登記を自分でする

注意
ここでの事例は、2004年9月当時に私が経験した内容を披露しています。当時と現在では申請手続きや書式は必ずしも同じではないようです。
もしご自身で登記申請にチャレンジされたいとお考えの場合、管轄の法務局に必ず相談されることをお勧めします。



施主自らできることとして、建物の登記申請をやってみました。

建物の登記には、次の種類があります。
・表示登記
・所有権保存登記
・抵当権設定登記(銀行等で融資を受ける場合)

建物の表示登記は必須で、これをしないと所有権保存登記や抵当権設定登記ができません。
普通は登記費用は工事諸費用あるいは融資手数料として組み込まれ、土地家屋調査士さんや司法書士さんに代理申請をお願いするわけですが、その代理申請の手数料というのが十数万円(ことによれば20万くらい)かかってしまいます。

これは法務局に支払う登録免許税など避けられない費用も含んでいるわけですが、図面や申請書の作成や申請書提出の出張費用などの名目でかかる報酬がばかにならないのです。
かといって、登記しないわけにはいきません。

個人邸建築サイトで、 施主自らが登記手続を行って費用を浮かせたという例を見て、「自分でもできたらいいな」と思いました。

私が実際に登記申請に取り組み始めたのは建物の完成引渡直前になってからで、バタバタしながらの手続きになりました。

というのは、銀行の融資実行日(工務店への完成払支払期限日)までに表示登記と所有権保存登記を済ませておかなくてはならなかったからです。

結局、この登記手続きの完了日を見込んで融資実行日を定め、それまで工務店等への支払いを待ってもらったというのが真相です。
今更ながら工務店さんたちには本当に感謝しております。

抵当権設定登記は、これはもう銀行側(イコール司法書士さん)にお願いしてやってもらうほかありません。融資の実行そのものに影響しては元も子もありませんから。これは多くのサイトでも指摘されていました。


まずHPで調べる

個人で家作りのHPを作成・公開しているサイトはたくさんあります。
申請書作成手順、申請書様式のデータなど詳細に書かれているサイトは大変役に立ちました。
参考書

ある方のサイトで紹介されていた、「わかりやすい不動産登記の申請手続」(日本法令不動産登記研究会 編:日本法令刊) という本を購入しました。
登記手続きの本人申請を念頭に置いているので、わかりやすく丁寧に書かれていました。

2006.8.12追記
上で紹介している本は、その後2005年10月に改訂版が出ました。
そちらのリンクもご紹介しておきます。

わかりやすい不動産登記の申請手続(改訂版)

必要なものを揃える

表示登記、保存登記で必要なものを書き出してみました。
登記申請用紙 法務局のすぐ近くに官報販売所というところがあり、ここで用紙を販売していました。私が買ったのは日本法令の「登記98:建物図面・各階平面図」B4判二つ折り、10枚入りで367円でした。大きな文具店でも買えると思います。ただし私が申請した当時はB5判でしたが、今はA4判が標準化されたようです。(2008.10.2修正)土地所在図、地積測量図、建物図面及び各階平面図はB4用紙で指定されているようです。誤解を与える表現となってしまい失礼しました。詳しくは法務局のサイトでご確認ください。
なお、申請書本文はパソコンで作ったものでも大丈夫だと思います(提出先となる法務局で確認を)。
ロットリング 図面(建物図面・各階平面図)は、0.2ミリ以下の細線で鮮明に作製しなくてはなりません。ボールペンはかすれるのでだめだそうです。
製図用のロットリングが良いらしいということで、文具店に行ったら3000円くらいするのにびっくり。そこで探してみると、ステッドラーというメーカーでもう少し安いものがあったのでこれを購入。それでも1000円しました。
定規 私は手書きで図面作成したので、二枚セットの小さな三角定規を買いました。二枚組み合わせて使うと平行線が引けます。
工事完了引渡証明書
(所有権証明書)
施工業者から建物の引渡を受けたときに受け取る証明書です。これは9月13日、実際の引渡日に工務店さんから受け取りました。
住民票写 これはまず新居への異動手続をしなくてはなりません。結局、9月13日の午後に市役所に行き手続きをし、写しを取ってきました。
建築確認済証 9月6日に役所検査があり、翌7日に確認済証が発行されました。これも表示登記申請時に原本を提出しなくてはなりません。


法務局の登記相談

まず9月3日に、登記相談に単身出かけてみました。

申請する土地を管轄する地方法務局(あるいは出張所)に行くと入り口に登記相談コーナーというのがあります。

私が行った法務局では、おそらく法務局OBと思われる嘱託員の、林家木久蔵師匠に似たおじさんが相談コーナーの窓口に座っていました。

正直言って、この相談コーナーでは細かいことの確認はできませんでした。実際の表示登記を受け付ける窓口で聞いてくれと言われてしまい、何のための相談コーナーなの?と思いました。

