No. 27

都心を襲う巨大竜巻!
トルネード〈1部・2部〉
TORNADO - Der Zorn des Himmels



06年ドイツTVドラマ・DVD「TORNADO」
/本編173分+特典映像2枚組み/発売元:SPO−X
/価格:税共¥5,040

 本号1面と3面は「竜巻」特集になった。昨年、宮崎県延岡市、北海道佐呂間町と相次いで竜巻が襲い、観測史上例を見ない12名の死者を出し、竜巻が一挙に防災課題として浮上したことが背景にある。

 昨年の竜巻災害の特徴は、私たちが暮らす街で発生し、人命、住宅に多大な被害をもたらしたことだ。大きな竜巻災害が続くと地球温暖化との因果関係が疑われるが、基本的には相関関係は認められず、これまでの日本での竜巻発生数は少ないとは言えないのだそうだ。

  竜巻の本場・米国では中西部で竜巻が多く発生し、「ストーム・チェーサー」(竜巻の追っかけに精出す研究者やカメラマン)がいるほどで、お陰で3面写真のような迫真の竜巻映像を入手できる(米国版気象庁=米国海洋大気庁〈NOAA〉のホームページに竜巻映像の無料ライブラリーがある)。

 米国の竜巻は中西部に集中するとはいえ、その一帯が広大な平原地帯なせいか、小さな町を襲うことはあっても都市部を襲うことはめったにない。本コラムは05年9月号(第6回)で米国映画「ツイスター」を紹介したが、〈F5・大地をひっかく神の指〉の異名をとる主役ツイスターは平原で発生する。

 今回紹介する06年製作のドイツ映画(大ヒット連続TVドラマをDVD化)「トルネード」(2部構成=第1部「崩壊のサイン」、第2部「生存率0・001%」)は、人口340万の大都市・統一ドイツの首都ベルリンを直撃する。クライマックスであるベルリンのランドマーク、高さ368mのベルリンテレビ塔が竜巻に“呑み込まれる”シーンは圧巻。

 竜巻は温帯地域で多く発生し、ヨーロッパでの発生数も多いという。映画では、本場・米国オクラホマで竜巻研究の実績を積んだ若い気象学者の主人公がベルリンに帰省し、熱波のさなかのベルリンに近づく発達した寒冷前線、スーパーセル(巨大積乱雲)の動きから、巨大竜巻が都心部で発生することを確信する。

 物語は、政府の事なかれ主義や、“空振り”を恐れ警報を出ししぶる父親の気象台長、左遷を恐れ、非常事態宣言をためらう消防本部長、ビジネスライクな損害保険会社などとの葛藤を織り込み、危機管理のあり方を問う。
  連続TVドラマのせいか、家族・人間関係をめぐる伏線がやや冗長だが、VFX技術など、大ヒット作品の片鱗はうかがえた。