこめ”とし、「防災ぷらこめ」を《Bosai Plus》のオリジナル呼称とします。

  「防災ぷらこめ」は、一般新聞の「声欄、ひととき欄、俳句・短歌・川柳欄」、インターネットの「ブログ、ツイッター」などをひとまとめにした“声の米ぐら”……ひと粒ひと粒を大切な糧(かて)として減災に向けて蓄えたいという願いもこめて、「防災プラス」との合成語にしました。
  自由投稿のほかに、次の要領での「防災ぷらこめ」も募集していますので、下記送信フォームを使ってお気軽に“ぷらこめ”をお寄せください。お寄せいただいた“ぷらこめ”は、本コーナーでご紹介していきます。
▽お題 1 : 私の防災対策……
  お題 2 : 安全・安心社会づくりで大切だと思うこと……
  お題 3 : 東日本大震災からの復興をどうする? 私の提言……
▽上記「お題」への応募は、文字量の目安は約400字(大幅超過の場合は編集部判断で要約、ないし全文掲載もあります。また、表記統一ほか、編集面の手直しが入ることがあります)
▽掲載の場合、ハンドルネーム(匿名)可。実名・ハンドルネームともに、ご住所のうち都道府県・市区町村まで表記させていただきます(地域特性を反映させたいため。できるだけ付記してください)
▽本コーナーで掲載させていただいた方に、防災ニュースレター《Bosai Plus》新規1年間購読(2400円相当)を進呈いたします(すでに購読されている方が当選した場合でも同様としますので、お知り合いへの「ギフト購読」などにご活用いただければ幸いです)
◆「防災ぷらこめ」のほか、 ご意見・ご感想・情報の送信はこちらをご利用ください

お名前

メールアドレス

メッセージ



【 投稿、いただきました! 】
東京消防庁 玉川消防署:子どもたちから花のプレゼント
〈2013. 06. 11〉
玉川消防署
 ナオミ保育園に通う子どもたちが玉川消防署に来署し、日々、街の安心と安全を守る消防署に感謝の気持ちとして、お花が贈られました。
 「いつも街を守ってくれて、ありがとう」と子どもたちのかわいい笑顔と一緒に鉢花をプレゼントされ、束の間のひとときに隊員からも笑顔がこぼれていました。
 贈られた花は現在、消防署で飾られており、隊員たちが毎朝水を与えながら、日々の成長を楽しみにしています。
  (写真・文:玉川消防署予防課 提供)

☆これまで掲載させていただいた“防災ぷらこめ”です!
▽「お題 2 : 安全・安心社会づくりで大切だと思うこと」への"ぷらこめ"をいただきました……
●<決まり手送り出し>さん(東京都大田区)からの"ぷらこめ"……2013.01.22.
 最近、とくに東日本大震災後だと思いますが、縦割り解消や異分野交流の必要が言われます。防災でも、福祉分野と協働することが課題となったのが比較的新しく、2004年に頻発した水害で高齢者の犠牲者が多かったことがきっかけと聞きました。原発の安全神話が象徴的だと思いますが、「なぜ、それに気がつかなかったのだろう」ということが多々あります。人間の考えというものは浅いのだという自省を込めてものごとを見たいと思います。
 そういう視点で、できるだけ先読みを試みると、いま車の自動運転技術が話題になっていますが、最近減ったとは言え、自動車事故で年間4000人以上が亡くなるという現実は、あと30年後の人たちは“ひどい状況を放置していたんだな”と思っているのかもしれません。また、駅のホームが“転落死・轢死”の瀬戸際、崖っぷちだったんだと振り返るのかもしれません。身近な例で、まちの放置自転車問題や幼児を荷台に乗せたママチャリ問題があります。防災・防災と言いながら、よく放置自転車を放置してたね、むかしの人は……とか、いま顧みれば、幼児を乗せたママチャリは完璧に幼児虐待だったよね……とか。
 私のまちで最近、歩道に自転車走行レーンと歩行者レーンを分ける簡単なイラストが描かれました。どこにでもある試みかもしれませんが、これが自転車に乗る人に大きな心理的効果をもたらしていると思います。いままでは歩行者と自転車が入り乱れていましたが、自転車は車道側の自転車レーンを走るようになり、歩行者からみて、だいぶ歩道は安全になったように思われるのです。
 交通規制・管理をしている人たちの研究成果もあると思いますが、“ブロークンウィンドウ効果”(廃屋などの割れたガラス窓が不安定な治安の原因になる)のような、ちょっとした着眼と改善・工夫が安全なまちづくりに大きな効果をもたらし得ると思います。こういうのを「まちづくりイノベーション」と呼びたいですね……ついでに、防災まちづくりと防犯まちづくりは協働すべきではないでしょうか。安全・安心まちづくりの大義に向けて、志を合わせたいものです。
▽「お題 2 : 安全・安心社会づくりで大切だと思うこと」と「お題 3 :私の提言」双方をカバーする“ぷらこめ”をいただきました……
●<一防災士>さん(東京都八王子市)からの"ぷらこめ"……2011.11.01.
 11月1日号のニュースレターのTOP記事(「防災の相克――"防災殉志"を防げ」)は私の関心のある内容でしたので一気に読みました。
 彼等(消防団員)の犠牲的活動には誰も感銘を受けると思いますが、別な見方からすると、プロとも見られるこれらの優秀な人たち、その志を死なせてしまった行動と、全員が助かった釜石地区の小中学校の生徒先生の行動から、「プロが率先して逃げる」ことが周辺住民に危機感を認識させることになるのではないか、プロの人たちが未だ堤防や海岸にいるのをみて安心している住民の姿が目に浮かびます。
 最後まで避難放送をして亡くなった女性職員の両親が、なぜ逃げてくれなかったかと涙する言葉を聞きました。放送を続けたことで、「あそこは安全」と勘違いしていた人たちがいたのではないか。亡くなった人たちにむごい言葉かもしれませんが、ハイパーレスキューではない防災関係者は、これからも自分の命をささげてそうするのでしょうか。消防団員や役所職員の責任者の危機管理はどうなっていたのか。
 通常消防団員は身の危険を賭してまで活動するのではなく、責任者の判断で撤退したり、中断したりする指示を与えられることによって自らの身の安全を図ります。そのような訓練がされていなかったのではないかと思います。
 防災関係者も撤退・避難訓練が必要でないかと思います。プロが逃げることが防災意識の低い住民の目を覚ますのでは、と思っています。一人の市民防災士の思いとしての感想です。
 
