設計に先立つものとして、家族構成やら趣味やら生活上の細々したことや住宅に望むことがらを記述する分厚いシート「すまいのインフォメーション」を渡されて、まずはこれに書いて提出してくださいとのことでした。
振り返って考えてみると、このシートを埋めるために夫婦や家族でいかに考え話し合うかというのがとても大切だったのだと思います。そしてこれは、詳細設計が終了するまでの、夫婦間あるいは設計者(建築家)との葛藤の日々のはじまりでもあったわけですが。
ところで、予算計画の話題になったとき、かなり厳しい見解をもらい、「坪60万」と以前某工務店に言われたことを思い出しました。
結局は予算なの?この点で、A工務店と並行して交渉し、このあと1ヶ月ほどいずれにすべきか悩むこととなったのです。
設計料分だけ高くなる、というのは自分の中では「その後のコスト管理や見積調整などでチャラになる」と期待していたのですが、なかなか見えにくい部分でもあり、トータル予算ベースで比較するとA工務店の提案も、この時点では捨てがたいものでした。
建築予定の土地は北側以外の三方に既存の住宅などがあり、奥方は日当たりについて心配していました。A社はそれに対し、建物の中に採光用の塔を作ることを提案してきました。
一方、まっちゃんは建築予定地の写真と敷地図を一枚のペーパーに落とし、どの位置からどういう風景が眺められるか、隣地の住宅の事情(将来建て替え可能性の有無等)を克明に示した「敷地分析図」を作成していました。
打ち合わせの際にこれを見せてもらった瞬間、その鮮やかさに感銘しました。これこそ、設計力の一端ではないか?こんな敷地調査、A工務店から提示されたことはありません。
この敷地分析図は、私にとって意思決定に相当影響を与えました。
| まっちゃんから示された敷地分析図。 |
いっぽう、まっちゃんは契約前の図面作成はしませんというスタンスでした。もし平面図を作成するとなるとそれなりの労力を要するのでそれ相当の対価が必要になるというのです。
施工金額についても、A工務店はおおよその見積もりを提示してくれましたが、まっちゃんからは「これほどのローコストは今までやったことがない」と今ひとついい返事がもらえませんでした。
このときが家つくりの最初のピークでした。妻は私ほどには建築家への依頼に執着しているわけではありませんでしたし、予算内に収まるかどうかは重要な点でしたのであれこれ逡巡しました。
もっとも、われわれのいう「予算」というのがまっちゃんに見えにくかったかも知れません。メーカーと違い、融資などの資金確保の心配をしてくれるわけではないので、予算設定は全く施主の自己責任の範囲です。「予算にこだわるなら、メーカーに依頼して建てるというのも選択肢のひとつと思います」とも言われましたし。
判断に迷っている私たちを見かねて、まっちゃんは最近の施工例としてKさんの家を見学させてくれました。おそらく建築家の設計による住宅を見るのは始めてでした。そこでは建物の特徴を見ることができ、住まわれている施主のお話も聞け、大変参考になりました。
なお、このとき私達が十分見学できるように、まっちゃんは我が家のこどもたちをお守りしてくれました。
ようやく、私たちはまっちゃんに依頼することを決めました。2003年9月11日のことです。
これまでさんざんアパートに来ていただいていたので、今回はこちらから伺うこととしました。
工務店事務所に行くのはこれが最初で最後です。
行く前に、断る理由としてこんな文章を整理しておきました。
でも実際にはこんなに流暢には話せませんでしたが。
担当のNさんはそうとうガッカリしたようで、お詫びのしるしに持参した品を受け取ってくれませんでした。
残念ながら、応募いただいた建築家は遠方の方がほとんどで、打ち合わせと現場監理に懸念がありました。
かなり好感触を持っていた市外の建築家H氏へのお断りのメールです。断る理由を述べています。長いですが、ほぼ原文どおりここに載せます。
なお、応募していただいた建築家それぞれに、届いた書類は返却しました。
| 業務 | 詳細 | 報酬 |
| 企画調査 | ・現地調査 ・計画プログラム作成 | 5% |
| 基本設計 | ・基本設計図作成 ・工事概算書作成 | 35% |
| 実施設計 | ・実施設計図作成 ・仕様書作成 ・建築基準法に基づく確認申請手続き協力 ・工事請負契約条件立案 | 30% |
| 監理 | ・工事契約協力 ・施工図等の検査及び承認 ・工事指導 ・変更工事処理 ・中間及び最終支払の承認 | 30% |