No. 17

日本は三度沈没する

日本沈没(2006)
2006 Nihon Chinbotsu


映画「日本沈没」公式ホームページより
 05年12月号の本欄で1973年製作の映画、オリジナル「日本沈没」(原作=小松左京)を取り上げ、そのリメイク版「日本沈没」の06年夏の封切り公開を予告した。それがいま公開中である。
  小松氏の小説も、続編(第二部)が映画公開と同じタイミングで発行・発売された。主題の「日本と日本民族のアイデンティティ」がどのような展開と結末を見せるのか。

 本欄は、オリジナル映画「日本沈没」紹介で、次のように書いた。
  「95年阪神・淡路大震災で私たちは、もうひとつの「日本沈没」を味わった(小松氏自身も被災者となった)。その前後もさらにいまも、私たちは次の「日本沈没」への日常的な予感におののき続けている……この12年間で14の被害地震が列島を縦断した。そしてなお、想定巨大地震がラインナップして出番を待つ。東海、東南海・南海、首都直下、宮城県沖、そのほか……33年ぶり、忘れた頃にやってくる映画「日本沈没」06年版は、リアルライフでの日本沈没へのイメージを喚起させてくれるのだろうか」。

 本欄の新「日本沈没」への期待は、過酷で不条理な大自然の暴力(大災害)に翻弄される小さな人間、脆い社会構造をどう描くかにあった。とくに、阪神・淡路大震災を経て、東海地震説から30年を迎えたいま、国と国民の“覚悟”はどうあるべきか……

  大作・新「日本沈没」は主題が大きすぎて、災害そのもののイメージが拡散する観が否めなかったのは娯楽映画としての限界か。それでも、天変地異の視覚効果はうまくできていた。
  とくに津波シーンはなかなかの迫力で、“三度目の日本沈没”に備えて、防災教育効果が期待できる。

 教育効果といえば、新「日本沈没」でちょっとおもしろい周辺話題も生まれた。地震学の最先端を行く東京大学地震研究所がそのホームページ(http://www.eri.u-tokyo.ac.jp /Jhome.html)に、「期間限定 東京大学地震研究所・『日本沈没と地球科学に関するQ&Aコーナー』」(回答者代表=同所・山岡耕春教授)を設けたのだ。地震研究所は脚本段階から同映画のアドバイザーになった。

  「日本沈没」のメカニズムは空想SFだが、映画では地球物理学のトリビア的な知見も随所に出てくる。SFか科学理論か、その“真贋”を見極めるのもディザスター映画の楽しみだ。