▽お題 2 : 安全・安心社会づくりで大切だと思うこと……
●<片岡 幸壱>さん(神戸市東灘区)の"ぷらこめ"……2011.09.06.
 ユニバーサルデザイン(UD)を取り入れた「誰もが安全・安心に送れる地域社会づくり」が重要であると思う。自分の住んでいる地域で、交流も兼ねて、身の回りの施設・設備を点検し、「誰もが利用出来るにはどのようなサポート対応が必要か、また、そうした施設・設備を設置するには」について情報交換の機会を実践する。
 また、学校の授業の一環として、一般市民と児童・生徒達も含めたUDへの取り組みを行うことで、子どもから高齢者の幅広い年代が「人と人とのつながりで共助」を生かすことが出来るのではないかと思います。
 
▽お題 1 : 地震だ! そのとき落ち着いて行動するための私なりの秘訣とは……
●<ないそで・ないふる>さん(東京都文京区)の“ぷらこめ”……2010.12.15.
防災訓練の起震車体験をするときに、車上のセットであぐらをかいて、数秒黙想。自宅でテレビを見ている日常の自分を頭のなかで描いてから揺れを体験します。そうすると、よりリアルに揺れを実感できますよ。いい模擬体験になるので、みなさんもやってみてください。
●<レディ・ゲゲゲ>さん(大阪市都島区)の“ぷらこめ”……2010.12.10.
わたしは若いころにジェットコースターに乗ったときの感覚をからだで覚えているつもりですが、地震の揺れが来たら、そのときの感覚を思い出して備えます。ちょっとやそっとの揺れではあわてませんから……
●<なまずっち>さん(東京都足立区)の“ぷらこめ”……2010.12.13.
こんなのでもいいですか? ……「地震とかけてなんと解く?」……「整いました! 地震とかけてお彼岸と解く」……そのこころは?……「お供(備)えが欠かせません」……(おあとがよろしいようで)
 
▽お題 2 : 私が経験した地震の最大震度、その感覚を私なりに一言で表現すると……

●<片岡 幸壱>さん(神戸市東灘区)の“ぷらこめ”……2011.01.16.
阪神・淡路大震災で震度7を自宅で寝ているときに経験。冷蔵庫・テレビなどの家具が倒れ、壁がはがれたりなど足の踏み場もないぐらいグチャグチャになっていました。まだこのときは、本当に地震であることは分かりませんでした。外に出ると自宅の周りは2階建ての家が1階建てに……いつもの光景が別世界になっていた。毎年1月17日が来ると、当時のことを思い出します。今後の災害に備えて伝えていかないといけないと感じています。
●<ないそで・ないふる>さん(東京都文京区)の“ぷらこめ”……2010.12.15.
震度4。ただし、そのとき私はまちなかを歩いていて、実は地震を感じませんでした。当時一人暮らしのアパートに帰って、本棚の上の目覚まし時計が床に落ちていて、最初泥棒が入ったかと思いましたが、テレビで地震があったと知りました。震度4は、家のなかだと大きい揺れだと思いますが、外だとわからないこともあるんですね。
●<レディ・ゲゲゲ>さん(大阪市都島区)の“ぷらこめ”……2010.12.10.
わたしの田舎の兄の話でもいいでしょうか。兄は漁船などの修理工事の仕事をしているんですが、震度5の地震があったとき、接岸している船の機関部で仕事をしていて揺れを感じたそうです。波の揺れと違って、地震みたいだった(地震だったのです)と言っていました。
▽お題 3 : 米国西海岸の地震防災訓練「シェイクアウト」に790万人が参加……日本で1億人「シェイクアウト」を実現させるためには……
●<ないそで・ないふる>さん(東京都文京区)の“ぷらこめ”……2010.12.15.
民主党の政権ダッシュ時のマニフェストに、「危機管理庁の創設」というのがあったのですが、その後、具体的な動きを知りません。いろいろ試行錯誤状態の民主党ですが、危機管理庁を立ち上げて、そのとき同時に「日本版シェイクアウト」を実施したらいかがでしょう。政権浮揚になるかもしれません。《Bosai Plus》が12月1日号で取り上げた気象庁の「12月1日 緊急地震速報訓練の日」で全国一斉実施すればちょうどいいと思います。その際は、電通・博報堂など広報宣伝のプロを駆使して“お祭り”を演出することも手だと思います。この際、地震災害から生命と財産を守るという大義を優先して(地震防災先進国・日本のプライドは横に置いて)、米国の「シェイクアウト」と提携してもいいのではないですか?(シェイクアウトって、若い人にもウケるインパクトのあるいいネーミングだと思います)



 災害の多いわが国では、その歴史から多くの教訓を学び新たな防災対策に活かしてきました。それでもたとえば、行政の防災部門と福祉部門が、災害時要援護者(高齢者、身障者、幼児、妊婦、日本語情報が伝わりにくい外国人観光客・居住者など)対策で縦割りを排して“協働”しようということになったのは、最近のことです(豪雨災害が多発して高齢者の犠牲が際立った2004年が契機と言われます)。しかし、考えてみれば、災害による被害は、行政の縦割りをハナから超えています。行政組織が防災部門を独立させ、さらに「危機監理官」を置くようになったのも、近年のことです。
  《Bosai Plus》 は、防災はインフラ(社会基盤)だと考えます。福祉はもとより、まちづくり、環境保護、地域活性、文化・創造活動まで、その拠って立つ基盤――というよりも、社会生活の成り立ちの前提は、「防災」「危機管理」だと言えます。 自然災害の多いわが国とはいえ、大災害ほど発生頻度は低くなるので油断しがちですが、だからこそ、インフラとして防災体制の整備が求められます。いま国では、危機感をもって阪神・淡路大震災規模の大災害の再来を想定して備えを急いでいることを、どれだけの国民が知っているのでしょうか。
  《Bosai Plus》 は、危うい足元を見つめ、安全・安心社会の実現に一歩でも近づこうと日々がんばっておられる方がたを応援し、その動向を追い、その相互交流のきっかけとなり、国民に広く知っていただき、一人でも共感し行動していただける方が増えるよう、そのリエゾン(つなぎ)になりたいと願うものです。





 わが国では、歴史が災害によって書き換えられた例も少なくありません。そのなかで、人びとの英知を集めた災害との闘いも進展してきました。現代は、過去の教訓の蓄積を基に、災害対策がもっとも進んだ時代であるはずです。しかし、「文明が進めば進むほど、災害は激烈さを増す」とも言われます。文明が進めば進むほど、災害は社会の脆弱な部分を狙い撃ちします。現代の脆弱性としては、大都市の密集市街地や住宅地、複雑・高度に張り巡らされたライフライン(電気・ガス・水道・交通網・情報通信網など)などがすぐに思い浮かびます。
  そのいっぽうで、 過疎化した地方、山間部の孤立集落の問題があり、そしてこうした社会的脆弱性を横断するかたちで、超高齢化社会という防災上の難題が控えているわけです。
  《Bosai Plus》 は、それでも社会的脆弱性の克服に挑戦しようという人間の“負けざる志”と知恵、技術を追求します。ハードからソフトまで、災害と闘い、安全・安心社会を導く人びとの「アイデアとトレンド(方向性)」を紹介し、脆弱性からの「ブレイクスルー」(突破口)をともに考えていきます。
  その際に意外と大切なことは、単純なことですが、お隣さんの顔を見知ることではないでしょうか。遠くに目標の星が輝いていて、わき目もふらずその星をめざしてきたあなた……ふと気がつくと、同じようにその星をめざして歩んでいる人が隣にいる。お互い顔を見知ることは、お互い勇気百倍になるはずです。



