No. 16

地震映画の“金字塔”いまだ倒れず

大 地 震
Earthquake


DVD「大地震」(1974年アメリカ映画)/
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
 本コラムは、「災害もの映画」の佳作とみられるものを中心に、これまで15タイトル(1本だけ紙芝居「稲むらの火」)紹介してきた。ところでいまふり返ってみると、なんと「地震」をモチーフとした作品がこれまでなかった。

  地震を描いたものには「日本沈没」(73年、日本映画)があったが、日本が沈没してしまうのでは地震どころではない。自然災害のメイン・イベント(英語では災害も “イベント”と表現する)とも言うべき地震映画の佳作が意外と少ないことに気づいた。もちろん、本コラムでいずれは登場させるつもりで1本の地震映画は温存していた。それが1974年製作米国映画「大地震」Earthquakeだ。

 主演はチャールトン・ヘストン、エヴァ・ガードナー、ジョージ・ケネディ、ローン・グリーン、さらにちょい役でウォルター・マッソーなど重量級を揃え、地震シーンの特撮も往年のハリウッドならではの超弩級の迫力。このコラム用に30年ぶりにDVDで鑑賞してみて、いまならではの新しい発見もあった――

 発見@=現在の東海地震・予知情報を彷彿させる地震予知をめぐる課題が、登場する地震学者と市長の間できちんと議論されていた。わが国で東海地震説が社会的に衝撃を与えたのが76年、この映画の影響はなかったのかな。

 発見A=地震発生の場面で、いろいろな状況設定(ビルの中、エレベータの中、映画館の中、街頭、ハイウェイの車、ダムなどなど)が登場し、それぞれの被災状況にリアリティがあった。建物耐震化、家具転倒防止、窓ガラス落下など、30年後のわが国の地震防災の課題がこの映画でほぼ描かれている。

 発見B=米国の避難所ではコーヒーとサンドイッチが支給されるらしいこと。なお、避難所の被災者は日本では床の上に毛布だが、米国は簡易ベッド。日本では簡易ベッドは使いにくいのかな?

 発見C=ラストシーンは余震でダムが決壊する。1928年にカリフォルニア州で実際にあった地すべりによるダム決壊(犠牲者450名)がモデルだという。日本では地震・地すべりとダムの安全性の議論をあまり聞いたことがないが、どうか……

 ほかにもいろいろ発見があった。今回は“温故地震”の災害映画鑑賞デシタ。