No. 8

危機としてのインフルエンザ

アウトブレイク
Outbreak



DVD「アウトブレイク」ワーナー・ホーム・ビデオ
  「アウトブレイク」はここでは“疫病の突発”の意味で、今回の映画は「感染症」がテーマ。

 ところでこの冬はインフルエンザに要注意! インフルエンザにかかった人が鳥インフルエンザに感染すると、ウイルスが変異して新型インフルエンザが発生するおそれがあり、いま世界各国で危機感が高まっている。

 米国・ブッシュ大統領は先ごろ、国家戦略として新型インフルエンザ対策に当たることを発表、欧米各国の動きも急だ。いっぽうわが国では、対応の遅れを指摘する専門家の声が多い。厚生労働省専門委員会は、これが日本で大流行した場合、4人に1人が感染、死者最悪17万人とした。

 米国が汎流行型感染症(英語ではpandemic)に敏感なのは、9・11後の炭疽菌テロは言うに及ばず、テロ対策上、生物兵器が大きな脅威と化したこともあるが、近年、アフリカの風土病である西ナイル熱の発症例があったり、通常のインフルエンザ・ワクチン不足で国民の不安を招いたからだ……いやいや(本題へ戻って)、もしかすると、ちょうど10年前に公開された映画「アウトブレイク」の悪夢が甦りつつあるからか。

 アフリカから持ち込まれた1匹のサルを感染源として、エボラ出血熱のような症状をもたらす新種のウィルスが西海岸のとある町を襲う。町は完全に隔離され……ここで活躍するのが、ウィルスの謎(生物兵器の匂い)を解明しようとする米国陸軍伝染病研究所(USAMRIID)の軍医サム・ダニエルズ(ダスティン・ホフマン)と米国疾病管理センター(CDC)のチームだ。

 米国映画はフィクションに現業のプロフェッショナルな組織・人間を組み込み、その仕事を紹介するのがうまい。この映画でも米国の感染・疫学スペシャリストたちの仕事ぶりが窺えるのである。