  “志”のネットワークは、分野、業際、学際、行政の縦割り、、国と地方の枠組みを超えて広がります。ここでは、いろいろな分野の「先進事例」、「持続する活動」、「新たな志」を紹介していきます。《Bosai+》 がリエゾン(つなぎ)となって、こうした“志”の相互交流を図り、お互い「顔を見知る」ことが狙いです。

■災害ボランティアの Breakthrough
東北福祉大学 学生防災士

避難所開設運営訓練へ 学生防災士が参加協力
《 Bosai Plus》 特約リポーター・高橋英彦
〈Bosai Plus:2013. 06. 15〉

 東日本大震災の教訓を踏まえた防災啓発活動は多岐にわたるが、大規模地震災害時における避難所開設運営のあり方について自治体や地域ぐるみで検証する動きが広がっている。震災後の避難所生活では多くの市民が不自由な暮らしを強いられ、災害時要援護者の支援やプライバシー保護など多くの課題が浮き彫りになった。未曾有の大震災の教訓を伝え、減災につなげていく活動は今後の防災対策として取り組むべき大きな課題になっている。

 こうした中、仙台市青葉区木町通学区連合町内会・木町通小学校で6月8日に実施された「合同防災訓練」の開設運営訓練に、児童、教職員、地域住民ほか東北福祉大学防災士協議会の学生と教職員防災士ら合わせて600名余が参加した。
 会場では午前9時ごろ、仙台地方に震度5強の地震が発生、体育館が地域住民の避難所となったとの想定で、運営本部、テント掲示板、救命・衛生、LPガス・大釜、発電機・投光器、アルファ米炊き出し等6つの班に分かれ、実践さながらの訓練を行った。

 避難所の開設・運営は、(1)地震および火災に際し、生命・身体の安全に守るための必要な知識・態度・習慣を身につけさせ、迅速かつ安全に避難できるようにする、(2)木町通小学校が避難所になった場合を想定し、木町通小学校地域住民と学校が協力して円滑な運営が図れるようにする、(3)災害や緊急時に備え、児童を直接保護者に引き渡すことができるようにする、(4)地域住民の一人として地域の防災訓練に参加し、防災・防火の意識を高める——などを目的として行われた。
 訓練では施設の使い方の確認、備蓄物資、設備の点検と確認、役割の確認、動きの確認の検証も行われた。

 参加者からは「避難所となる学校の備品や備蓄品が置いてある場所とその状況を把握することができた」、「夜間に発電機を使用する場合、暗闇の状態で何をどう操作するのか分からないので、懐中電灯を一緒に備えたほうがよいのではないか」といった声が寄せられた。
 運営のサポートをした学生からは「震災で実際に炊き出しをした方の体験談を聞きながらアルファ米を作った。学校に各町内会の方が集まり、実際に訓練を行い、意見を出し合う合同訓練を通して次の災害に備えることの重要性を強く感じた」との感想が聞かれた。

 避難所の開設、運営をめぐっては、(1)円滑に開設する手順の確認、(2)「災害時要援護者」の把握と確実な避難、(3)日ごろからの物資備蓄、管理および活用、(4)情報収集・伝達方法の確立——といった課題が重要となっているが、避難所運営を円滑に行うためには、地域連携の円滑化、顔の見える関係を整えておくことが重要になる。地域での事前協議や地域の行事等で普段から顔を合わせておけば安心につながる。地域や職域、家族といったそれぞれの立場からこの問題を真剣に考え、連携と信頼を構築しながら次の災害に備えたいものだ。

 なお、宮城県では6月12日が県民防災の日となっており、県内各地で東日本大震災を教訓とした総合防災訓練が行われた。前回の宮城県沖地震から35年を迎え、「自助」「共助」「公助」の推進を目的に大規模地震・津波災害を想定した訓練に多くの住民が参加した。
 仙台市東部の宮城野区、若林区、太白区では、津波避難エリア内外の小・中学校20校や津波避難ビル、津波避難場所を中心に大規模な津波避難訓練が行われた。コミュニティFMやエリアメールを使用した津波情報の伝達訓練も実施され、参加者たちは地震・津波から命を守るための緊急避難場所、避難ルートを確認し、次の災害への備えを行っていた。
>>仙台市立木町通小学校
>>東北福祉大学

underconstruction underconstruction
■まちづくり、地域活性分野の Breakthrough
underconstruction underconstruction
underconstruction underconstruction
■福祉分野の Breakthrough
underconstruction underconstruction
underconstruction underconstruction
■企業の社会貢献の Breakthrough

民間防災および被災地支援ネットワーク」(CVN)

■ 企業ネットワークの『災害支援の手引き』
『災害支援の手引き』で「企業ボランティア元年」を継承する

東日本大震災発災の2011年は「企業ボランティア元年」、「企業CSR元年」――「民間防災および被災地支援ネットワーク」(CVN)が3年目に『災害支援の手引き』を発行

 東日本大震災3周年(2014年3月11日)に発表された、東北での災害支援を行った民間企業11社・4団体の担当者が執筆・編集した『災害支援の手引き』を、遅ればせながら紹介しておきたい。同手引きは「民間防災および被災地支援ネットワーク」(CVN)から発行された。

 CVNとは、2012年10月、東日本大震災への社員派遣など復興支援に携わった企業、NPO、中間支援組織などを中心に立ち上がったネットワークで、100以上の企業・団体が定期会合に参加し、継続的な東北復興支援と次の大規模災害発災に向けたネットワークづくりを行っている。
 東日本大震災では、多くの企業が前例も経験もないなか、一から受け入れ先や支援先、支援方法を検討し実行した。今回作成した手引き書の編集委員は、CSR(企業の社会的責任)担当者など各企業で災害支援の実務を担ってきたメンバーで、自分たちの経験が今後の災害時に役立てるよう全員ボランティアで執筆・編集にあたったという。

 手引き書には、「ヒト、モノ、カネ、情報」の分野で、社内調整の裏話、苦労・工夫した点などの具体事例や、実務上のノウハウが掲載されている。また、現場で支援を行うNPO、その調整に当った中間支援団体が編集に関わることで、「支援を出す立場、調整する立場、現場での活動を担う立場」それぞれの視点も盛り込まれた。

