No. 25

存在を揺るがす雷や、よし!

サンダーボルト

原題:LIGHTNING: BOLTS OF DESTRUCTION



DVD「サンダーボルト」03年アメリカ製作
発売・販売:プライムウェーブ株式会社
価格:税共5,040円

 03年アメリカ製作のテレビ映画『サンダーボルト』は、雷(かみなり)をモチーフとする気象災害パニック映画。地球温暖化、太陽の磁気嵐、地磁気の逆転(北極部のS極と南極部のN極の逆転=映画「ザ・コア」のモチーフ!)や氷河期の再来など、地球破壊規模のスーパーストームの脅威が、雷の異常発生をさきがけとして迫る。

 製作予算の都合からか、スペクタキュラーなシーン展開は期待はずれだし、科学的裏づけレベルも素人目から見ても三段跳び(一気飛び?)で、ストーリー展開も人間ドラマもコマ落としの劇画みたい……つまり災害パニック映画としてはB級だろう。参考までインターネットで映画評(日米の一般ブログ)をチェックしたが、もっぱら酷評だった。

 酷評に共通する視点として、VFX(視覚効果、特撮)やストーリー展開への批判のほかに、科学的に「あり得ない!」という拒絶反応があった。しかしこれは、この種の映画の娯楽性を元から否定するもので、それなら最初から見なければいい。
  いっぽうで現実の大災害が人間にとって常に「あり得ない」状況で起こることを考えれば、災害パニック映画は娯楽性と疑似科学を装いつつ、むしろ“災害に肉薄”しているとも言えるのだ。

 したがって本欄は、B級映画でも「災害の不条理性」の一端をとらえていれば、それを大いに評価する。本映画も、雷というテーマへの挑戦に対し、敬意を表し、心意気を買おう。

 雷は自然現象だが、人間にとっては実に“文学的”な現象でもある。季語は夏。稲妻は秋の季語。古語や方言では、いかづち、ごろつき、かんなり、らいさまなどの呼び名もあり、人間存在の根元を揺るがすような雷鳴は、こわさと同時に、帰依にも似た陶酔感を味わわせる。

 雷には「正極性と負極性」の種類があること、落雷の直撃によって溶けた砂や土が素早く冷えてパイプ状に固まった岩石「フルグライト」(閃電岩)、高高度核爆発や雷などによって発生する電磁パルスEMP(electromagnetic pulse)など、映画は科学とイマジネーションでカモフラージュした災害映画ならではのペダンティック(博識ぶった)な気分をたっぷり味わわせてくれる。

 それもこれもこの種の映画の効用ではある。