No. 4

”困難”を掘り進むと希望の風が吹き抜ける
(旧)山古志村復興に向けて

掘るまいか
Horu-maika





(上)トンネル掘削シーンをいまの村の若者たちが演じる
(下)集落の総会再現シーンでも旧山古志村の人々が出演

 映画『掘るまいか』(03年制作、「手掘り中山隧道の記録」制作委員会、企画・三宅雅子、監督・橋本信一)は、第1回文化庁文化記録映画優秀賞を獲得するなど記録映画として高い評価を得た作品だが、新潟県中越地震を契機に広く知られたといっていい。

 甚大な被害をともなった旧山古志村の救援に、『掘るまいか』はメディアとして登場した。『掘るまいか』を見た多くの人が勇気と希望を触発され、被災地の復興を願い支援した。
  この触発の構図は、結果的にひとひねりした“自助”である。すなわち、山古志の人々の地下水脈のような精神力=エネルギーがまずこの映画の中心モチーフにあり、それが災害救援への共感を導き出し、ひいては復興への動力源となっていくからだ。

  『掘るまいか』は、昭和初期、冬は4mを超える中山峠の積雪で孤立する山古志の寒村で、峠の下に長さ約1qの隧道(ずいどう=トンネル)をツルハシ一本で掘ろうという村人の企ての記録だ。

  この企ては実に16年間にわたり、孫子3代が関わる“したたかな大事業”となり、昭和24年についに完成、いまの中山トンネル開通(平成10年)まで村の暮らしを支えてきた。

 当時の子の世代もいまは高齢者。その彼らが、「トンネル開通の瞬間に風が吹き抜けた」と鮮明な記憶を語る表情がさわやか。
  不屈の精神というと英雄的だが、驚嘆に値するねばり強さではあるものの、私たちも共有しているかもしれない“資質”であればこそ、つい、私たちは励まされてしまうのだろう。