No. 18

巨大災害に効く”勘”と想像力

壊滅暴風圏:カテゴリー6
Category 6: Day of Destruction


DVD「壊滅暴風圏/カテゴリー6」c MAT Movies & Television Productions GmbH & Co. Project IV KG. 販売:日活
 05年8月29日、ハリケーン・カトリーナが「カテゴリー5」(上陸時はカテゴリー4)の勢力で米国南東部を襲った。人口48万のニューオーリンズ市を中心に被害は広域に及び、死者・行方不明者1900人余、経済被害およそ1250億ドル(約14兆5千億円)は、米国自然災害史上最悪である。

  近年、地球規模で自然の営みがおかしい。異常に大型化したハリケーンや台風が堤防をやすやすと決壊させ、災害を一挙に拡大させる。わが中央防災会議が「大規模水害専門調査会」(本紙5面参照)を設けたのも、“ニューオーリンズ水没”が決して他人事ではないからだ。

  『壊滅暴風圏:カテゴリー6』(原題は「Category 6: Day of Destruction」)は、日本語タイトルが大時代がかっているが、04年に米国CBSテレビドラマとして製作され、ストーリーの同時代感――異常気象(巨大ハリケーンと巨大竜巻が合体する“スーパーストーム”)に加え、現代エネルギー浪費社会の脆弱さをあばく大停電の同時勃発など、ストーリー展開のスケールは大きく、快適なテンポと相まって災害モノとして上デキだ。
  制作費を抑えたせいかVFX(CGによる特殊効果)はいまひとつだが、それはそれで鑑賞者がイマジネーションを膨らませればいいことである。

 ハリケーンの威力は「カテゴリー」で分けられる。予報が最大等級の「5」だと、大規模な被害を予想して住宅地では事前に避難命令が出る。ちなみに風速(秒速)は「4」でも59m〜69mと猛烈で、「5」では〜70m。映画では「カテゴリー6」とされ、これは「未経験領域の威力」だ。

 竜巻の等級は、映画「ツイスター」(05年9月号)のときに紹介したが、米国で活躍した日本人気象学者・藤田哲也博士考案の「Fスケール」で等級分けされ、「F5」が最大。風速はなんと117m〜142mだ。しかし、想像力の世界ではこちらも当然、「F6」もあり得る。

 映画のなかで、日本の気象庁にあたる米国気象局(NWS)予報チーフは、「予測を超える自然現象に対応するには“勘”しかない」とつぶやく。
  まさに災害は人知を超えて起こる。人知がどこまで災害を減らせるか――向こうが「6」の合体で来るのなら、こちらは勘とイマジネーションの合体で突破口を探るしかない。