No. 28

原発を襲うM8.5直下地震
M8.5
Nature Unleashed: Earthquake



04年アメリカ映画・DVD「NATURE UNLEASHED―
EARTHQUAKE」/発売元:ジェネオンエンタテインメント
/価格:税共¥3、990

 「新潟県中越沖地震」は、日本ではどこでも、いつでも……そして何度も、大地震が起こり得ることを改めて私たちに教えた。
  ある地震学の著名な先生が、「現代の地震学は起こった地震の説明はできるが、いつ起こるかは皆目わからない」とため息をついたが、科学者として忸怩(じくじ)たる思いがこもっていたように思う。しかし、地震学の門外漢の私たちは、あっけらかんと直感的に地震の本質をとらえる。「地震はいつ起こるかわかりっこない」と。

 「新潟県中越沖地震」は、原子力発電所のほぼ直下で起こり、原発が被災した世界で初めての「イベント」(災害)でもあった。
  柏崎刈羽原子力発電所の安全管理を監視する県委員会の座長・原子炉の専門家が「今回の地震は原発にとって歴史的実験」と記者会見で述べ、この発言を問題視した向きからの抗議で、「一身上の理由で」同座長や国の委員を辞任したという。

 その発言が、 「今回の原発直下地震は、原発耐震技術の視点から多くの研究材料・データを提供し、結果的に、世界的・歴史的な視点で原発耐震性の実験機会となった」という趣旨ならば、先の地震学者の「忸怩たる思い」の裏返しのようなもので、科学者・技術者としての知的興奮、使命感が言わせた正直な感想として理解できる。

 地震列島・日本で原発推進の是否を争う議論は、多面的な国家的リスクをめぐるせめぎあいの様相が濃く、科学の推論だけでは決着がつきそうもない。原発推進派はその安全性について、国民が直感的に確信を持てる条件や材料を、想像力をもって示さなければならない。不可能かもしれないが、“日本が裂けても放射能は漏れない”レベルでの安全保証をめざす覚悟で。

 柏崎刈羽原発の「実験結果」には、想定外直下地震被災にしては上々という好意的な評価もあるが、国民一般の「直感的安全」への信頼性では“未(いまだ)し”だろう。

 さて、今回の映画は、ロシアの原発がM8・5直下地震に襲われるという話。ロシアというと1986年チェルノブイリ原発事故がいまだ記憶に新しいが(当時はソ連邦)、先の能登半島地震での志賀(しか)原発、今回の柏崎刈羽原発と「地震VS原発」問題が続き、「いつ起こっても不思議はない」東海地震の想定震源域に浜岡原発があるだけに、パニック映画では大地震VS原発をどう取り上げるか、参考に供する。