No. 11

純白の”火砕流”、雪崩(なだれ)

アイス・ハザード
Nature Unleashed: Avalanche


「アイス・ハザード」DVD販売元:マクザム
 雪崩(なだれ)は英語で avalanche(アバランチ)。語源は「谷 valley へ」(のラテン語)だそう。谷へなだれ落ちる……それが雪崩だ。

 雪崩の種類は  始動の仕方で「点発生」か「面発生」、積雪のどの範囲が崩れたかで「表層」か「全層」、積雪の湿り気で「乾雪」か「湿雪」、雪崩の形態で「煙型」か「流れ型」か「複合型」か、となる。これらとは別に懸垂氷河などの崩壊に伴う「氷雪崩」や雪庇(せっぴ)の崩落による「ブロック雪崩」もある。

 日本の雪崩被害発生件数は、通常年間10以下だ。過去の大きな雪崩災害では、1938年、黒部第三ダム建設現場の宿舎(鉄筋コンクリート5階建て)が押し流され埋没、死者84人の大惨事があった。
  86年1月には、新潟県能生町(現糸魚川市)柵口(ませぐち)で集落が押し流され死者13人。95年1月、長野県中央アルプス駒ヶ岳の千畳敷カール付近で登山客6人が巻き込まれ全員死亡。00年3月にも、岐阜県上宝村(現高山市上宝町)左俣谷で建設現場の作業員2人が埋没・死亡した。

 大きな雪崩の約9割は35度から45度の急斜面で発生するという。樹林帯のなかの樹木の生えていない斜面は雪崩の常襲地帯で、雪庇や障害物のない広大な斜面、沢筋なども危ないというから、登山者やスキーヤーは要注意だ。

 さて、本題。映画「アイス・ハザード」(原題は Nature Unleashed: Avalanche)は二重の意味で“マイナー”な映画である。つまりメジャー(ハリウッド映画)ではなく、かつ内容も「A級」とは言いがたい。しかしマイナーならではの魅力もあり、カナダ・ブルガリア・英国の合作映画で、舞台がロシア(ウラル山脈のスキーリゾート地)というのは興味深い。

 主役はもちろん大雪崩。ストーリー展開のほうは雪崩に押し流される小道具のような印象だから、安心して(?)雪崩シーンに集中できる。

 さて万一、雪崩に襲われたら……完全埋没でなければ自力脱出は可能だという。ただし、呼吸空間が確保できるかどうかがカギで、呼気により雪が凍り呼吸ができなくなる「アイス・マスク」現象や低体温で、埋没して15分程度で生存率は急速に下がっていくのだそうだ。

 大規模な煙型乾雪表層雪崩は火山噴火の火砕流に似て、それが純白で美しいからこそ、凄みもなだれを打つのだろう。