No. 12

火の意志と個性

バックドラフト
Backdraft


「バックドラフト」/DVD発売元:ユニバーサル・
ピクチャーズ・ジャパン
 火は有史以来、人類の友であり敵である。「ちょっとだけ火を愛してやれば火は消せる」とは、映画「バックドラフト」での、火災原因調査員役ロバート・デ・ニーロの台詞。いっぽう悪の側から火を愛したのがドナルド・サザーランド演じる放火魔――

  この映画では放火・消火をめぐって、点(つ)ける側と消す側で「火への愛」が熱く語られ、それが伏線となってストーリーに厚みを与える。

  「火を愛する」そのココロとは、火を生き物のように(火災原因調査員のデ・ニーロにとっては扱いのむずかしい“女”のように)みるということだろうが、彼は、「火は意志を持つ」とも言う。
  確かに、消す側あるいは被災者にとっては、火炎は意志を持つかのように横暴でかつ賢く、私たちを翻弄する。

  それは災害一般でもそうで、地震でも津波でも台風でも竜巻でも、自然が荒れ狂うとき、それらが意志を持って襲うと感じるのは、人間が生物体として、自然へのおそれの記憶をいまだに保持しているからだろう。

 火の賢さは、ときにロールオーバー(火や炎の先端が燃える物質の前に噴出する現象)、フラッシュオーバー(燃焼物質が燃焼ポイントまで熱せられて瞬間的に燃焼する現象)、そしてバックドラフト(後述)など、固有ともいえる現象(性質)を伴って誇示される。消す側はそれらの火を愛しつつ(手なずけつつ)消火戦略を考え、放水し、鎮火をめざすのだ。

 映画タイトルである「バックドラフト」はスモーク爆発とも呼ばれる。燃焼するための十分な酸素がないときにくすぶっている状態があり、このとき一酸化炭素や炭素粒子の煙や浮遊物ができて、これらが酸素と反応したときに瞬時に点火し炎をつくり激しく爆発する。

  バックドラフトの可能性は建物、部屋などの密閉空間ならどこでも起き得て、消防士やホースはこの瞬間、吹き飛ばされるおそれがある。バックドラフトの可能性がある場合は、消防士が屋内に侵入する前に換気する措置が必須だ。

 この「バックドラフト」、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の人気ライブ・アトラクションだ。映画とスタジオそれぞれで“炎の愛”に身をまかせてみる? ただし、やけどに注意!