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for HEART VESSELS PROBLEMS

 

解説

(2)狭心症と心筋梗塞の違い

このページでは胸の痛みが狭心症に因るものか否かや狭心症と心筋梗塞の違いを、清水医師のホームページの解説を引用・編集して掲載します。起きた痛みが、治療に一刻を争う心筋梗塞かどうかを予備知識として持っていただければ幸いです。しかし、知識は知識として、初めて経験するような痛みの時は、医師の診断を受けて下さい。(Tom’s)

 

                     目次

1.胸の痛み、心臓の痛み

2.狭心症の症状と特徴

3.労作性狭心症について

4.狭心症と心筋梗塞の違い

5.狭心症と心筋梗塞の症状・痛みの違い

6.狭心症や心筋梗塞の随伴症状

 

1.胸の痛み、心臓の痛み

 心臓はここにあるのだと分かり、言い聞かせて生活していても、前胸部に痛みが走った場合には、実際には心臓からの痛みでないことがよくあります。生命に別条のない肋間神経痛(胸郭を形成する肋骨に沿って走る肋間神経の痛み)であるかもしれないし、食道や胃の上部に炎症や潰瘍ができても胸の痛みがよく起こります。それでは狭心症や心筋梗塞の痛みとはいったいどんな痛みなのでしょうか?狭心症や心筋梗塞で救急車で病院に搬入される患者さんを見ていると、胸が痛いと大声で叫ぶ人は意外と少なく、青い顔をして時には冷たい汗をかき、握りこぶしを胸に当てて、小さな押し殺すような声で、

     ・胸が痛む、

     ・胸が詰まる、

     ・胸がしびれる、

  などと言うことが多いようです。

 狭心症や心筋梗塞の痛みは、決して針で刺すようなチクチクした痛みではなく、実際には“痛み”というよりは、“不快感”あるいは“重圧感”と表現した方がよいような異常感覚であり、今まで経験したことがないような胸の痛みです。その表現は人により違いますが、

     ・絞扼感、

    ・圧迫感、

    ・不快感、

    ・灼熱感、

    ・重圧感

 

などと表現されています。いずれにせよ狭心症や心筋梗塞などの心臓の痛みは、若い頃に体験した胸がキューと熱くなるうれしい痛みではなく、ある独特のいやな感じの痛みで、意外にも鈍痛であることが多いようです。

狭心症で痛みを感じる場所は、

   No.1 胸の中央部が締め付けられると言う感じが最も多い

   No.2 左胸部や下顎部がそれに次ぎます。

   No.3 下顎や心窩部に感じるものもあります。

 

強い狭心症の場合は、左肩から肘部に放散通を伴うこともあります。
     (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

2.狭心症の症状と特徴:

 狭心症の胸痛の持続時間は、通常数分以内です。数秒間と短いものや1日中だらだら持続するものは狭心症ではありません。狭心症の胸痛であれば、ニトログリセリン舌下後、数分以内に発作は消失します。もし、5分経っても消失しなければ、重症な発作であるか、あるいは狭心症の痛みではなく、他の病気による痛みであると思われます。閉経前の女性には、ホルモンの関係で動脈硬化が進行しないために狭心症はほとんどありません。(ただし高コレステロール血症や喫煙者などのリスクファクターを持っている人は別である。)圧痛(痛みの場所を押さえた時に痛みがひどくなること)があったり、体を動かしたときや深呼吸で痛みが誘発されたり、ひどくなる場合には狭心症の痛みとは言えません。

       (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

3.労作性狭心症について:

運動すると胸が痛くなる、歩いているときや坂道を登っている途中、出勤中などに胸の痛みを感じるのが、大部分の患者さんが訴える症状です。身体を動かしているときに発作を起こすのでこの病名がつけられたのです。症状が強い場合には胸痛として感じますが、労作性狭心症の時には胸痛が起こるものだと決めつけてかかると後悔することがあります。

 