 手引き書の完成を祝って去る4月24日、『災害支援の手引』発行記念シンポジウム「企業が持つ災害支援の可能性」が東京都内で開催され、企業による被災地支援の重要性を確認した。

 東日本大震災が発災した2011年は日本の「企業ボランティア元年」、「企業CSR元年」とも呼ばれている。しかし、企業では担当部署からの人事異動もあり、災害支援経験の伝承も必要となる。次に必ず起こる大規模災害でも、行政による災害対応だけでは担えない分野が数多く想定されることから、同手引き書が今後広く継承・共有・活用され、企業の被災地支援手法がさらに進化していくことを期待したい。
>>民間防災および被災地支援ネットワーク(CVN)『災害支援の手引き』(PDF版 7.1MB/*冊子版:1冊 1000円(税込)A4判62ページ)

Date fm
株式会社エフエム仙台
■ 教訓を踏まえた新たな動き――「Date fm サバ・メシ防災ハンドブック」
《 Bosai Plus 》 特約リポーター・高橋英彦/防災士
〈2011. 11. 01. by Bosai Plus〉

 東日本大震災から早くも7カ月が経過した被災地では、学校などに設置されていた避難所が閉鎖され、仮設住宅での生活再建の動きが本格化している。中には中心市街地と仮設住宅間の交通手段が確保されないなど不便が強いられていた地域もあるが、宮城県石巻市では復興支援のカーシェアリング基地が設置されるなど徐々に生活環境も改善され、被災地の復旧・復興に向けた動きは大きく前進している。
 こうした中、大震災の教訓を踏まえた防災啓発活動の新たな動きも始まっている。東日本大震災の被災地から発信するメッセージは多岐にわたるが、未曾有の震災の教訓を伝え、減災につなげる活動は、被災地として取組むべき課題のひとつでもある。
 2006年から想定宮城県沖地震に備え、災害時の食を通して防災を考えるイベント「サバ・メシコンテスト」を実施してきた株式会社エフエム仙台(仙台市青葉区)は、津波工学分野の世界的権威として知られる東北大学大学院工学研究科付属災害制御研究センター長の今村文彦教授の監修で、東日本大震災の経験から学んださまざまな防災・減災情報を盛り込んだ「Date fm サバ・メシ防災ハンドブック 〜03.11の経験から知る、今までの防災にプラスすべき必要な事〜」(B6サイズ、32ページ)」を発行した。ハンドブックには同局のラジオリスナーや避難所の避難者を対象に行った「東日本大震災アンケート」、「地震・津波から身を守る10か条」、「ライフラインにまつわる生活の技」、「避難所生活の心得・ボランティアの心得」、「住まいの防災/室内危険度診断」、「防災用品の見直し」など、震災の経験から得たさまざまな防災・減災情報も盛り込んでいる。同局では、防災・減災対策に役立ててもらおうと、このハンドブック5万部を希望者に配布している(詳細は文末リンクを参照)。
 「サバ・メシ」とはサバイバルフード、災害時を生き延びるための「非常食」の略で、アイディアと工夫を凝らした非常食を考えることで、より身近に、より積極的に防災に取り組むことを目的としている。「45分以内にカセットコンロ1台で作れるもの」が条件で、全国から多数のレシピが寄せられている。「サバ・メシ」はいつ起きるか分からない大地震による災害時の、機転の利いた生きるための智恵でもある。
 今回の東日本大震災直後の電気や水道、ガスといったライフラインが途絶した中で、非常食として備えていた食材とカセットコンロを使用し、食を確保することが出来たという報告が、これまでにコンテストに参加した市民や防災関係者から多数寄せられた。「生き延びるため」の生きたアクションである「サバ・メシ」を通して「新たな防災への知識」を深めることは、災害時に自分と家族や仲間を守るための重要な防災対策のひとつである。
 なお、本年11月10日に実施される工学院大学新宿校舎地震防災訓練の会場で、「2009年サバ・メシコンテスト」で優秀賞を獲得した東北福祉大学の学生が工学院大学の学生とともに受賞レシピを実演・調理する予定だ。「サバ・メシ」は若者レベルでも全国区になりつつある。同コンテストは、全国FM放送協議会「JFN賞2007」優秀賞、日本イベント産業振興協会主催「第3回日本イベント大賞」制作賞をそれぞれ受賞している。
*「Date fm サバ・メシ防災ハンドブック〜03.11の経験から知る、今までの防災にプラスすべき必要な事〜」の問い合わせは――
〒980-8420 Date fm 「サバメシ防災ハンドブック」係
>>サバ・メシコンテスト HP
>>仙台市消防局 HP(サバ・メシってなぁに!)
>>日本イベント産業振興協会
>>今村文彦教授レギュラー出演番組「SUNDAY MORNING WAVE」
■防災ハード、ソフトの Breakthrough
(独)防災科学技術研究所
自然災害情報室(DiL: Disaster information Laboratory)
災害種別リンク集
世界の防災関連機関リンク集
underconstruction underconstruction

災害に立ち向かう人のためにホリカフーズの「レスキューフーズ」 QUBE QUBE/アドトロンテクノロジー

ホリカフーズ 災害に立ち向かう人のためにホリカフーズの「レスキューフーズ」

災害年表 日本の災害・防災年表

“志”のネットワーク「先進事例」をご紹介します

工学院大学復興住宅、入村式
編集部:危機管理アドバイザー(防災士・精神対話士)で「減災学」講師として活躍されている尾下義男さんからご寄稿をいただきました。ここに掲載いたします。
>>尾下義男氏プロフィール

尾下義男氏からの投稿
●地震防災――とっさのとき、素手で頭を守る法
尾下義男:危機管理アドバイザー
2015年11月18日 寄稿

 私が各方面で講義や講演を行う際には、必ず、頭を守る動作を会場の皆様と一緒に実行しています。
 現在、一般的に、地震発生時の頭を守る行動は、素手やカバン等で直接頭を抑えるよう指導が行われています。しかし、この行動をとると首を左右に動かすことが難しく、視野が90度(正面)のみに止まります。
 そこで、私は、頭を素手で覆うときは手のひらを下向きにする(両手を組まず、左右どちらの手の甲の上に手のひらを重ねる=手のひらにケガをすると物が持てなくなり、避難行動時に大きな支障をきたす)ことを提案・指導しています。

 つまり、頭の上に空間(約10cm〜15cm)をつくると、首がスムーズにまわり、視野が180度に広がり危機を回避することができ、状況・危険度の確認も容易になります。しかも天井落下物が頭を直撃するとしても、その衝撃の緩和策(クッション)にもなります。

 机上の空論より、多角的な物事の見方、つまり、「ものは試し」の精神で別のやり方を試してみてください。
 このように一コマ(身を守る行動)の動作を積極的に訓練することで、安心、安全の確保の実践的・具体的な動作が市民一人ひとりに浸透して、実効性のある、実りある防災訓練の展開ができると確信しています。

