No. 43

24万もの人びとが犠牲になった大地震
唐山大地震
〈原題:Afterschock〉



2010年製作中国映画「唐山大地震」ポスターより
(Photo courtesy: Media Asia)

■中国映画「唐山大地震」が中国で大ヒット――唐山地震とは

 1976年7月28日に中国河北省で発生し、24万もの人びとが犠牲になったとされる唐山地震。この大地震をテーマにした大作映画「唐山大地震」が、34年後の唐山地震発災記念日の1週間前、7月22日から中国各地で公開され、大ヒット・ロングラン興行となっている。中国紙によると、興行収入は公開初日に米国のSF大作「アバター」の記録を突破、国産映画としては最高となる見通しだ。8月20日からは台湾でも公開され話題となっている。

 監督は中国映画界のヒットメーカー・馮小剛(フォンシャオガン)。近作で北海道を舞台にした映画「非誠勿擾」(2008年公開。日本では邦題「狙った恋の落とし方。」で、2010年2月、北海道で先行公開)を大ヒットさせ、歴代興行成績1位を記録、中国人の北海道旅行ブームの立役者ともなった人物。
  映画「唐山大地震」のストーリーは、唐山大地震で生き別れとなった母と娘が、32年後の四川大地震(2008年5月12日発災)の年に再会を果たし、心の傷を癒やすというもの。中国系カナダ人女性作家、Zhang Ling の小説「余震」が原作で、英語タイトル名も「Aftershock」(余震)となっている。

  映画はいずれ日本でも公開またはDVDとなって見られると思うが、実は唐山地震をテーマとする中国映画は2001年にも製作されていて、日本でもDVDが販売されている。タイトルは「中国大地震」(発売・販売元:ジェネオン)。
  意外と思われるが、中国の地震発生頻度は世界一だ。国土が広いためだが、国土面積当たりでみると、世界一はコスタリカ、あとはキプロス、アルメニア、エルサルバドル、ギリシア、そして日本となる。中国は日本の15分の1程度とぐんと低い(国連開発計画=UNDP「防災レポート」より)。

 ところがその中国にも地震帯は23あるという。唐山地震はそのひとつ、「燕山―渤海地震帯」が動いて起きた地震だった。マグニチュード7.8の直下地震が、20世紀最大の死者数をもたらす震災を引き起こした。

■北京郊外で30数年前、知られざる大震災が

  唐山市は中国東北部・河北省の工業都市で人口は当時約100万人(現在は復興し157万人)。南は渤海湾に面し、西は北京、天津に接する。その唐山市の多くのレンガ造りの建物が一瞬で倒壊。死者の大部分は圧死だった。死者は公式記録によれば24万2419人とされる(非公式には60万人〜80万人とも!)。
  つい30数年前、世界災害史に残る大震災が北京近郊で起こった事実を信じがたいと感じる読者は多いだろう。その理由は当時、中国が文化大革命のさなかにあり、当局が情報を統制し、国際社会からの援助を拒否したことにある。

 2001年版映画「唐山大地震」はいわゆるB級映画だ。あえてコメントすれば、防災の視点での留意点は……地震発生前の動物の異常行動や自然現象の異常など、「宏観異常現象」による地震予知が前面に打ち出されていることだ。その伏線として、唐山地震の前年2月に起こった「海城地震」(M7.2)がある。「宏観異常現象」から地震予知に成功し、多くの人命を救ったという“実績”が伝えられている。
  言うまでもなく「宏観異常現象」による予知は「予言、占い」に近い、つまり科学的ではない。地震発生前にたまたま起こった現象ではあっても、逆は真ではない。だからこそ、同映画が断定的に地震予知とするその手法に疑問の一石を投じておかなければならない。ちなみに地震予知には3つの条件があるとされる。「いつ、どこで、どれくらいの規模の地震が起こるか」である。

  製作中に四川大地震が起こり一時中断を余儀なくされたという2010年版「唐山大地震」が、映画のなかで地震メカニズムや「宏観異常現象」の検証を行っているかどうか、その視点でも映画は興味深い。