No. 15

静かに急上昇する水位!

フラッド(洪水)
Hard Rain


DVD「フラッド」(1998年アメリカ映画)
(c)1996(1997)Marubeni/TOHO−TOWA
 6月、梅雨の季節。日本各地は北海道を除いて、例年通り梅雨入りした。毎年毎年、季節はめぐり、降るときは降り、晴れるときは晴れ……てはいるが、少しずつ様相も違ってきている。
  気象庁によるとこの100年の年降水量のトレンドでは、少雨と多雨の変動幅が徐々に大きくなるいっぽう、1時間50o以上の集中豪雨が増えているという。地球温暖化とかヒートアイランドがその要因らしい。

 豪雨災害には洪水や土砂崩れがある。山間地・農村地帯の災害というイメージだが、都市部でも、道路がアスファルトで固められて雨水の行き場がなくなれば、低地・埋立地などで車・交通機関や店舗・住宅を水没させ、地下街や地下室に流れ込んで人のいのちまで脅かす。

 近年、わが国では梅雨どきの集中豪雨や秋のたび重なる台風上陸で、全国各地で水害・高潮が発生している。昨年米国でハリケーン・カトリーナがニューオーリンズで猛威をふるったことも記憶に新しい。都市部でも、豪雨の恐さをハザードマップなどで認識しておくべきだろう。

 ところで読者は、時間雨量100oの豪雨を経験したことがあるだろうか。筆者は先日、国土交通省の豪雨体験車で体験した。英語では豪雨を、「cats and dogsが降る」と表現するが、実際体験してみるとイヌ・ネコが耳元でわめいている感じだった。狭いトラックのなかだったにしても、この轟音が見渡す風景一帯に響く豪雨だったら、恐怖だろうなと実感した。

 さて、今回は、98年製作アメリカ映画「フラッド」(洪水。原題はHard Rain)。全編、雨のシーンが続くから梅雨時に見るとうんざりかもしれないが、災害映画というより、テンポのいい犯罪アクションもので“湿気”は少ない。

  本欄の狙い、災害をどれだけイメージさせてくれるかという点では、濁流がきれいだったり、その漂流物が少なかったりしてリアリティ感に欠ける。しかし、洪水の水位が静かにどんどん上がっていく様(さま)やダム決壊で大津波のように襲う濁流(と漂流物)の破壊力は伝わる。

 最近の映画「ポセイドン」と似たシーンも多いが、災害映画の真骨頂がサバイバルへの不屈の精神力ならば、「フラッド」のしたたかさにも“合格点”を与えておこう。