そこで表示登記窓口へおそるおそる聞いたところ、担当官からてきぱきといろいろ教えてもらいました。

・登記申請自体には印鑑証明は不要なので、実印である必要はない。
・共有にする場合、所有権(持分)確認書*が必要。これは共有者全員実印で押印すること。従って、全員の印鑑証明書が必要。なお持分割合の根拠については、法務局では証拠資料を求めるものではない。
*担当官が様式を示してくれたので、これに習ってWORDで作成しました。

最初から窓口で直接聞けばよかったなあと思いつつ法務局を後にしました。さあ、申請書を作らなきゃ。


表示登記申請書を実際に作ってみる

・図面
設計者のまっちゃんに事情を説明し、1/500の建物図面と1/250の各階平面図を作ってもらい、これを専用紙に手書きでトレースしました。CADソフトなどで作成される方も多いようですが、私のパソコン環境は著しく悪かった(プリンタさえまともに使えるものはありませんでした)のと、時間がなかったので急がば回れと手作業でやりました。

建物図面は単に建物の絵だけでなく、方位(方角)、敷地境界、建物と隣地ないし道路との距離、地番を記載しなくてはなりません。そこで、まず公図写にまっちゃんからもらった建物図面を落とそうと考えたのですが、ここで問題が。

公図写の縮尺は1/600。しかし、建物図面の縮尺は原則1/500でなくてはなりません。
「縮尺が違う!」

でも、要は建物の形状や位置関係が明確ならいいわけでしょ。そこで、公図写を拡大コピーしておおよそ1/500に近づけ、その上に申請用紙を重ねてトレース。さらに、建物の1/500図面に重ねてトレース。あとは、地番や境界との距離を記入していきました。

次に各階平面図です。こちらは建物のみの図面なので、まっちゃんの1/250の図面をそのままトレースすれば基本的によいわけです。が、我が家は広間が全部吹き抜けなので、1階部分と2階部分の面積が異なります(外見は総二階なんですが)。

建物の内側で吹き抜けがある場合は、2階部分は破線で表せばいいらしいのですが、うちの場合、実線で書くのか破線なのかよくわかりませんでした(結局実線で記入し、「吹抜」と説明書きを加えたのですが、後日法務局からは破線表記が正しいと言われました。まあ、そのまま受理されましたけれど)。

各階平面図には、それぞれの階の床面積の求積を記載します。求積は適当に矩形に分割してそれぞれの短辺と長辺を乗じればよいので簡単です。

各階平面図はこちら


・申請書(本文)
個人邸建築サイトから様式を拝借(ダウンロード)し、自分の内容に書き換えて作成しました。

地番などの数字をどう書くのかがよくわかりませんでした。例えば「12-3」というのを「拾弐番参号」とするのか「壱拾弐番参号」とするのか。このように記載事項で不明なところは提出の時に登記官に聞くことにし、空欄にしておきました。


原本還付

表示登記の際、添付を要する書類となる建築確認済証や住民票写は、コピーをとったものに「原本と相違ありません」と記載し、署名押印して原本と同時に提出すれば、後で原本だけ返してもらえます。

住民票写を請求するだけで300円かかり、いちいちホンモノを提出するのはもったいないので、これはぜひ覚えておくといいです。


法務局に乗り込む

9月13日に完成引き渡し。その日に住民票の異動手続きをし、翌14日に引越をしました。

まだろくに家の中が片付いていませんでしたが、午前中に法務局に行き、ここ一週間の労作である表示登記申請書及び添付書類一式を表示登記窓口に提出しました。

この間質問に答えてくれた人とは違う登記官が対応してくれたのですが、この人がなんともはっきりしない態度で、素直に受理してくれませんでした。

特に、工務店の工事完了引渡証明書の宛名は、共有なのだから私だけではなく妻と連名になっていないと駄目、と言われました。

らちがあかないのでいったん法務局を出て、工事完了引渡証明書の宛名に妻の名前を追記し、午後になるのを待ってもう一度持ち込みました。

すると、運良くこのあいだ質問に応じてくれた登記官がカウンターに。
そのまま直行し、こんどはなんなく受理してもらえました。

建築確認済証のコピーに、申請者全員(つまり、妻とわたし)の割り印を押すよう指示されたくらいでした。

受理後、以下について説明を受けました。
・9月16日に登記官が現地確認する予定。
・補正確認日(この日以降に申請内容に補正を必要とするか否かを確認できるということ。つまり、この前日までに申請書類のチェックが終わっているということ)は9月17日である。
・この日に電話で登記内容(建物表示登記)、申請者名、申請日を告げること。
・補正の必要がなければ登記済証の交付となるので、申請に用いた印鑑(申請者全員の)を持参すること。補正を要する場合も印鑑は必要。

なお、表示登記申請には登録免許税(要するに申請手数料)はかかりません。


表示登記済証の受け取り、続いて保存登記申請

9月13日から17日までの五日間、引っ越しを理由に職場を休んでいました。

翌週から出勤し、9月20日(月)に法務局に電話したところ、登記が済んでいるとのこと。やった!