    ・息切れ、

    ・胸のもやもや感、

    ・筋肉の痛みに似た症状、

    ・左胸のだるさ、

    ・歯茎の痛み、

    ・胃のあたりの不快感、

    ・胸やけがするような感じ

と人により様々なのです。これらの症状は、運動を止めて静かにしているとすぐに治まってしまいます。あるいは即効性の亜硝酸剤(ニトログリセリン)を舌の下に含むか、あるいは、そのスプレーを舌の裏側に吹き付けると症状は嘘のように消えていきます。

発作が起こるメカニズム:

心臓を養っている動脈(冠状動脈)が動脈硬化により狭くなると、心臓の筋肉に血液が充分に補給できなくなり、酸素不足になってしまうのです。人間は体を動かすと全身の60兆の細胞が血液の供給を増やすように要求します。そのために心臓は、なるべく多くの血液を全身に送り出そうと速く拍動しなければいけません。そのためには、その原動力となるエネルギーを大量に自前で生産しなければならず、そのためには酸素が多く必要になり、血液が十分にいるわけです。ところが動脈硬化のために血管が狭くなると、血液が十分に供給できません。すると心臓の筋肉は酸素不足のために悲鳴をあげます。それが胸痛などの狭心症の症 状で、生体の警報サインなのです。

 

 その結果、運動を中止すると生体の細胞も酸素をそれほど必要としなくなるために、心臓の動きもゆっくりとなり、症状は消えるのです。いわば風邪の発熱や頭痛のようなもので、生体の防御のための警報が狭心症の症状なのです。狭心症とは厳密には症状であって、狭心症という病気ではありません。

安静時の狭心症について:

 一般に狭心症は、坂道を登ったり重いものを持ったりした時に発作が起こるものですが、静かに横になっている時などの安静時に、発作が起こる狭心症もあります。典型的な安静時の狭心症発作は、

   ・早朝の就寝中に誰かに胸を押さえられたような気がしたり、

   ・息苦しくなり目が覚め、

10分〜20分間、発作が治まるまで布団の上に座り込んでしまうような発作です。労作性の狭心症と同様にニトログリセリンが劇的に安静時の狭心症にも効きます。

 

なぜ、安静時にも狭心症の発作が起こるのかというと、心臓を養っている冠状動脈がけいれんを起こし、血液の流れが一時的に中断するために、発作が起こることがわかっています。この安静時の狭心症は、動脈硬化が原因である場合が多いのですが、時には全く正常と思われる冠動脈にけいれんを起こすこともあります。残念ながら、冠動脈がどうしてけいれんを起こすのかはっきりした理由はまだわかっていません。

 

 また、発作が夜間睡眠中などの安静時に起こるために、発作時の心電図がなかなか捕らえられないために診断がつきにくい場合が多いようです。自覚症状より安静時の狭心症と判断して、狭心症の治療をしたところ症状が明らかに改善したことにより初めて診断がつく場合もあります。特に、患者さんにニトログリセリンを常時持ち歩いていただいて、発作時にニトログリセリンが有効かどうかで、よく判断しています。

     (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

4.狭心症と心筋梗塞の違い

冠状動脈の血流異常によって心筋の筋肉に充分な血液が送れなくなると、心臓の筋肉は虚血状態(酸素不足)となり、いわゆる虚血性心疾患に陥る。この虚血性心疾患には狭心症と心筋梗塞とがあるが、どのように違うのだろうか?

 

結論からいえば、狭心症は冠状動脈の狭窄(狭くなること)によって充分な血液の供給を受けられなくなった状態です。 かたや、心筋梗塞は、冠状動脈の完全な閉塞によって全く血液の供給が受けられなくなった状態です。

 

 したがって狭心症では、血流の減少によって激しい胸痛などの症状がでるものの命取りにはなりません。しかしながら心筋梗塞では、血流の完全停止によって激しい胸痛に襲われるのみならず、心臓の筋肉は、全く酸素の供給を受けられなくなり細胞は死んでしまいます。

 

このように、同じ虚血性心疾患でもその重症度は全く異なり、心筋梗塞では、心臓を形成する心臓の筋肉の一部が壊死に陥るために、死に至る可能性が極めて高いのです。

 

