No. 6

”F5”は超弩級 大地をひっかく神の指

ツイスター
Twister



「ツイスター」DVD発売元=ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン)

 ハリケーン「カトリーナ」が米国南部に大きな被害をもたらした。日本列島が台風の通り道であるように、ハリケーンも年平均10個ほどがカリブ海、メキシコ湾で発生しては米国南部を通り抜けていく。わかっていても被害が絶えないのは人間の傲(おご)りのせいか。それとも人間の自然を測る想像力は、自然に対してかくも狭小なのか。

  同じ気象災害でも、「たつまき(竜巻)」は局地的に発生し、多くは数分から十数分と短時間に猛威をふるい災害をもたらす。米国では年間700個もの大小のたつまきが発生し、死者数はハリケーンによる死者数の3倍に及ぶという。

  たつまきはとくに米国中西部で多く発生し、そのうちの1、2%は、家は根こそぎ、トラックや列車も持ち上げ100メートルも吹き飛ばす猛烈なものに発達する。その対策として中西部の住宅には避難のための地下室があり、警報と同時にそこに逃げ込む。

 映画「ツイスター」は、そういうたつまき(英語でトルネードtornado、通称twister)を発生現場で直接観測しようというストームチェイサーと呼ばれる研究者グループの物語。

  たつまき発生時の前兆現象は解明されていて、親雲となる発達した積乱雲が“回転状態”にあるときに発生しやすくなる。そこで、たつまきの足元に新型観測機器を仕掛け、それを吸い込ませて画期的な観測を試みようとする。

 映画の真の主役・超弩級たつまきは“F5・大地をひっかく神の指”として登場する。「たつまき」の規模を表すスケール(階級)は、F0(風速17〜32m)から最大のF5(風速117〜142m)まで、風速と被害状況による6段階がある(学説として想定不能のF6も設定)。実はこの“F”スケール、日本人気象学者・藤田哲也にちなむ。

 藤田博士は福岡県出身、98年に78歳で他界した。明治専門学校(現在の九州工業大学)を卒業後、東京大学で「台風研究」で学位取得、その後渡米し、シカゴ大学でたつまきやダウンバースト現象を研究、たつまきの規模の基準として71年に「F(フジタ)スケール」を考案し定着させた。

 メジャーリーガー・野茂英雄投手は「トルネード投法」で 米国に“旋風”を巻き起こしたが、それ以前に、神の指の大きさを描き、「ドクター・トルネード」と呼ばれた先達が米国にいたのである。