 以上の内容の地震発生時の訓練を提案したところ、各地の消防局をはじめ防災関係者の皆様から、次のようなご回答をいただきました。
 『地震避難行動で身の安全を図る際には、とっさの判断を的確に実行することが重要です。とっさの行動として、視野を確保しつつ頭を保護する手の使い方について、尾下先生のお考えに大変共感しました』

 定常(机上の理論)のやり方ではなく、いざという場合にどう行動をとれるか、実際に身体を動かして、自分の身を守る行動がとれるかの訓練が大切です。

        □        □        □

●学校防災マニュアル作成のポイント
尾下義男:危機管理アドバイザー
2014年10月15日 寄稿

★ 学校における地震・災害の危機管理
 地震・災害に関して、「事前〜発生時〜事後」の一連の流れを示したいと思います。また、一連の流れはあくまでも一般的なものであり、学校の立地条件や発生時間帯によって変わることを考慮しなければなりません。

@ 事前の危機管理(備える)
 地震災害は、いつ発生するか分かりません。事前の危機管理が整っていなければ、発生時の危機管理、事後の危機管理に支障を来すことになります。
 地震発生時に「落ちてこない、倒れてこない、移動してこない」場所に避難する行動は、児童生徒等に対しての事前指導が不可欠です。様々な場所や時間帯で発生することを想定し、どのような場所が安全なのかを指導しておくことが必要です。

 学校の緊急連絡に関するマニュアルは、電話やFAX、メール等が使える前提で作られてはいないでしょうか。今般の震災では、長期間、停電、通信網が途絶した状況が発生し、児童生徒等の下校方法について保護者と連絡がとれず混乱した学校が多くありました。
 地震が起こった後に、この課題について考えても解決には至りません。事前の危機管理として、例えば、災害規模、公共交通機関の状況により、下校方法や学校に待機させる等の対応をあらかじめ決めておくことが、事後の危機管理につながります。

 このような点からも事前の危機管理が、発生時・事後の危機管理すべてに影響し、マニュアルを作成する上で最も重要な部分であると言えます。

A 発生時の危機管理(命を守る)
 地震の揺れは突然やってきます。緊急地震速報によって数秒から数十秒前に報知音が鳴ることもありますが、震源が近い場合、報知音と揺れがほぼ同時であったり、報知音よりも揺れが先に来たりすることもあります。

 地震の揺れで停電する場合もあることから、校内放送で「地震が発生したので机の下に入りなさい」と指示することによって避難行動を促す訓練が、実際に地震が発生したときの危機管理に見合っていないと言えます。
 報知音、あるいは揺れそのものを、児童生徒等の一人ひとりが察知した段階で、素早く身の安全を確保することが命を守る上で重要です。自分の身の回りで落ちてくるもの、倒れてくるもの、移動してくるものはないかを瞬時に判断して、安全な場所に身を寄せることが必要です。

 教室内だけでなく、学校のあらゆる場所、登下校中、家庭内等においてもこのような行動をとれるようにするためには、事前の指導や訓練が必要であり、避難訓練等で繰り返して指導することが大切です。初期対応はもちろん、二次対応についても、緊急を要する場面では、マニュアルを見る余裕がない場合が考えられます。

 一刻も早く児童生徒等を避難させるためには、教職員があらかじめ具体的な手順を理解しておかなければなりません。また、避難行動中にマニュアルを持って避難することが難しい状況も考えられ、その意味では、二次対応のマニュアルについては、対応の優先順位を考え、単純で分かりやすい内容が求められます。
 児童生徒等の安全確保が確認された後、時間的余裕が発生した段階で次の対応に移ることをイメージして作成することが大切です。

B 事後の危機管理(立て直す)
 児童生徒等の在校時に地震災害が発生し、その後下校(帰宅)させる際には、十分な情報を収集して、通学路の安全確認や公共交通機関の運行状況等も含めた判断が求められます。
 通学範囲が広い場合には、児童生徒等の居住地の情報収集も必要です。情報通信網や公共交通機関が麻痺し、保護者等の帰宅が困難な場合には、児童生徒等を学校で待機させるなどの対応も必要になってきます。その際には、事前に保護者とルールを決めておくなどの対応が必要です。

 また、学校施設が避難所となる場合について、避難所開設・運営は本来的には行政の防災担当部局が責任を有するものですが、大規模災害時には一定期間、教職員がその業務を支援する状況が予想されます。
 この場合について、教職員の第一義的役割としての児童生徒等の安全確保、安否確認等の業務に支障を来たすことのないよう、あらかじめ、地域住民や自治体等と学校が支援できる内容について協議しておくことが重要です。

 さらに、勤務時間帯以外の災害発生時の対応については、教職員が参集するまでに時間を要することも考えておかなければなりません。

▼訓練の主な内容例
@ 安全確保の方法
A 情報の収集、確認、伝達、報告
B 防災組織の編成と活動
C 児童生徒の避難誘導
D 火気の安全管理と初期消火
E 負傷者の救出と応急処置
F 保護者への連絡・児童生徒の引き渡し
G 備品、災害用品等の点検

○ 訓練の状況設定例
@ 緊急地震速報を受信した場合
A 地震がおき火災が発生した場合
B 地震がおき津波の恐れがある場合
C 火災が発生した場合
D 風水害等の災害が発生した場合
E 停電により緊急放送ができない場合
F 電話が不通で、情報の収集や伝達ができない場合
G 運動場が噴砂、地割れ、陥没等で使用できない場合
H 渡り廊下、非常階段が被害を受けて使用できない場合

○ 訓練の想定場面例
@ 登下校時
A 始業前、放課後
B 授業中 (普通教室・特別教室・体育館・運動場等)
C 休憩時
D 特別活動時
E 校外の教育活動時
*寄宿舎での生活時

【工夫・改善のポイント】

@ 避難訓練との関連を図り、内容項目を設定するとともに、教材や資料を工夫
A 生活とのかかわりを生徒が意識できるよう工夫
B 避難訓練での体験が実生活で生きて働く能力となるよう、すべての学級が一斉に学級活動において避難訓練のまとめを行う
○ 避難時の行動――「お・か・し・な・も・ち」を合言葉に
・おさない … 転倒を防止する
・かけない … 校舎内は走らない
・しゃべらない … 教職員の指示をしっかり聞く
・なかない… 他の児童生徒に動揺を与える
・もどらない … 自分の生命を守ることを最優先に考える
・ちかよらない … 危険な場所(危険物)に近づかない