ただし、仕事の都合で月・火と法務局には行けませんでした。水曜の22日に、なんとか午後3時から休暇をもらい、法務局へ急ぎました。
14日の午前中に会った担当官から、表示登記済証を受け取りました。

これで完了ではありません。続いて、所有権保存登記申請です。

表示登記申請と平行して、所有権保存登記の申請書の準備もしていました。こちらは図面添付は必要ないので表示登記よりはるかに楽です。

保存登記申請に添付する特別な書類に「住宅用家屋証明(申請)書」というものがあります。これを添付することにより、保存登記の登録免許税が1/4になるのでとても重要です。市役所の資産税課証明窓口で申請できます。書類さえ整っていれば(表示登記のコピーと住民票、建築確認済証の正本)即日交付です。ただし、証明書発行には1300円かかります(これ、高いよね)。

法務局から市役所は歩いて5分くらい。さあ急がなきゃ。

2005.8.20追記
この「住宅用家屋証明書」も、原本還付しておけば、その後の抵当権設定登記の際添付することにより登録免許税が1/4になるそうです(ろんさんから掲示板に情報提供をいただきました。ありがとうございます)。


法務局から市役所へ、そして再び法務局へ

9月中旬過ぎですからまだ暑い時期です。急げ急げと市役所のカウンターに着いて、申請用紙を受け取り記入を始めたときに、ある書類が手元に無いのに気がつきました。
「建築確認済証がない!」

住宅用家屋証明申請書に付けなくてはいけない建築確認済証は、もちろん写しも要りますが、確認用に原本が必要なのです。

これは表示登記申請のときに添付したものが法務局から返されていないことに、市役所に着いてから気がついたのです。

もう一度出直すことを窓口に告げ、また法務局まで走っていきました。窓口で、「さきほど表示登記済証の交付を受けた者ですが、確認済証の原本還付を受けていないので返してください」と申し出ました。

「ああ・・・」といって担当官がやっと返してくれました。

思わず、「登記済証の交付のとき、原本還付について確認しながら事務処理しないんですか!?」と聞いてしまいました(一応、私も公務員なので、窓口対応には神経遣っています)。
でもこんなところで時間はかけられません。早く市役所に戻って、三たび法務局に行って保存登記申請を今日中に終わらせないと、そのあとの竣工払分の融資が実行できなくなってしまうのです。


ギリギリセーフ

きびすを返して市役所に戻り、改めて住宅用家屋証明申請書を提出しました。もう汗だくで、カウンターの中にいる市役所職員の(大丈夫?この人)という視線を感じました。

なんとか住宅用家屋証明書の交付を受け、法務局へ。

法務局の窓口開設時間は厳密で、午後5時に完全に終了します。市役所から戻ってきたときは既に午後4時55分。登記官に「保存登記の申請をしたいのですが」と言うと、露骨に嫌な顔をされました。
「もうすぐ5時ですよ。(困るなあ・・・)」という表情。

あんたたちががちゃんと原本還付してくれりゃちゃんと間に合ったんだよ!といいたくなりましたが、それを言う余裕もないのです。

それでも保存登記窓口の担当官は書類を見て訂正箇所を指摘しすぐ直し、なんとか時間内に受理してくれました。なお登録免許税は9000円でした。

数日後、保存登記は無事完了しました。これで、なんとか施主の義務は果たせたかな、と思います。

ああ、しんどかった。


抵当権設定登記はお任せ

さきにも書きましたが、融資に関わる抵当権の設定登記は金融機関及び司法書士に任せました。

住所変更の申請を忘れずに

ところで、アパートから新居に引っ越したので、先行取得していた土地についても所有者住所変更の登記が必要です。

この登記内容は複雑ではないので、自分で書類を用意していました。抵当権設定登記を委嘱された司法書士側に、この書類を使ってほしいと伝えたのですが、なぜか使ってもらえませんでした。残念。


自分でも登記申請をやってみよう、という方へ

もし登記申請を自分でしようとお思いでしたら、準備は余裕を持って行いましょう。手順を確認すれば必ずできます。

また、施工業者及び融資元の金融機関に了解をとっておいてください。私の場合すんなりOKをもらいましたが、実は結構ハードルだったりします。

施工業者さんからは工事完了引渡証明書(所有権証明書)をもらう必要があるので、登記(及び融資)のタイムスケジュールと照らし合わせ、いつもらえるか前もって確認しておきましょう。

登記書類作成上不明な点は、実際に提出する法務局の、(相談コーナーでなく)担当窓口で聞いた方がいいと思います。

実際に書類を受理する登記官の裁量で左右されることは本来ないように思いますが、説明の丁寧さはやっぱり人によって違います。何度も相談に行き顔馴染みになることでその辺りは改善するかも。

表示登記・所有権保存登記に要した費用(まとめ)

参考書「わかりやすい不動産登記の申請手続」 2,039円
申請用紙(図面) 367円
ロットリング 1,050円
定規 420円
住民票(4通申請) 1,200円
印鑑証明書(共有のため夫婦各一通) 600円
コピー代 100円
住宅用家屋証明書発行手数料 1,300円
登録免許税 9,000円
合計 16,076円

あらためて、参考にさせていただいた多くの自邸建築記録サイト管理者の皆様と、図面提供してくれたまっちゃんに感謝いたします。

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