 心臓の筋肉に対する血液の供給すなわち酸素の供給状態からみれば、狭心症と心筋梗塞では決定的に異なるわけですが、当然狭心症を何度も起こすうちに心筋梗塞に陥ってしまい、そして死亡してしまうことは起こり得るのです。 しかし、すべての心筋梗塞が狭心症を経て発症するというわけではなく、いきなり心筋梗塞に陥ることもあり得ます。

      (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

5.狭心症と心筋梗塞の症状・痛みの違い:

  冠状動脈の狭窄によって心臓の筋肉に充分な酸素を供給できないため、発作的に前胸部に痛みや絞扼感を感じるものを狭心症といいます。英語では狭心症のことを、アンギーナペクトリスといいますが、アンギーナーはギリシア語の(詰まる)で直訳すると“胸部の締めつけ”になります。このような胸部の痛みあるいは締めつけは、一般に冠状動脈の内腔が75%以上(1/4以下に)狭くなると起こるといわれています。

 

 狭心症の典型的なものは、長い坂を無理して登った後であるとか、寒いトイレで力んだ後に突然おこりますが、この胸痛の持続時間は1〜5分程度のことが多くて長くても15分以内であるといわれています。 労作(運動)によって心臓の筋肉が普段より多くの血液を必要としたときに狭くなった冠状動脈では十分な血液を送ることができず、その結果、心臓の筋肉が酸素不足となって強い胸痛が出現します。 しかし、しばらく安静にしていると心臓はゆっくり動くようになり、それほど多量の酸素を必要としなくなるために、狭窄をきたした冠状動脈でも十分な酸素が供給されるようになり、やがて胸痛は消失します。

 

 しかし、冠状動脈が完全に閉塞してしまった心筋梗塞では、いくら安静にしていても胸痛は消失せず、15分以上持続します。したがって、この胸痛の持続時間で両者を鑑別することもできます。次の表に主な違いを比較して示します。

 

狭心症

心筋梗塞

胸痛の特徴

締めつけられるような痛み、
重苦しさ、圧迫感がある。

締めつけられるような激し
い痛み、不安感、重症感が
ある。

発作の持続時間

1〜3分までの短い発作を繰
り返す。長くても15分以内。

30分以上〜数時間続く

発作の起こり方

ほとんどが労作時、興奮時、
食後などに起こる。
特に午前中に行動を起こし
始めるときに多い。
夜明け前や安静時の場合も
ある。

労作とは無関係に起こる
ことが多く、過労が誘因
となる。

胸痛がニトログリセリンの舌下錠などにより消失する場合は典型的な狭心症と考えてもよいと思います。ニトログリセリンが全く効かない場合は、心筋梗塞か他の病気がまず考えられます。 また、冷や汗、吐き気、息苦しさなどの随伴症状を伴う場合も注意が必要です。

 

狭心症が疑われる胸痛

・階段を上がる、急いで歩いたときに起こる数分間の痛み。
・食事、タバコ、寒さ、横臥などと関連して起こる。
・お酒を飲んだ翌早朝に起こる数分間の胸の痛み。
・痛みで目が覚める、夜明け方、トイレに立ったときや洗面の時に
起こる胸の痛み。

 

心筋梗塞が疑われる胸痛

・労作、安静に関係なく、突然激し痛みが起こり、15分以上続く。
・持続性の胸痛とともに不安感、動悸、息切れ、冷や汗、めまい、
脱力感を伴う。
・胸痛の発作が繰り返し起こりしだいにひどくなる。
・それまでに発作に効いていたニトログリセリンが効かなくなる。

    (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

6.狭心症や心筋梗塞の随伴症状:

 狭心症や心筋梗塞では、痛みとともに、冷や汗、吐き気、息苦しさ、めまい、動悸などを伴うことがあります(随伴症状)。痛みの長さに関わらず、締めつけられるような強い胸痛が突然起こり、冷や汗や吐き気がある場合は直ちに医師の診察を受けるべきです。

  (出典:住友別子病院 清水明徳氏 http://user.shikoku.ne.jp/a2shimiz/)

 

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