「実践的な避難訓練」

1 趣旨・目的
 避難訓練は、各学校において年間行事に位置づけられ、計画的に実施されている。しかし、あらかじめ決められたシナリオのもとで整然と行われる避難訓練は、緊迫感に欠け、マンネリになりがちである。そこで、訓練想定やシナリオを工夫することにより、単にやらされる訓練から、教員、生徒ともに様々な場面において、危険回避について理解し、状況に応じて安全に行動できるよう、防災意識や適応能力を向上させる。

2 事前準備
 校長、教頭及び担当教諭で訓練計画を作成する。より緊迫感のある訓練とするため、おおまかな訓練想定以外の情報は、必要最小限の教員のみが共有する。なお、訓練実施に当たっては、「検証員」を置き、秩序ある避難が実施できたかどうかを検証する。

3 工夫する部分
(1)休み時間に訓練を開始する
 生徒が教室に集まっている授業時間ではなく、休み時間中に訓練開始の放送を行い、整然と避難ができるかどうかを検証する。

(2)シナリオの一部を知らせない
 あらかじめ行方不明になる生徒を数人決め、待機場所、救助方法などを打ち合わせしておく。他の生徒に情報を漏らさないように、生徒には訓練の趣旨をよく説明する。校庭等に生徒が集合した際に、点呼漏れがないかを確認する。

(3)訓練の想定を変更する
 火災や地震ではなく、爆破予告があったという想定で訓練を実施する。あらかじめ校内に不審物を設置しておき、校庭等に生徒が集合した際に、不審物を見かけたかどうかを確認する。

(4)負傷者の救出と応急手当を組み合わせる
 負傷者役と負傷の程度を決めておき、あらかじめ、応急手当や救命手当の教育を受けた生徒が手当を行う。

※※ 実効性の確保にあたって ※※

・マニュアルには当該学校の避難経路や避難場所を具体に記載します。
・マニュアルに基づいた訓練を繰り返し行い、課題を見いだし、修正します。
・災害発生時に適切な行動をとることができるよう"いつ、誰が、何を、どのよう
に"行うかを明らかにするとともに、職員室などに大きく掲示する等、教職員間で情報を共有しておきます。

 以上です。

        □        □        □

●なぜ家具類の転倒・落下防止対策が必要なのか?
尾下義男:危機管理アドバイザー
2014年6月4日 寄稿

〇 地震による負傷原因
 近年発生した大きな地震の負傷原因を分析すると、30〜50%の人が、家具類の転倒・落下により負傷していることが判明しました。また、転倒・落下した家具類につまずいて転倒、家具が倒れ割れた食器やガラスなどでケガをするなど、家具類の転倒は多くの負傷原因に派生して、最悪の場合は死に至るのです。まずは、わが身を守ることです。

「家具類固定の促進及び義務化への提言」

 室内の家具の転倒や破損によって、ケガを負ったり逃げ道をふさがれたりして、せっかく訓練しても、近隣の避難場所までたどり着けない可能性大です。ご自身と大切な家族を守るために、家具の転倒防止や建物の耐震工事等の「事前防災と復元防災力」を一刻も早く施すことを強くお勧めします。

1. 高層住宅の居住者は、地震時に家具類が転倒あるいは移動する危険性が高いことを認識し、家具類の固定を施す。
 一般住宅、公共施設・事業所等においても家具類の固定は必要で、国民は、家具類の固定を当然とする「備えの文化」を育むこと。

2. 自治体は、公共施設・高層住宅の居住者に家具類の固定を義務付ける条例を制定すること。
 また、関連して管理組合規約や賃借契約に条項を盛り込み管理組合、貸し主、管理会社、仲介会社に積極的に働きかけること。
・分譲住宅の入居者が共有部分の構造壁に家具類固定のためのアンカーを取ることを管理組合は許諾すること。
・賃貸住宅の入居者が壁に家具類固定のためのアンカーを取ることを貸し主は許諾すること。

3. 住宅を供給する企業は、冷蔵庫や食器棚等を置くと予想される場所の壁に、それらをアンカーできる設備をあらかじめ設置し置くこと。
 また、一般の居室の壁には家具等を固定するための下地補強をあらかじめ実施し、実施していない場合はオプションで実施できることを、販売に際し購入者に必ず説明すること。

4. 国は、上述の自治体の施策を法整備により支援し、家具類固定の設備が保障すべき強度の基準を定める。また、一般的な壁や天井の強度の事例やその下地補強の事例を作成しHP等で公開すること。

 これらは最低限の対策であり、個々においては、さらなる対策が必要です。

        □   □   □   □

●「災害の危機管理と防災体制の確立」
尾下義男:危機管理アドバイザー
2014年01月02日 寄稿

 危機管理の基本は、災害のメカニズムを知り(knowing hazard)、弱いところを知り(knowing vulnerability)、対策を知ること(knowing countermeasures)です。

 防災体制の基本は自助・共助・公助です。しかし、住民は自助・共助・公助は1:2:7 だと思っています。実際は7:2:1 で、認識のギャップと行政任せの住人・個人が、災害対応を困難にしていると言っても過言ではありません。

 一般的に、防災とは、災害の被害を未然に(完全に)防ぐための行動・施策・取り組みであり、一方、減災とは、自助・共助を基本に、災害や突発的事故などは完全には防げないという前提に立ち、被害を最小限に止めるための平時の対策を取り組むものであり、一つの対策に頼るのではなく、小さな対策を積み重ね、訓練して、被害の最小化を図るソフト対策・人づくり重視のまちづくりを行うものです。

 最近では、主に災害対応において「自助/共助/公助」の役割分担への理解の重要性が説かれています。災害は社会全体に影響を及ぼす事象であるために、その影響を受ける個人(企業)/地域/行政のそれぞれの役割を明確にし、お互いに補完し合う必要があります。
 大規模な災害であればあるほど、「国・行政が何とかしてくれるハズ」と期待しがちですが、公助にも限界があります。防災対策・災害対応においては、まず自らがその生命や財産を守るという考えが基本となっていると言えます。

 かつて日本の地域社会では、困った時にお互いが助け合いの「向こう3軒両隣精神」がありました。しかし、近年隣は何をする人ぞと言われるように地域住民の付き合いは希薄な状況にあります。
 しかし、共助の活動を担うのは向こう3軒両隣の住民であり、自助と共助の間を埋める「近助」が重要な役割を果たすと考えられます。
 昔から「遠くの親戚より近くの他人」、「何かあった場合に頼りになるのはご近所さん」です。それには普段から顔の見えるお付き合いをし、身体が元気なうちは助けられる人から助ける人へ、守られる人から守る人へと立つ位置を替え、必要な時は見返りを求めず、思いやりの心で、地域や隣人を助ける、傍観者にならない心を持つという「思いやりの心」が大切です。

