No. 13

事故発生は偶然か、必然か
タイタニック
Titanic


DVD「タイタニック」〈アルティメット・エディション〉
/20世紀フォックスホームエンターテイメント
 最近、海難事故が多くはないか。通常、大事故発生の陰には無数の小事故が発生しているとされるが、海難事故の場合、遭難者が出る事故は大事故になり、小事故では遭難者が出ることは希(まれ)なのだそうだ。船が巨大化した結果、遭難となると桁違いの大事故になる。現代の世界最大級の客船だと乗員・乗客合わせて優に4千人が乗り込む。これがもし遭難となると……

 英国船籍の当時最新鋭・超豪華客船「タイタニック号」がその処女航海で氷山に衝突し沈没・遭難したのは1912年のちょうどこの季節、4月14日のことだった。死者1517人、戦争以外の要因での海難事故としては世界最悪だった。

  ちなみにタイタニックに次ぐ犠牲者を出した海難事故は1954年9月26日、台風で転覆・沈没した青函連絡船「洞爺丸」。乗員乗客1155名が死亡した。
  なお、戦争要因も含むと史上最悪の海難事故は1945年に起き、バルト海でソ連潜水艦の雷撃によりドイツ客船が沈没、乗船していた難民など9331人が犠牲となった。戦争では、日本の加害・被害ケースを含め、数千人規模の海難事故がいくつか発生している。合掌。

 タイタニック号遭難は「偶然起きたか」、それとも「起こるべくして起きたのか」というまじめな研究がある(http://www.nmri.go.jp/sed/psa/titanic/index.htm参照)。独立行政法人海上技術安全研究所による研究で、「確率論的安全評価法」(PSA=Probabilistic Safety Assessment)によるタイタニック号事故の解析報告だ。
  PSAは、巨大プラントや交通システムなど大規模で複雑系システムの安全評価を行う手法で、原子力プラントや、新幹線などでも応用される。

 映画「タイタニック」がおもしろかったという方、災害・事故に関心のある方(つまりわが読者)にも大変興味深い研究で、むずかしい確率論はわからなくても、「1カ月遅れの処女航海」や「出航1時間遅れ」、「新月に近い暗闇」、「無風」、「夜間高速航行」など事故主要素の分析が確率論へと展開するあたり、「へぇ〜」と知る昂奮が味わえる。

 映画のなかのジャック(レオナルド・ディカプリオ)とローズ(ケイト・ウィンスレット)が恋に陥る必然性(確率)の分析もすれば、この研究、もっとうけるのにね……