 災害時には、自助・共助・公助の3つの連携が円滑になればなるほど、災害対応力を高め、被害を最小限に抑えるとともに、早期の復旧・復興につながるものとなります。

 安全・安心の社会の構築は、防災教育(共育)にあります。災害を知り、地域を知り、「災害を正しく恐れ」て、減災に取り組む人づくりの育成が重要です。つまり、「互教互学」の精神で、後世にしっかりと受け継いで行くことが我々に与えられた使命です。
 私は自戒し、日々研鑽を重ねより一層鋭意努めて参ります。本年もみなさまのご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
        □   □   □   □

●「危機感覚を高めるには」
尾下義男:危機管理アドバイザー
2013年10月20日 寄稿

 10人が死亡した福岡市の医院の火災は、煙や炎が広がらないようにする防火扉と初期消火に威力を発揮するスプリンクラーの重要性を改めて浮かび上がらせました。ベッド数が19床以下という医院はスプリンクラーの設置義務がない。火災のたびに改善されてきた福祉施設に比べると防火態勢の脆弱さは際立っています。

 防火扉が閉まらなかった背景には消防の査察と自治体の点検にまたがる「二重のチェック漏れ」があります。消防の査察では、閉鎖を妨げるものが置かれていないか視認し、作動状況まではチェックしません。大きな原因は、防火扉の設置基準が、消防法ではなく建築基準法で定められている点です。
 消防のスタンスは「(感知器と結ぶ)配線が生きているか、扉がちゃんと閉まるかなどのチェックは査察ではなく、ビルオーナーが点検業者に頼む筋合いのものだ」とし、基本的に「同法は所管外」です。
 チェックの網から漏れるもうひとつの理由は、報告対象外だったことです。対象外施設の点検は所有者の自主性に委ねられているのです。

 人の命を守る病院で「尊い命が奪われること」の悲劇は残念でなりません。
 指導に当たる行政機関は「二重行政」の弊害を撤廃し、国民目線での業務執行をお願いしたいものです。また、このような惨事を繰り返さないためには、私たち国民一人ひとりが他人事でなく、自分の事として「危機感覚(Sense of emergency)を高めて、この感覚を持続することが非常に重要です。


三陸復興国立公園 三陸復興国立公園
★こころを結び、出会いをつくる旅〜観光で被災地支援!


●もうひとつの防災教育、 ディザスター映画ガイド

“志”の「始動事例」をご紹介します

米国発祥の地震防災訓練「シェイクアウト」
 ——日本でこそ普及を

 (Bosai Plus 2012.10.15 号より)

 「シェイクアウト」という地震防災訓練がわが国でも急速に広まっている。「シェイクアウト」とは米国発祥の防災訓練の名称(造語)で、その語感は「(地震を)振り払え!」といったところ。訓練方法は至って単純で、「Drop(姿勢を低く)、Cover(体・頭を守って)、Hold on(揺れが収まるまでじっとして!)」の合言葉とともに、自分のいる場所で、揺れに襲われたときをイメージし、身の安全を確保する方法をとっさに考えようというもの。揺れが襲う日時を事前に想定して、その場にいる人たちが一斉に行う。短時間(1分〜数分)で、どこでも、だれでも、子どもでも気軽に主体的に参加できることから、参加者数(登録制)は年を追って世界規模で飛躍的に増えている。ちなみに米国でこの10月18日に一斉に行われる「シェイクアウト」にはすでに、1230万人が参加登録済みだという。
 日本では米国「シェイクアウト」本部(Great ShakeOut)から"Official Region"(地域支部)として公認された「効果的な防災訓練と防災啓発提唱会議(略称:ShakeOut提唱会議)」と東京都千代田区が連携し、本年3月9日、学校・企業等の参加による初めての日本版「シェイクアウト」が実施された。その後、8月31日には北海道(庁)、9月1日には千葉市、9月19日には名古屋市が実施、さらに11月11日には愛知県蒲郡市、2013年1月23日には神奈川県座間市で実施予定で、米国本部集計では、日本での登録参加者数(実績+予定)は14万人となっている……(以下、続きはタイトルをクリックして本紙をご覧ください)

日本電業工作「河川監視システム」 日本電業工作「河川監視システム」

ハード/ソフト 「イノベーション事例」をご紹介します

【 防災を読み解くキーワード 】
■ クライシスマッピング
 (2014.06.01 No. 91 収録)

 ICT(情報通信技術)の大きな特長として、膨大な情報を一括して瞬時にデジタル処理・分析できることがある。とくに、いわゆるビッグデータ(パソコンやスマートフォンなどのコンピュータからインターネット上のサーバーコンピューターに蓄積された膨大な文字、写真、音声、動画などのデジタルデータ)を処理・分析することで、あらゆる分野で活用できる情報の付加価値を生むことができるようになっている。

 たとえば東日本大震災で、被害を受けて不通となった道路情報を車のカーナビ機能から明らかにしたり、タクシーの走行記録から都心部での交通渋滞発生状況を解析する、また帰宅困難者のケータイ電話のGPS機能や交信状況からその動きの分析なども可能となっている。南海トラフ巨大地震や首都直下地震に備えて、防災・減災対策においてハード面の限界を補う新たなソフト対策の切り札として、ICT活用は大きな可能性を秘めている。

 そうしたICT活用の一例として、最近浮上してきたキーワードに、「クライシスマッピング」(Crisis Mapping)がある。「クライシスマッピング」とは、災害時に一般市民がツイッターなどで投稿した情報をもとに、インターネット上に被害の状況を示す地図をリアルタイムでつくっていくことを言う。

 東京のような大都市で電車に遅延が生じたときツイッター情報を参考にする人が多いが、「クライシスマッピング」はこれに似て、災害が起きたときに市民がツイッターやフェイスブックなどで投稿した写真や情報をもとに、ITエンジニアがボランティアでインターネット上に地図をつくって被害状況を共有する取り組みだ。

 「クライシスマッピング」は、4年前の2010年、31万6千人に及ぶ死者を出したハイチ大地震の際、海外ITエンジニアが国際的な災害支援サイトにツイッターを通じて寄せられる情報を整理し、「どこで、なにが起きているのか」、「どこで、誰が、なにを必要としているのか」を震災情報レポートにして、リアルタイムでマッピングしたことから本格的に始まったと言われる。その後、東日本大震災、昨年(2013年)の伊豆大島台風26号被害、フィリピンでの台風30号(国際名:Haiyan ハイエン、フィリピン名:Yolanda ヨランダ)による災害などで「クライシスマッピング」が試みられている。

 この取り組みは、地図データ作成プロジェクト「OpenStreetMap(OSM)」ユーザーを中心に呼びかけられ、全国各地にいるエンジニアが被災状況を集約し、被災した状況に対する解決を図る。OSMは、商用利用も含めてだれでも自由に利用でき、かつ編集機能のある世界地図をつくための共同作業プロジェクトで、GPS機能を持った携帯端末、空中写真や各種無料のデータサービスからのデータをもとにつくられ、"地図版ウィキペディア"とも言われる。

 なお、参考まで、Google Mapsは利用規約で二次利用などが厳しく制限され、マイクロソフトのBing Mapsはより自由に二次資料が可となっている。また、YAHOO!地図は、OSMに所有する地図データを提供するサポーターで、国土地理院も基盤地図情報のトレースを許可するなど、活動を支援している。ほかに多くの地図サービスプロバイダーの協力のもとでOSMは日々更新されている状況だ。

 「クライシスマッピング」はフィリピンの台風災害で国連機関の支援活動に活用されたという。その特長は次のような点にあり、災害支援の新たな手段として注目される。
・地図上で被害の状況がひと目で把握できる
・インターネット上で公開され、支援に当たる行政や民間団体などが最新の情報を共有できる・自治体の被災、通信の途絶など、情報収集・集約が困難になっても活用できる

 わが国では「クライシスマッピング」の開発・活用は緒についたところで、取組みへの協力者、情報提供者をどのように広げていくか、投稿される情報の真偽をどう判断するか、地図を作成するボランティアの人材をどう育てていくか、行政はどのように地図を活用できるかなどが課題となっている。

>>sinsai.info 東日本大震災 | みんなでつくる復興支援プラットフォーム
>>伊豆大島台風26号被災状況マップ 〜被災状況把握のためのマップ〜


DISASTER & IMAGINATION

DISASTER & IMAGINATION
(災害映画・DVD紹介)
『デイ・アフター 首都水没(特別編)』

  今晩(2010年12月12日・記)、テムズ川氾濫によるロンドン受難の映画、2006年英国・カナダ・南アフリカ制作「デイ・アフター 首都水没(特別編)」〈原題=FLOOD〉がテレビ朝日「日曜映画劇場」で放送される。これは実は、初の地上波テレビ放送というキャッチフレーズで2008年9月に「日曜映画劇場」が一度放送したものだ(そのときは“特別版”)。そのDVDは、同年10月にリリースされている。
  前宣伝では“メガ津波”だと言っているが、実はこれ、「高潮」である。一般視聴者には津波と言ったほうがインパクトがあるのかもしれないが、高潮もわが国では珍しくない災害であり、フィクションとはいえ、あきらかに「高潮」のメカニズムによる洪水の話で、映画のなかでもそれを説明しているのだから、正しく表現してほしいところだ。

 「美しいロンドンの街並み……テムズ川は河口に設けられた巨大な構造のテムズ・バリア(水門)に守られ平穏そのものだった。しかしその頃スコットランドではハリケーン並みの大嵐が海岸地帯を襲っていた……(中略)……大嵐がスコットランドから北海岸地帯、そしてロンドンへ近づいてきた……」。映画紹介の宣伝コピーにあるように、テムズ川氾濫のプロット展開は、これが気象条件の定番のようだ。
  たしかにロンドン洪水は、低気圧(嵐)によって引き起こされた海面上昇(高潮)がドーバー海峡にぶつかり、高潮の侵入を導くようにテムズ川河口があることで過去繰り返されてきた。テムズ・バリアはその対策として設けられた水門で、地球温暖化を背景にその洪水対策上の機能的な限界が現実の課題ともなっている。

 「デイ・アフター/首都水没」のなかでは、当初は最悪の予測を排斥していた気象庁幹部が、それが現実化しつつある状況のなかで、「ふつうならそうはならないないだろう」と過去の事例を踏まえた”経験則”に頼ろうとする。しかし異端の気象学者がそれをたしなめ、「これはふつうじゃない」とひと言で一蹴する。自然災害とは、”ふつうではない”状況、想定外の事象に対応できないことから発生するという災害の本質が、この簡単なやりとりに集約されている。

 この映画で注目されるのは、政府内に設けられた緊急災害対策本部での危機管理手法だ。警報発令、避難勧告、避難命令がいずれも後手に回り、ロンドン市民に被害が出始め、さらに数十万にのぼる命の危険が想定されるなかで、”見捨てる地域と救う地域”の重大な選別が、救助方針の課題として浮上する。とくに公助(公権力行使)が伴う危機管理では、その実効性を高めるために、救助に要する軍隊・消防・警察などの実働勢力を一地域に集中させるために、救助対象地域を選別することが起こり得るのだ。それは言葉を代えれば、命の重さを地域ごと(集団)に選別することである。
  映画では、緊急避難の余裕もなくなったロンドン市民の救助対策に行き詰まった政府危機管理監が、学校施設のある地域に取り残された人びとを優先的に救助するという苦渋の決断を迫られる。

 ここで思い起こされるのは、2008年の米国でのハリケーン・グスタフ避難対策だ。グスタフは8月末発生し、カテゴリー4にまで発達、カリブ海諸国、米国南部に大きな被害をもたらした。当時、グスタフ進路に当たったルイジアナ州と、その最大の都市ニューオリンズ市は、大災害となった05年8月のハリケーン・カトリーナの教訓を活かそうと、徹底的な避難対策を施した。
  その例を挙げると――「避難命令に従わず残留する者には救助等の行政対応をしない」、「治安改善のための外出・立ち入り禁止令」、「ペット避難計画の策定」(ペットを理由に避難しなかった者が多かった)」などだ。カトリーナのとき、避難率98%と”完全避難”を達成した同州プラークマインズ郡では、グスタフのときも「報道発表」で、外出禁止令に違反した者は「容赦なく逮捕、刑務所に送る」、「郡内には避難所がない(完全に安全な場所へ避難すべし)」、避難後は「道路封鎖の実施(戻れない)」などと告知した。

 台風やハリケーンなどで想定される洪水では、地震と異なり、多少は避難の時間的猶予がある。洪水は、水が来ないところへ避難すれば犠牲者は限りなくゼロに近づく。わが国では「災害時の犠牲者ゼロをめざす」という先の政権の防災方針が新政権でも引き継がれているが、洪水での究極の減災対策が”完全避難”であることは言を待たない。(2010年12月12日・記)

<DVD情報>
2006年英国・カナダ・南アフリカ製作、DVD「デイ・アフター 首都水没(完全版)」/発売・販売元:アミューズソフトエンタテインメント株式会社/発売日:2008年10月24日/約113分


●安全・安心社会の実現をめざして……協賛ガイド
  (ロゴをクリックすると各ホームページにジャンプ)


《Bosai Plus》が危機管理産業展 RISCON NEWS に記事提供しています
>> RISCON NEWS で公開した 《Bosai Plus》の記事一覧はこちら
(記事も読めます)

米国大使館商務部 米国大使館商務部



ホリカフーズ 災害に立ち向かう人のためにホリカフーズの「レスキューフーズ」

日本電業工作株式会社 日本電業工作株式会社